陸上・駅伝

特集:第101回箱根駅伝

中央大が最多98回目の箱根駅伝へ 佐野拓実主将が築いたチームの輪で、上位を目指す

総合で17位に入った白川陽大(右から2人目)と24位の岡田開成(撮影・藤井みさ)

第101回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会

10月19日@陸上自衛隊立川駐屯地~立川市街地~国営昭和記念公園の21.0975km

1位 立教大学   10時間52分36秒
2位 専修大学   10時間53分39秒
3位 山梨学院大学 10時間54分06秒
4位 日本体育大学 10時間55分58秒
5位 中央学院大学 10時間56分01秒
6位 中央大学   10時間56分03秒
7位 日本大学   10時間56分53秒
8位 東京国際大学 10時間58分53秒
9位 神奈川大学  10時間59分12秒
10位 順天堂大学  11時間01分25秒

10月19日の第101回箱根駅伝予選会で、中央大学が6位に入り、8年連続98回目の本戦出場を決めた。年始の本戦では体調不良の選手が続出するアクシデントに見舞われ、シード権の獲得もかなわなかった。今年は、佐野拓実主将(4年、洛南)を中心にチームの結びつきを強くし、本戦での上位進出をうかがっている。

6位通過に表情は硬く

6位での予選通過を知らせるアナウンスが流れても、中央大学のメンバーはうつむいたままで、白い歯をのぞかせることはなかった。吉居駿恭(3年、仙台育英)、溜池一太(3年、洛南)、柴田大地(2年、洛南)という主力を欠いた中でも、上位通過を期待されていただけに、表情は硬かった。

レース後のインタビューで藤原正和監督は、当初から吉居を走らせるつもりはなかったことを明かした一方、溜池と柴田は9月ごろに故障し、全日本大学駅伝を念頭に出場を見送ったと説明した。そのうえで、2021年以来の予選会となったことに「10番目までに入らなければ、全てを失うぐらいのつもりでやらないといけなかった。その危機感を共有するのは難しい面もあったが、4年生がしっかりとチームを作ってくれました」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

予選通過が発表されても、中央大学の選手は硬い表情を崩さなかった(撮影・松崎敏朗)

チーム内の順位は、今年の本戦で9区を走った白川陽大(3年、大塚)がトップで、1時間3分58秒と総合17位に入った。1年生の快走も目立ち、上位10人のうち4人を占めた。5月の関東インカレ5000mで13分53秒32の自己ベストで6位入賞した岡田開成(1年、洛南)は、1時間4分28秒で白川に続き、総合24位でゴールした。「予選通過は当たり前で、1位通過を狙っていました。日本人のトップ集団で粘れるかな、と思っていましたが、経験が足りなかったのと、フォームが安定しなくて内臓が揺れたことが課題でした」と、岡田は悔しさをにじませた。

1年生ながら、チーム内2番目にフィニッシュした岡田開成(撮影・藤井みさ)

「誇りを持って走れるように」

今年の本戦は、上位進出の期待を集めながらのシード落ち。難しい船出となった主将の佐野は、チームの輪を強くすることに力点を置いてきたという。「駅伝では一つになることが非常に大切な要素。口で言うのは簡単ですが、本当の意味で代表として選ばれたメンバーが誇りを持って走ることができるよう、チーム力を高めてきました」と、この10カ月間を振り返る。

重視したのは、コミュニケーションを活発にして、風通しをより良くすること。自身が上級生と下級生のハブになって、会話を増やすことに注力し、日常生活でも下級生から声をかけることができるよう雰囲気を変えていったという。「怖い雰囲気があると、なかなかできないんですが、今では、後輩からジョグに誘うようにもなりました」と選手同士のつながりを深めてきたことに手応えを感じている。

チームの輪をつなぎ、総合力の向上に努めてきた主将・佐野拓実(撮影・松崎敏朗)

目標は全日本5位以内、箱根で3位以内

予選会では、市街地に出てからの照り返しが強く、思うように走れなかったが、佐野は「半年間、僕なりに引っ張ってきました。それが良い感じの結果に結びついてきた自信があります」と前を向く。名門の主将は、その世代のいわば顔にもなり、重圧にもさらされる。「大舞台で主将にしか感じられないプレッシャーや責任感を感じられることは光栄だと感じますし、誇りに思っています」と言葉に力を込める。

今後の目標は、11月の全日本大学駅伝で5位以内、来年1月の箱根駅伝本戦では3位以内をそれぞれ掲げている。「泣いても笑っても、あと3カ月。何とか良い思いをして終わりたいです」。箱根駅伝最多となる98回目の出場を決めた名門・中大。新しくつないだチームの輪を生かし上位進出をうかがっている。

in Additionあわせて読みたい