陸上・駅伝

特集:第93回日本学生陸上競技対校選手権大会

東洋大・網本佳悟 日本インカレ8位のレースは「10点」勝負強さ磨き、駅伝初出走へ

駅伝シーズン前にチームに勢いをつけたかったと悔しさを語った網本(すべて撮影・藤井みさ)

第93回日本学生陸上競技対校選手権大会 男子10000m決勝

9月19日@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(神奈川)

優勝 シャドラック・キップケメイ (日本大2年)28分41秒26
2位 スティーブン・レマイヤン(駿河台大2年)28分43秒82
3位 ラファエル・ロンギサ(拓殖大2年)28分48秒03
4位 ソロモン・ムトゥク(創価大1年)29分13秒25
5位 ビニアム・テスファイゼラツィオン(武蔵野学院大2年)29分23秒93
6位 ネルソン・マンデラビディ(桜美林大3年)29分40秒72
7位 小嶋郁依斗(京都産業大4年)29分47秒19
8位 網本佳悟 (東洋大3年)29分50秒57

9月19日の日本インカレ1日目に行われた男子10000m決勝で、東洋大学の網本佳悟(3年、松浦)が8位に入った。自らの走りを振り返り「(100点満点中)10点」と辛口評価も、今後の駅伝シーズンに向けて活躍を誓った。

ラスト2周で前に出るも、日本人トップならず

16時ごろにゲリラ豪雨があり、雨は上がったが非常に蒸し暑い中でスタートしたレース。19人が出場し、そのうち6人が留学生だった。スタートするとすぐに桜美林大学のネルソン・マンデランビティ(3年)が飛び出し、そこに東京大学の古川大晃(D4年、八代)がついた。2周目には他の留学生が2人に追いつき、先頭集団は7人に。その他の選手は少し離れて大きな集団を形成し、網本もそこについた。

序盤、第2集団を引っ張ったのは札幌学院大学の渡邊隼翼(4年、清陵情報)。網本は集団の後方から徐々に位置取りを前に上げた。5000mを過ぎたところで京都産業大学の小嶋郁依斗(かいと、4年、滋賀学園)が前に出てペースを上げる。集団がばらけ始めたが、網本はしっかりと小嶋のペースについていった。

日本人トップを狙い、勝ちにこだわって出場した

6000mを過ぎたところで留学生集団についていた古川が離れ、単独走に。その後ろの集団は小嶋、網本、湘南工科大学の松田朋樹(4年、白鷗大足利)の3人に絞られ、古川を追った。徐々に距離は縮まり、残り4周となったところで3人は古川を捉え、抜き去った。

ラスト2周のところで網本が前に出たが、ペースを上げた小嶋に抜き返された。ラストスパートでさらに差をつけられ、小嶋から3秒離されてのゴールとなった。

勝ちにこだわったからこその悔しさ

「日本人トップ、勝つことにこだわってこのレースに臨みました。引っ張ってもらったのに最後勝つことができなくて……。駅伝シーズンに向けて、個人としてもチームとしても勢いをつけたいというところがあったので、そこが悔しいなと思います」。レースを振り返って、網本はまずこう口にした。

古川が留学生についていったが、最後日本人集団が上がっていくだろうという判断をして第2集団でレースを進めた網本。ラストスパートには自信を持っていたため、勝ち切りたかった。しかし最後はずっと集団を引っ張っていた小嶋に負けてしまった。「引っ張ってもらったからには勝ちたいと思いましたし、一つもいい場面が見せられませんでした」といい、100点満点中何点ですか?との質問には「10点ですね」と返した。

残り2周で前に出るも、小嶋(中央)に抜き返されてしまった

網本は1年時から3大駅伝のメンバーに入っているが、まだ出走には至っていない。駅伝を走るために足りないところをたずねてみると「やっぱり自分の大会の結果とか、勝負強さが足りていなかったのかなと思います」。だからこそ今回も勝ちにこだわってレースに臨んだ。「勝負強さを身につけていけば、今年はしっかりメンバー争いに絡めるのかなと思います」

どちらかというとスピードは苦手だという。前半シーズンはその苦手を克服するために取り組み、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では2組目の組トップ。7月の関東学連主催の網走記録会では28分31秒26をマークし、自己ベストを更新した。「ものすごく自信になりました」と自身の成長を実感でき、夏合宿を迎えた。夏合宿では前半とは逆に、距離をしっかりと踏むことをテーマに取り組み、しっかりと練習をこなすことができたと話す。

自分の走りで4年生の、チームの力になりたい

この日は主将の梅崎蓮(4年、宇和島東)らチームメートも応援に来ていた。レース前は「頑張ってきて」「応援してるよ」と声をかけられ、レース中も応援の声が聞こえていた。競技面でも、生活面でもチームを引っ張ってくれる4年生を支えたいという思いが網本にもある。「やっぱり自分も4年生を見習って、結果でも態度でもチームを引っ張っていければと思います」。そのためにはやはり、自分がメンバー入りして走りでも貢献したい。

同級生には緒方澪那斗(3年、市立船橋)、西村真周(3年、自由ケ丘)、岸本遼太郎(3年、高知農業)などすでに駅伝を走ったメンバーがいる。彼らが走ってしっかりと結果を残す姿に刺激をもらうとともに、「負けたくない」という気持ちも大きい。「全員で切磋琢磨(せっさたくま)して頑張っていきたいです」

チームは出雲駅伝、全日本大学駅伝では3位以内、箱根駅伝では優勝争いを目標に掲げている。それには梅崎、副主将の小林亮太(4年、豊川)エースの石田洸介(4年、東農大二)に次ぐ中間層の選手たちの底上げ、活躍が必要不可欠だ。網本もその一人として期待されていることは間違いない。

自分の走りでチームに貢献したい。秋の駅伝シーズンでの活躍を目指す

「普段応援してもらっている方々、支えてもらっている方々に対しての気持ちを結果で返したいという気持ちが強いので、やっぱり駅伝に出走して、いい結果で終わりたいなと思います」

今回のレースを「10点」と言いながらも、「課題が見つかったということは無駄なレースではない」と前向きな言葉を口にする網本。個人としても、チームとしても勝負強さにこだわり、さらなるレベルアップをして秋のシーズンを迎える。

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