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白鷗大・小畠一真 WUBS最終戦の朝、チームに合流 声で引っ張りピンチ救った主将

インカレ連覇を狙う白鷗大学の主将・小畠一真(すべて撮影・井上翔太)

Sun Chlorella presents World University Basketball Series

8月10~12日@国立代々木競技場第二体育館
白鷗大学の大会結果
●69-73 シドニー大学
●58-80 日本学生選抜
○95-55 ペルバナス大学

台湾や韓国、オーストラリアなどから強豪大学が集まる国際バスケットボール選手権「Sun Chlorella presents World University Basketball Series(以下、WUBS)」が8月10~12日に開催され、2年連続出場で昨年準優勝の白鷗大学は8チーム中7位だった。連敗スタートからの最終日、今季キャプテンを務める小畠一真(こばたけ・かずま、4年、開志国際)がチームを勢いづけ、3連敗を免れた。

WUBSの最終戦にスタートから出場、積極的なプレーを見せた

最初の2戦はベンチ外、会場で連敗を見届け

初戦は昨年最下位で、今大会に向けて並々ならぬ決意を持って臨んだシドニー大学に69-73で競り負け、2戦目は日本学生選抜に58-80で敗れた白鷗大。チームが失意に陥る中、ペルバナス大学(インドネシア)との最終戦で意地を見せるべく、期待をかけられたのが小畠だった。本人は2戦ともベンチ外で、連敗の様子を会場で見届けていた。「上から見ていて、チームの雰囲気が良くないことは分かっていました」

2戦目の夜、網野友雄監督から最終戦での起用方針を伝えられた。「キャプテンとしてリーダーシップを取ってほしかったというのが、すべてです。なかなか2戦とも、チームとしてまとまっている姿を見せることができていなかったので、そこの部分で助けてほしいという話をしました」と網野監督。ベンチ入りメンバーは会場近くに宿泊先があるものの、小畠らベンチ外は拠点がある栃木県小山市から会場の国立代々木競技場第二体育館(東京都渋谷区)まで電車で来ていた。

過去2戦は会場で連敗を見つめ「雰囲気が良くないことは分かっていました」

小畠は3戦目の朝、チームに合流。前日にどのようなミーティングが行われていたのかは把握しきれなかったが、相手の映像を見て「このプレーをさせてはいけない」「これはやっていこう」という軽い目線合わせはした。そのままスタートからコートに立った。

キャプテンに立候補「最後はチームを勝たせたい」

「自分が出ている時はもっとエナジーを出して、チームを鼓舞して。『これが終わったらすぐに(関東大学)リーグ戦が始まるので、そこにつながるような試合をしよう』ということを、みんなには伝えていました」

小畠がそう振り返る通り、チームは序盤から激しいディフェンスを見せた。小畠自身も第3クオーター、相手のゴール下でボールを奪い取ってそのままシュートを沈めたり、八重樫ショーン龍(2年、仙台大附明成)にノールックでパスを通したりと躍動。持ち味の3ポイントも3度沈めた。95-55で完勝し、「前日まで負けていた流れをここでしっかりと断ち切れた」と誇った。

網野監督は「試合前のミーティングから響くことを言ってくれた」と小畠に感謝する

小畠にとっては、これが今シーズン初の公式戦だった。春にあった関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)もベンチ入りしていない。「スキルが同じだったら下級生」(網野監督)という起用方針に加え、自身の就職活動や6月は4週間、地元で教育実習に出ていた影響も少なからずある。

3年目までも、プレータイムをそれほどもらえていなかったが、小畠は自らキャプテンに立候補した。全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)を制した後の昨年12月末、今の4年生たちに網野監督から「キャプテンをやりたい人がいたら、俺に言ってきて」と告げられた。小畠は「今までチームに迷惑をかけることが多かったので、最後はキャプテンとしてチームを勝たせたい」と自ら名乗り出た。

フリースローを放つ小畠。この日は2本放ち、いずれも成功

「自主練しても意味ない」と思う時期もあった

開志国際高校3年だった2020年、最後のウインターカップは3回戦を前に棄権を余儀なくされた。1回戦で対戦したチームの関係者に新型コロナウイルスへの感染が確認され、開志国際の選手が濃厚接触者となる可能性があるとして、大会を主催する日本バスケットボール協会から棄権を指示された。

小畠は高校バスケが不完全燃焼な形で終わったことに加え、「バスケが強くて教員免許を取りたい」と志して進学した白鷗大でも出場機会に恵まれず、一時期は「自主練をしても意味ない」という態度を取ってしまったこともあった。今はキャプテンになったことで、「自分が試合に出る出ないに関係なく、チームを引っ張っていきたい」と心変わりができている。

実際、網野監督からの評価も高い。小畠のリーダーシップで長(た)けている部分について尋ねたところ、「文句を言わず、普段の練習に取り組んでくれるところですね。スプリングトーナメントもWUBSの1、2戦目もベンチから外れて、本人にとっては苦しい中でも、いい顔をしてバスケットをやってくれる。そこはみんなからの信頼を得ていると思います」と答えてくれた。小畠は茨城県の神栖第三中学校で教育実習を行ったことで、人前で話すことに抵抗感がなくなったと分析している。「網野さんからも『春から比べると全然違う』と言われました」

チームに迷惑をかけた分、ラストシーズンにこれまでの悔しさをぶつける

WUBSを終え、8月下旬にはインカレにつながる関東大学リーグ戦が開幕する。インカレでの連覇を狙う白鷗大には、プレーで貢献できる時間が少なくても、声で引っ張り、ピンチでチームを救えるような頼れるキャプテンがいる。

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