大阪経済大は3位通過にも前向き 昨年の31秒差追いつき今年こそ関東勢の一角崩しを
第56回全日本大学駅伝対校選手権大会 関西地区選考会
6月23日@ヤンマーフィールド長居(大阪)
1位 関西大学 4時間09分06秒88
2位 京都産業大学 4時間09分08秒47
3位 大阪経済大学 4時間10分30秒08
4位 立命館大学 4時間11分17秒20
----------ここまで本戦出場------------
5位 関西学院大学 4時間11分23秒04
6位 龍谷大学 4時間19分24秒03
7位 同志社大学 4時間21分49秒73
8位 びわこ学院大学 4時間23分41秒80
9位 摂南大学 4時間25分40秒66
10位 神戸大学 4時間28分56秒33
11位 大阪大学 4時間29分27秒96
12位 佛教大学 4時間31分20秒52
6月23日に開催された第56回全日本大学駅伝の関西地区選考会で、大阪経済大学は3位となり、4大会連続26回目の本戦出場を決めた。2年連続でトップ通過してきたが、今年は大会前に3年生主将の新博貴(西宮北)がけがをするなど主力がそろわず、3年連続のトップ通過はならなかった。だが、3人起用した1年生のうち1人が組トップを取るなど明るい材料も見えた。11月の本戦では、昨年あと31秒で果たせなかった関東勢の一角崩しを狙う。
1・2組の5人、堅実な走りを展開
1組には寺谷光汰(4年、飾磨工業)と河合恒輝(1年、上宮)の2人が選ばれた。例年の1組と比べると少し早い1000m3分のペースで進んだこともあり、寺谷は5~6人の先頭集団にはついていかず、第2集団で自分のペースを守ってレースを進めた。
5000mから先頭集団がばらけると、第2集団は落ちてきた3位以下を吸収するような形に。残り1000mでは寺谷は5番手を追走し、最後は4着まで追い上げてレースを終えた。また、関西インカレ2部3000m障害で優勝を飾ったルーキー・河合は、大きく遅れて16着とほろ苦いデビューとなった。
寺谷は「何があっても全力を出し切ると決めていたんで、できる限りのスパートをかけました」と4年生らしいひと言。「負傷者が多い中でも1位通過を勝ち取るという意気込みで臨んでいます」と、後続の組に期待をかけた。
2組は1000m3分7秒前後のペースで進み、5000mまで14、5人が先頭集団を形成した。樹(うえき)亮太(3年、履正社)、平野幸季(4年、大阪)、上田寛太(1年、交野)の3選手は、集団の中でレースを進めた。その後8000mで関西大学の3選手がそろって集団を抜け出したが、樹と平野はばらけていく集団の中で粘りの走りを見せ、6・7着でゴール。1年生上田も2人から20秒程度の遅れにとどめ、11着となった。
樹は「僕はスパートがないんで、しっかり先頭について後半まで粘っていくという役目は果たせたんじゃないかと思います。湿度も高くて走りづらかったですが、今の最低限の実力は出せたんじゃないかと思います」と話した。
1年生岩坂、同窓生との一騎打ち制し組トップ
雨が激しくなる中、3組がスタート。様子見のように超スローペースの中、1000mを過ぎたタイミングで、場内の電光掲示板に2組目までの5人合計タイムが表示された。大経大は3番手で、トップの関西大学とは2分49秒差。スローペースでは取り返せない差だ。
「自分たちは1位通過を狙っている。これではダメだ」
3組を走る岩坂蓮太(1年、報徳学園)は、タイム差を見てこう思ったという。まだ入学3カ月足らずだが、関西インカレ2部5000mでは2位、5000mの持ちタイムは既にチームで2番目という期待のルーキーだ。岩坂の思いとは裏腹に、その後もレースは大集団のスローペースで進んだが、岩坂は、副主将の佐藤颯(4年、履正社)とともに集団の中でじっと我慢の走りを続けた。
8000mを過ぎたあたりから岩坂は徐々に集団の前方へ進出。9000m手前のバックストレッチで一気にペースアップし、集団を抜け出した。そしてその岩坂にただ一人ついてきたのが、報徳学園の同級生で3年間競い合ってきた大井廉(関西学院大学)だった。2人は後続を引き離して、意地の張り合いのようなマッチレースを2周にわたって繰り広げた。
残り半周、大井が仕掛ける。岩坂を抜いてリードを奪おうとするが、岩坂もついていく。最終コーナーを前に、必死の形相で岩坂が迫り、アウトコースから大井を抜き返すと、そのまま加速を続け、ゴールに飛び込んだ。
岩坂は、「想定よりスローペースになったんですけど、ラストの2kmまでは我慢して、ラスト1kmはしっかりためていたものをまとめる。これを実行できました」。最後に一騎打ちとなった大井については、「(同じ)3組ということで、高校時代以来のレースだったので、2人とも『お互い負けない気持ちを持って、楽しみ尽くそう』とLINEで(事前に)話し合いました。高校時代ともに切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間と走れて、とても最高でした」と話した。
「執念」引き継ぎ、出場圏維持しフィニッシュ
3組終了時点で、大経大は3位をキープ。4組は、婦木拓実(3年、西脇工業)、宮﨑源喜(3年、東海大大阪仰星)、京川大真(2年、神港学園)と、昨年の伊勢路を経験した実力者3人が出走した。レースは、出場圏ボーダーラインを争う立命館大学と関西学院大学勢が引っ張り、大雨で走路が水浸しの悪条件にもかかわらず最初の1000mを2分52秒で入るハイペースで始まった。3000mあたりで京川は先頭集団から遅れてしまう。
5000m過ぎで京都産業大学の小嶋郁依斗(4年、滋賀学園)が抜け出し、集団も二つに分かれた。婦木、宮﨑は第2集団だったが、第1集団からそれほど離されずについていった。婦木はラストで第1集団に迫るようなスパートを見せ7着でゴール。宮﨑は10着、京川は18着に入り、合計タイムでも3位を維持して本戦への出場を決めた。
婦木は、「苦手なラストはしっかり克服できたという収穫はあったので、個人的にはよかったかなと思います」「1年生の岩坂が組トップを取った執念を引き継いで走った感じです」と振り返った。
本戦では昨秋の悔しさ晴らす走りを
3組で走った副主将の佐藤は、「今年もトップ通過が目標だったので、3位になって悔しい思いもあるんですけれども、全日本大学駅伝に出られてひと安心という気持ちもあります」と、欠場者が相次いだ中で、出場権を確保できた結果に安堵(あんど)した。
昨秋の本戦で大経大は16位に入り、関東勢以外の中では最先着した。しかも15位の国士舘大学には31秒差と、背中が見えるところまで迫った。婦木は「全日本は関東と戦える数少ない試合。去年30秒くらい負けてしまったのをひっくり返せる走りをしたいなと考えているので、(今年は)関東勢を1校でも倒すという目標を達成できるようにがんばりたいと思っています」と宣言した。