陸上・駅伝

連載:西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

特集:第56回全日本大学駅伝

西村菜那子が振り返る全日本大学駅伝関東地区選考会 過去に取材した選手たちが活躍!

取材させていただいたこともある立教大の林選手(18番)と國安選手(38番、選考会はすべて撮影・井上翔太)

みなさんこんにちは!

6月23日に全日本大学駅伝の関東地区選考会が相模原ギオンスタジアムで開催されました。この日の相模原市の天気は曇り。今にも雨が降り出しそうな空模様の上、湿度も高く、梅雨特有の天候でレースが始まりました。

上位7チームまでが11月3日に開催される本戦への切符をつかむこの大会は、出走選手が誰か一人でも棄権したら、そのチーム自体も棄権となってしまうシビアな一面があります。選手一人ひとりにかかるプレッシャーも大きく、私も以前、現地へ応援に行ったことがあるのですが、会場全体が独特な緊張感に包まれているように感じました。

関東地区選考会には独特の緊張感があります

勝負勘の良さが際立った松井海斗選手の快走

さて、今回は下記のような結果となりました。

1位 東海大学
2位 東洋大学
3位 早稲田大学
4位 日本体育大学
5位 立教大学(初出場)
6位 帝京大学
7位 神奈川大学

盤石な布陣で挑み、各組で安定した成績を残した東海大学が、見事に1位通過を果たしました。そして1、2、3組でトップの着順を取った東洋大学が2位。最終組で山口智規選手(3年、学法石川)が日本人トップに入る活躍を見せた早稲田大学が3位で通過しました。

中でも私が印象に残ったのは、1組と3組でした。

1組では期待のルーキー・東洋大学の松井海斗選手(1年、埼玉栄)が1位でフィニッシュする活躍を見せました。レース序盤、松井選手はチームメートの岸本遼太郎選手(3年、高知農業)とともに先頭を引っ張ります。途中、岸本選手が遅れると、その様子を伺うように松井選手も後方に下がり、早稲田大学の間瀬田純平選手(3年、鳥栖工業)にトップを譲りました。

1組トップでフィニッシュした東洋大の松井選手

その後、神奈川大学の滝本朗史選手(2年、智弁学園奈良カレッジ)と明治大学の成合洸琉選手(1年、宮崎日大)がペースを上げて粘り強い走りを見せ、このままこの2人がワンツーフィニッシュするかと思いきや、最後一気にスパートをかけた松井選手がトップに躍り出ました。

岸本選手が苦しくなることを察知し、ラストスパートをかけるタイミングを完璧に見極めました。レース後のインタビューでも「チームのために勝ち切るレースができてよかった」とルーキーとは思えないほど落ち着いた様子で、勝負勘の良さが際立っていたように感じました。

1組が終わった時点で、暫定トップは神奈川大学。滝本選手が3着で、大岩蓮選手(2年、愛知)も7着でゴールしました。なんと大岩選手は今回が初の10000mとのこと。神奈川大学は今年の箱根駅伝で21位という悔しい結果で終わりましたが、滝本選手と大岩選手の粘り強い走りは、そこからチームが一段とレベルアップしたことを証明しているようでした。

神奈川大の大岩選手は今回が初めての10000mだったそうです

個人的にうれしかった立教大学の活躍

3組には東洋大学の石田洸介選手(4年、東農大二)や西村真周選手(3年、自由ケ丘)、順天堂大学の吉岡大翔選手(2年、佐久長聖)、早稲田大学・伊藤大志選手(4年、佐久長聖)、山口竣平選手(1年、佐久長聖)といったスピードランナーが集結し、注目が集まりました。

中でも光ったのは、東洋大学の石田選手。5月の関東インカレ男子1部10000mで日本人4位に入り、復活した姿が話題を呼びました。今回の関東地区選考会3組では1着を勝ち取り、より完全復活が近づいていると思います。

途中まで先頭を走っていたチームメートの西村選手に遅れがありましたが、それを補うかのようにラスト1000mでは後続を引き離す力強いスパート。なんとラスト1000mは2分38秒ほどのタイムで駆け抜けたそうです。

石田選手の走りに、またもやX(旧・Twitter)では関東インカレのときと同様、歓喜のコメントがあふれていました。ラストイヤーの今シーズン、3大駅伝での活躍がより楽しみですね。

3組にはスピードランナーが集まりました!

そして個人的にうれしかったのは、立教大学の活躍でした! 石田選手に続く2着に林虎大朗選手(4年、大牟田) 、3着に國安広人選手(3年、須磨学園)が入りました。私は以前、立教大学が「立教箱根駅伝2024」の記念事業で制作したPVに出演させていただき、当時2年生だった林選手と1年生だった國安選手にお話を聞いたことがあります。

中でも林選手は「箱根終わりに成人式があるから、絶対に箱根に出場して地元のみんなからお祝いされたい」と少し恥ずかしそうにおっしゃっていました。あれから約1年半が経ち、最終学年となった林選手が華々しい結果を残す選手に成長しました。

この結果はおそらく、地元の友人たちにもしっかり届いていることかと思います。林選手や國安選手といった、過去に取材した選手の活躍はとてもうれしいです。

過去に取材した選手たちの活躍はうれしいですね!(撮影・齋藤大輔)

「スポーツは何が起こるかわからない」と実感

今回は法政大学が途中棄権となるアクシデントがあり、改めて「スポーツは何が起きるかわからない」と実感しました。選手の皆さんはこれから夏合宿を控え、3大駅伝に向けた練習が本格的にスタートします。

夏を終えた選手の皆さんが、どんな駅伝シーズンを迎えるのか。今からとても楽しみです。早いことに2024年の上半期も終わりますが、下半期もともに駅伝を楽しんでいきましょう!

西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

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