陸上・駅伝

特集:第95回箱根駅伝

いざ箱根 まずは監督がトークバトル

青学と東洋大、互いに目指すは優勝

箱根駅伝に出場する全23チームが12月10日、16選手の登録を済ませた。この16人以外はもう箱根を走れない。各チームはどのような戦略で16人を選んだのか。監督が思う箱根の見どころは。他校も含めた注目選手は。指導者たちの思いが、同日の「監督トークバトル」で明かされた。

早大「3位以上」、そのココロは

トークバトルには、青山学院大の原晋監督(前回総合1位)、東洋大の酒井俊幸監督(2位)、早稲田大の相楽豊監督(3位)、東海大の両角速監督(5位)が登壇。コーディネーターとして山梨学院大の上田誠仁監督(18位)が加わった。

「我がチームのテーマ」で青学は「ゴーゴー大作戦」、東洋大は「鉄紺の真価でくつがえせ」、早大は「ポテンシャル」、東海大は「速さを強さへ!」

目標の順位について問われると、原晋監督は「五連覇」、酒井監督は「優勝」、相楽監督は「3位以上」、両角監督は「3位→2位→優勝」(出雲→全日本→箱根)と書いた。唯一、優勝以外のニュアンスを含めた相楽監督はその理由について、1、2年生が中心の若いチームだけに「のびのびと走らせたい」という思いを口にした。

青学は過去2例しかない5連覇に挑戦する。「選手には『負けてもいいんだよ。精いっぱい頑張ろうね』って言ってきましたけど、やはり負けると悔しいので、5連覇を目指して学生とともに頑張っていきたいと思います」と原監督。隣に座った東洋大の酒井監督は「原さんの左横が定着してますので、一度ぐらいは右隣にいきたいです」と笑いを誘いながら、青学越えの思いを語った。

青学「過去最高のチーム」

各校の注目選手に関しては上田監督も言及。上位10人の10000m平均タイムが28分43秒93という強さを誇る青学は、前回2区で区間賞の森田歩希(ほまれ、4年、竜ヶ崎一)がしっかり走ることによって流れを変えられると分析した。原監督は「何が起こるのか分からないのが箱根駅伝ですので、残り3週間は厳かにやっていきたい。ですが、データ的なところでいうと、監督就任15年目で過去最高のチームに仕上がりました」と自信をのぞかせた。

名将・上田監督は持論も踏まえて

上田監督は東洋大について、安定感のある山本修二(4年、遊学館)と相澤晃(3年、学法石川)に加え、前回に区間賞で鮮烈な箱根デビューを果たした西山和弥(2年、東農大二)が本来の力を発揮できるかどうかと指摘。酒井監督は西山などエントリー入りした8人の2年生をキーマンに挙げて「上級生からポジションを奪うぐらいの気概を見せてほしい」と話した。

早大では中谷雄飛(なかや、1年、佐久長聖)がキーマンと上田監督。「前半からハイペースで入って勝負を挑んでいく雰囲気が、机上の計算にはないプラスアルファをもたらす起爆剤になりうる」。1年生を5人もエントリーするのは、相楽監督にとっても初の采配。チーム内競争が活性化されるのを期待している。

東海大は3年生が10人エントリーしており、上田監督は3年生でもとくに關颯人(佐久長聖)、館澤亨次(埼玉栄)、鬼塚翔太(大牟田)の走りに注目。両角監督は往路で優勝し、これも3年生の中島怜利(倉敷)が6区で逃げる展開を描いている。

ほかの大学の注目選手では、原監督は東海大の阪口竜平(3年、洛南)、酒井監督は順大の塩尻和也(4年、伊勢崎清明)、相楽監督は明大の阿部弘輝(3年、学法石川)、両角監督は順大・塩尻、青学・森田、早大・中谷の名を挙げた。酒井監督は高校時代の塩尻をスカウトに行ったこともあると明かした。「いまは箱根に照準を合わせてると思いますので、そこでどんな走りをするのか。卒業後、東京オリンピックもある中でどんな種目を狙うのかを見てみたいと思ってます」。次世代を担う選手たちが箱根の先でどう活躍するのか、チームの枠を越え、一人の指導者としての目線が垣間見えた。

順大・塩尻に対する期待を語る酒井監督

4人中3人の監督が箱根の最大の見どころは山区間の5区、6区と話した。誰が山を上り、下るのか。16人から本番を走る10人へ。チーム内の競争がより熾烈になる中で、底力を発揮するのは誰か。

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