帝京大・浅川侑大　箱根駅伝11番手の悔しさを糧に「自分はチームの主力」とアピール

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3月9日に開催された立川シティハーフマラソンの男子で、帝京大学の浅川侑大（2年、洛南）が生徒・学生の部の2位に入った。年始の第101回箱根駅伝では16人のエントリーメンバーに名を連ねたものの、出走はかなわず。「自分はチームの主力なんだ」とアピールする気持ちで臨み、実力を示した。

「自分の位置を知る」目的で出走

立川ハーフは例年、日本学生ハーフマラソン選手権との併催だったが、今年から学生ハーフが「学生チャンピオンシップ大会としてよりレベルの高い競技会」に位置づけられている香川丸亀国際ハーフマラソン大会との併催に移った。そのため立川ハーフには、同じ場所で行われる10月の箱根駅伝予選会を見据えたチームの選手が多く出場。箱根駅伝で10位に入り、シード権を獲得した帝京大は「他大学や帝京大学内での自分の位置を知る」（浅川）ことを主な目的に、陸上自衛隊立川駐屯地のスタートラインに立った。

浅川は中野孝行監督から「優勝を狙え」と言われていたと明かす。レースは駐屯地から立川市街地に飛び出し、国営昭和記念公園に入ってしばらくした13km付近で、中央学院大学の近田陽路（3年、豊川）が先頭に出た。昨年は同じコースの学生ハーフで2位に入った実力者のペースアップに、「反応したのが僕ともう一人だった」と浅川。その選手もすぐに離れてしまい、ここから一騎打ちの様相となった。

「今回はスタートリストがなかったので、最初は『誰が出る』というのは気にしても無駄だなと思っていたんです。なので特に誰もマークしていなかったんですけど、近田さんが前に出たときに、ゼッケンの名前を見たら『近田』って書いてあって……。『あ、めちゃくちゃ速い人じゃん！！』と思って、勝ちに行きました」

タイム差は縮まったが「内容は完敗」

2人による先頭争いも、終始近田が引っ張った。浅川は18km付近で足を少し滑らせ、ちょっとだけリズムを崩してしまった。そこからズルズルと離されてしまい、優勝した近田とは18秒差の1時間02分29秒の2位でフィニッシュ。「欲を言えば、先頭でレースを進めて勝ちきれたら、もっと自信にできたんですけど、近田さんや他大学の選手との差がある程度分かったので、そういう意味では良かったかなと思います」と振り返った。

2人は、2月に丸亀であった学生ハーフにも出走している。このときは近田が6位で1時間00分45秒。浅川は47位で1時間01分59秒。1分以上の差をつけられていたが、今回の立川ではその差を縮め、中野監督も評価していた。ただ本人は、「丸亀の時はもっと周りにレースを作る選手がいて、流れに乗っていればタイムが出るようなレースでした。今回は近田さんがほとんど1人で作ったレース。タイムだけを見れば縮まりましたけど、内容は完敗です。正直、実力差も縮まったとは、まだ言えないという感覚です」。レースを引っ張ってもらったからには、自分が勝ちたかったという思いがあふれた。

試される「世界一諦めの悪いチーム」の底力

箱根駅伝は「11番手」の選手だった。誰か1人が直前の体調不良などで走れなくなったときに、出番が回ってくる位置だ。だからチームが結果的に10位でシード権を獲得しても、浅川自身、心からは喜べなかった。「自分は主力なんだ」。そうアピールするため、丸亀にエントリーしたが、今度はレースの1週間前に胃腸炎になってしまった。「体調を崩してしまって、それでも『走れてしまった』みたいなところが丸亀ではあったんです」。立川では、丸亀の走りを再現するという意味合いもあった。

春から上級生になるという自覚も十分にある。今季の目標を尋ねられると、「箱根を走るということは大前提で、区間賞を取るということを胸に刻んで、他大学の主力の選手にもビビらずに挑んでいきたいです」。箱根の希望区間は9区。これは年始に小林大晟（4年、鎮西学院）が9区を託されたとき、「小林さんなら大丈夫だ」と周囲が言っていたことに起因している。「自分もそういう選手になりたい。でも、上りが嫌いということもないので、どの区間でも任されたところを走りたいです」

小林大晟や山中博生（4年、草津東）、福田翔（4年、世羅）といった力のある4年生が抜け、今季は「世界一諦めの悪いチーム」の底力が試される。新年度はすでに出雲、全日本、箱根の学生3大駅伝すべてで出場権を獲得していることを追い風に、浅川を筆頭に新しい力がどれだけ台頭してくるか、楽しみに待ちたい。