甲南大・岡本駿 城南高校時代は主に内野手、いまは「投手一本」で勝負し、目指すプロ
1年春から阪神大学野球リーグのマウンドに立ち続け、ストレートの最速は149キロ。甲南大学の岡本駿(4年、城南)はカットボール、チェンジアップといった変化球も駆使する本格派右腕として、下級生の時からひそかに注目を集めてきた。
スピードだけでなく、まとまりの良さでも勝負
1年秋にリーグ戦初勝利を挙げ、1部で通算9勝を挙げている右腕は9月7日、自身の大学ラストシーズン開幕戦となった大阪産業大学戦に先発し、7回を5安打無失点。勝ち星を挙げ、幸先のいいスタートを切った。
一方 今季2戦目の関西外国語大学戦は、3球団のNPBスカウトが見守る中でのピッチングとなり、一回にいきなり3四球。2死満塁のピンチを作ってしまい、何とか無失点でしのいだ。
「初回は慎重に入ろうと思っていたんですけど、球が走っていた分、コントロールが定まらなかったです。自分でも焦ってしまいました。(ピンチを切り抜けた後は)自分の悪いところをみんなに聞いて、少しずつ修正しました。真っすぐが上に抜けていたので、たたくイメージで投げるようにしたら、徐々に安定してきました」
本来はスピードだけではなく、まとまりの良さでも勝負できる右腕。四回から立ち直り、自分のリズムを取り戻すことはできたが、1点リードで迎えた六回、先頭打者に安打を許すと、四球で走者をため、逆転の2点二塁打を浴びた。
「力が入りすぎて、打者に流れを持っていけなかったです。自分の持ち味はテンポの良いピッチング。甲南打線が勢いづくようなピッチングをしないといけないのに、ゼロで抑えるべきところをゼロに抑えられず、打ち取るべき場面で打ち取れなかった」。7回2失点で敗戦投手となってしまったことに、唇をかんだ。
ショートの経験がピッチャーに生きる面も
城南高校(徳島)時代は主に内野手。三塁がメインで、練習試合では2戦目で先発投手も務めていた。大学では「投手一本でプレーしたい」と思っていたが、実際にプロを目指そうとまでは思っていなかったという。
「野手としてやっていく自信がなくなって、投手で頑張ろう、と決めたことが一番なんですけれど、肩にはもともと自信がありました。高校2年の時に遠投で105mを投げたことがあって、同級生の中では強い方だったと思います」
小、中学校の時は「ショート兼ピッチャー」だった。ショートを経験したことで「指先の感覚がピッチャーとして生きている部分はある」。これまでの経験をピッチングにつなげながら、スキルアップしていることを実感している。
「目標は勝てる投手です」
そんな岡本の名が関西圏のスカウトの間で広まり始めたのは昨秋。伸び盛りの右腕を一目見ようと、入れ代わり立ち代わりにグラウンドへスカウトが訪れるようになり、プロ入りへの意識が強くなった。「いろんな人に見に来てもらったことで、少しずつ自分に自信がついてきた」と本人。今年の4月にプロ志望届を提出することを決断したという。
「目標は勝てる投手です」ときっぱり口にする。全体的なピッチングの精度などでは、まだ粗さも見え隠れするが、そこも含めて伸びしろと評価するスカウトも多い。まだまだ続く最後のリーグ戦。大学ラストシーズンを最高の形で締めくくり、次のステップへ。岡本の挑戦は、まだ始まったばかりだ。