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特集:New Leaders2025

東洋大・池田彪我主将 4度の入れ替え戦を経験し「メンタルは鍛えられた」次は優勝を

今季の東洋大を引っ張る池田彪我(提供・東洋大学硬式野球部)

東都大学野球リーグの名門・東洋大学が1部リーグの舞台に戻ってくる。2021年春、入れ替え戦に敗れて2部に降格。2023年秋に1部復帰を果たしたものの、1シーズンで再び2部に降格し、この4年間は苦戦を強いられてきた。昨秋は2部リーグを制し、入れ替え戦で東京農業大学に連勝して1部復帰を決めた。強打の三塁手・池田彪我(ひゅうが、4年、三重)が今年度の主将を務め、チームを引っ張る。

昨秋は終盤戦と入れ替え戦で勝負強さを発揮

2部リーグ通算6本塁打の長打力と勝負強さが、池田にとって一番のアピールポイントだ。高校時代も最終学年時は主将を務め、高3夏は甲子園に出場、福井・敦賀気比高校と戦った3回戦では、5点を追う八回に2点本塁打を放った。試合には敗れたものの、逆方向、左翼スタンドへの一発で野球ファンに強い印象を残した。

高3夏の甲子園で逆方向への一発を放ち、強いインパクトを残した(撮影・田辺拓也)

大学では1部リーグで戦った2年秋に一塁手のレギュラーをつかみ、リーグ5位の打率2割9分7厘をマークしてベストナインを獲得。3年生になった昨秋は、2部優勝を決めた駒澤大学との3回戦で2点を追う九回裏、1点差に迫るソロ本塁打を放った。チームはこの一発で勢いを取り戻し、タイブレークの延長十一回にサヨナラ勝ち。東京農業大学との入れ替え戦1回戦では、同点の九回裏にサヨナラ本塁打。秋のリーグ戦は打率1割9分2厘、4打点と本来の力を発揮できずにいたが、終盤戦と入れ替え戦では勝負強い打撃で1部復帰に大きく貢献した。

「今までの野球人生を振り返ると、自分はチャンスにあまり強くない方だと思うんです(苦笑)。でも打者は10回中3回打ったら一流と言われるわけですから、7回失敗できる。そう思ってマイナスな考えは持たないようにしています」と池田は打席での割り切り方を語る。

昨秋の入れ替え戦でも勝負強さを発揮(提供・東洋大学硬式野球部)

3年生ながら「ゲームキャプテン」を務め、主将に立候補

昨年は4年生の野手に試合に出る選手が少なかったため、秋は池田が3年生ながらゲームキャプテンを担った。最終日の勝ち負け次第で東洋大学、駒澤大学、専修大学の3校に優勝の可能性が残る中、前述の駒澤大戦をサヨナラで制し、2部優勝をつかみ取った。混戦のリーグ戦を中心メンバーとして戦っていくうちに、池田の心の中で「次はこのチームで自分が主将をやりたい」という気持ちが強くなってきた。

「歴史のあるチームで主将を自分がやっていけるかという不安もちょっとありましたが、1部に上がれて日本一を狙えるステージに立てたので、『チャレンジしたい』『やってやろう』という気持ちが強くなりました」

入れ替え戦の後、池田と遊撃手の宮下朝陽(4年、北海)の2人が主将に立候補した。部員による投票の結果、池田が新主将に選ばれた。宮下に加え、二塁手の吉田元(4年、龍谷大平安)、外野手の花田旭(4年、大阪桐蔭)、投手の島田舜也(4年、木更津総合)が副主将に就任した。

池田は「宮下には自分と一緒にチームのまとめ役をしてもらい、吉田は内野手陣を、花田は外野手陣を、島田は投手陣をまとめてくれています」とそれぞれの役割を説明する。幹部の間で密にコミュニケーションを取るように心がけている。

昨年はゲームキャプテンを務め「次は自分が主将をやりたい」という思いを強くした(撮影・小川誠志)

2023年秋、第3週からの失速を教訓に

投手陣の軸となるのは、最速154キロを誇るドラフト候補右腕の島田だ。昨秋は2部リーグで5勝を挙げ、2部最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率(0.64)の3タイトルを獲得した。打線は金丸健司(3年、上尾)、中村瑠斗(3年、拓大紅陵)らがガッツあふれるプレーでチャンスを作り、池田と右打ちの長距離砲・宮下、花田、昨年は春秋連続で2部ベストナインの髙中一樹(2年、聖光学院)らがかえす役割を担う。

2023年秋の1部リーグでは、開幕から第1週、第2週と連続で勝ち点を取り「昇格即優勝」を期待されたが、第3週以降は勝ち点を奪えず、混戦の中で最下位に終わった。「2年前は最初に勝ち点2を取れた中で、ちょっと気の緩みというか、いけるんじゃないかという雰囲気になってしまった」と池田は反省する。今春も『優勝』『日本一』を目標に掲げるが「一戦必勝の気持ちを大事にしていきたい。目の前の相手に勝つこと、その積み重ねの中で優勝の可能性も出てくると思います」と引き締める。

池田のバットにチームの浮沈がかかっている(提供・東洋大学硬式野球部)

「もう二度と入れ替え戦は戦いたくない」

今年の4年生は1年春(1部復帰ならず)、2年春(1部復帰)、2年秋(2部降格)、3年秋(1部復帰)と入れ替え戦を4度も経験してきた。上位校と下位校、1部校と2部校の実力が拮抗(きっこう)し『戦国』とも形容される東都リーグ。その象徴とも言える入れ替え戦は、リーグ戦とは違った独特な緊張感の中で行われる。

「2年の春、初めて入れ替え戦のグラウンドに立ったときは、それまで味わったことのないぐらいの緊張を感じました。入れ替え戦を経験したことでメンタルは鍛えられたと思います。でも、もう二度と入れ替え戦は戦いたくない」と池田は表情を険しくする。

この春は1年前に2部でマークした打率3割1分、4本塁打、15打点という大学での最高成績を上回ることを目標に掲げている。プロ志望の池田にとって将来をかけた大事なシーズンになるが「チームが勝って優勝することが一番」とフォア・ザ・チームに徹するつもりだ。「チームが勝てば、4番としての仕事ができているということなので、評価もついてくると思います。『ここで一本欲しい』という場面で打てる選手になりたいです」。自分のバットでチームを勝利に導きたい。

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