創価大・小池莉希が3人だけの個人選手権5000mを制す「絶対的な存在になりたい」
2024日本学生陸上競技個人選手権大会 男子5000m決勝
6月15日@レモンガススタジアム平塚(神奈川)
優勝 小池莉希(創価大2年)13分47秒3
2位 白石光星(青山学院大4年)14分28秒5
3位 平松享祐(青山学院大3年)14分28秒9
※写真判定機不具合のため手動計時
6月15日の学生個人選手権男子5000mで、創価大学の小池莉希(2年、佐久長聖)が13分47秒3で優勝した。終始単独走で自分の走りを貫いての結果だった。
「駅伝を意識して」はじめから飛ばした
このレースにはもともと9人がエントリーしていた。しかし当日出走したのは、小池と青山学院大学の白石光星(4年、東北)平松享祐(2年、中部大一)の3人のみ。写真判定機の不具合がありスタート直後に取りやめとなり、3分後に改めてスタートの号砲が鳴った。
小池は最初からスパートをかけているような速さで、1周目は61秒。この時点で青学の2人とはすでに少し差がついた。1000mを2分40秒で通過と場内にアナウンスが流れると、応援しているチームメートからは「おお〜」と声が漏れた。その後の1000mは2分44秒、2分48秒、2分52秒と次第にペースが落ちた。ラストの1000mでは2分40秒とペースを上げたものの、大会記録の13分45秒20には2秒届かずだった。
このレース、小池は「駅伝を意識して走る」ことをテーマに臨んだ。誰かがついても、駅伝は最初から突っ込むのが基本だと考え、2分40秒で入る想定でそれをクリア。そこから粘ることを意識していたが、「やっぱりまだまだ自分の地力が足りないというか、3000mから4000mで休んでしまって。最後2分38秒で上がれば13分45秒を切れたんですが、そこを切れなかったのは自分の甘さというか、大きな課題の一つに挙げられると思います」とまず課題を口にした。
しかし、しっかりと勝ち切れたことは収穫だといい、いいところ、悪いところをしっかりと受け止めて次の出場予定のホクレンディスタンスチャレンジにつなげたいと話した。ホクレンでは10000mで27分台、5000mは13分30秒台、調子が良ければ20秒台も狙いたいと話す。来年の日本選手権5000m出場を視野に入れているが、近年は全体のレベルが上がり、13分25秒を切らないとエントリーメンバーに入れない状況。それも踏まえつつ、「しっかりともう1度30秒台を出して、安定した力を発揮できるようにしたい」と話す。
3人のみのレースとなったことについて、「想定はしていたんですけど、少し残念だなという気持ちです」と率直な気持ちを明かしつつも、全日本大学駅伝関東地区選考会の1週間前、日本選手権の約10日前という日程もあり、各大学があまり重きを置いていないとは理解していた。「開催意義がどうなのかな、というのも少し感じたんですけど、ぼくがしっかり盛り上げたいなという意識を持って臨めました。大会記録は出せなかったんですが、しっかり1人で押せたのは収穫だと思います」と改めて充実した表情を見せた。
まだエースではないが、そうなりたい
小池は昨年度3大駅伝すべてに出場。ルーキーながらチームの主力として存在感を示した。しかし高校時代は強豪・佐久長聖高校にあって、選手層の厚さに阻まれてきた。高校3年時も全国高校駅伝の10人のメンバーには入ったが、出場ならず。だが、しっかりと基礎を高校時代で作ってきたからこそ、大学1年目から駅伝にも出場できた、充実感を感じられた、という。ここからが本当に勝負の1年になってくる、と気を引き締める。
2年生になってから、4月の金栗記念、5月のゴールデンゲームズinのべおかと、実業団選手とともに走る機会もすでにあった。「まだまだ自分の足りない部分というのが明確に見えてきているので、学生だけではなく、日本の頂点に立つという意識を持って今は取り組んでいる段階です」。チームのエースにはなりきれていないが、絶対的な存在になれるように頑張りたい、としっかり高みを見すえている。
初めての箱根駅伝では復路の8区を担当した。「次はしっかりと往路の区間を戦いたいです」と答えると、具体的にどこですか、とさらに突っ込まれ「突っ込むのが自分のルーツの走りなので、ご想像にお任せします。突っ込むのが好きなので」と笑顔でかわした。
今年からユニホームのサプライヤーがミズノからアディダスに変わり、デザインも一新。その感想を聞いてみると「心機一転という形です。ちょっとストライプの印象から離れてしまっているんですけど、黒地のユニホームに赤と青の2本で強力なインパクトを与えられるように、駅伝シーズン頑張りたいと思います」。穏やかな語り口にも秘めた闘志が感じられる小池。夏を経て駅伝シーズンでのブレイクを期待したい。