陸上・駅伝

上原琉翔をはじめ、國學院勢は4人が学生ハーフ60分台「他の大学にプレッシャーを」

学生ハーフ3位の國學院大・上原琉翔、主将として新チームを引っ張る(撮影・藤井みさ)

第28回 日本学生ハーフマラソン選手権大会

2月2日@香川県立丸亀競技場ハーフマラソンコース

優勝 工藤慎作(早稲田大2年)  1時間00分06秒
2位 馬場賢人(立教大3年)  1時間00分26秒
3位 上原琉翔(國學院大3年) 1時間00分30秒
4位 帰山侑大(駒澤大3年)  1時間00分32秒
5位 吉中祐太(中央大3年)  1時間00分45秒
6位 近田陽路(中央学院大3年)1時間00分45秒
7位 青木瑠郁(國學院大3年) 1時間00分47秒
8位 辻原輝(國學院大2年)  1時間00分51秒
9位 野中恒亨(國學院大2年) 1時間00分54秒

2月2日に開催された第28回日本学生ハーフマラソン選手権大会で、國學院大學の新主将・上原琉翔(3年、北山)が3位に入った。「超高速コース」として知られる香川丸亀国際ハーフマラソンとの併催だった今大会。國學院大勢は上原を含めて4選手が60分台をマークし、年始の箱根駅伝で味わった悔しさをぶつける形となった。

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FISUワールドユニバーシティゲームズ内定をめざし

レースには2025年度の大学駅伝界で有力視される選手たちのほか、駒澤大学の篠原倖太朗(4年、富里)や中央学院大学の吉田礼志(4年、拓大紅陵)、國學院大の山本歩夢(4年、自由ケ丘)ら、春から実業団に進む選手たちも丸亀ハーフの招待選手として出場。前日の記者会見では篠原が、達成すれば日本新記録となる「59分台」を目標に掲げ、高速レースとなることが予想された。

「レースプランは考えていなくて、学生の中でユニバ(FISUワールドユニバーシティゲームズ、7月・ドイツ)を勝ち取るという思いで臨みました」と上原。学生ハーフの出場者で3位までに与えられるユニバ内定をつかむべく、スタートした。

「絶対にユニバを勝ち取る」という覚悟を持って臨み、実現させた(撮影・井上翔太)

ペースメーカーを含む先頭は、最初の5kmを14分05秒で通過。次の5kmにかけてはさらにペースが上がり、10km通過タイムは28分02秒だった。先頭集団についた学生ハーフ出場者は立教大学の馬場賢人(3年、大牟田)だけで、その後方に吉田が引っ張る学生中心の集団が続いた。

上原は「28分20秒切りがベースになるのかなと思って、10km過ぎまでは集団についていって、学生の中で勝負するという気持ちで走っていました」。想像以上のハイペースに14km付近から「アップアップになってしまった」と振り返るが、ラストの5kmを粘りきり、1時間00分30秒でフィニッシュ。山本が持っていた1時間00分43秒の國學院記録を塗り替えた。ただ本人はレース後、「学生のレベルが上がってきていることを感じたので、このタイムで満足するわけにはいかない。60分切りをめざしながら、ハーフの力をつけていきたい」と気を引き締めていた。

高速レースを最後まで粘りきり、フィニッシュ後は苦しそうな表情も見せた(撮影・井上翔太)

箱根駅伝の後、すぐに練習を再開

チームは今年度、主将の平林清澄(4年、美方)を中心に、出雲駅伝と全日本大学駅伝で優勝を果たした。しかし、学生3大駅伝の「三冠」を狙って出場した第101回箱根駅伝は、3位だった。「箱根で負けたことで『長い距離に弱い』という印象があった中、迎えたハーフマラソンだった」と上原は言う。

箱根駅伝の後、例年は帰省の期間を挟むが、今年は疲れを抜く期間を2、3日設けただけで、すぐに練習を再開した。この日は主力が学生ハーフ、他のメンバーは神奈川マラソン(ハーフ)に出場。箱根で5区の山登りを担った高山豪起(3年、高川学園)は平林とともに別府大分毎日マラソンに出走したとはいえ、チーム全体としてはハーフマラソンの強化に充ててきた。

「『積極的に距離を踏もう』『アップダウンを走ろう』と声かけをして、箱根からすぐに気持ちを切り替えてきました」と上原。自身は1週間で200km以上の距離を走ることもあったという。「箱根の疲労もあったんですけど、『そんなの言ってられないな』と。去年の平林さんを超えるべく、自分が積極的に取り組んで、チームに示しています」

第101回箱根駅伝では9区区間6位「不完全燃焼だった」と振り返る(撮影・佐伯航平)

学生ハーフの結果は、箱根後の取り組みが成果となって表れた形だ。上原をはじめ、前回優勝の青木瑠郁(3年、健大高崎)、辻原輝(2年、藤沢翔陵)、野中恒亨(2年、浜松工業)の4選手が60分台で走破。尾熊迅斗(1年、東京実業)と飯國新太(1年、國學院久我山)は初めてのハーフマラソンで61分台の快走を見せた。上原は「欲を言えば、上位3人を國學院で占めるつもりで臨んだんですけど、他の大学に大きなプレッシャーを与えることはできたと思います。箱根の悔しさを晴らすことができたので、チームとしてはプラスに働くと思います」と手応えを口にした。

「チームを盛り上げるタイプ」の新主将

昨年は出るレースで勝ちきることを掲げ、平林の大阪マラソン優勝や青木の学生ハーフ優勝で勢いづき、駅伝シーズンにつなげていった印象がある。では、今年は? と尋ねると、上原は「距離に対応できていなくて、箱根で負けてしまった。どのレースも勝負はする中で、特に箱根に集中して臨むというところがベースになってくると思います」と答えてくれた。箱根の借りは箱根で返す。この芯がしっかりしているから、1月からハーフマラソンの距離に特化した練習を積み、この日に照準を合わせてきたということがうかがえる。

前主将の平林が時に強い言葉でチームを引っ張るタイプなら、上原は「チームを盛り上げていくタイプ」と自己分析する。前年のチームと同様、まずは箱根後に一つの成果を出した。来年の箱根では雪辱を果たせるか。今後も注目していきたい。

箱根で味わった悔しさをまず一つ晴らした。本当のリベンジはここからだ(撮影・井上翔太)

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