バスケ

特集:第70回全日本大学バスケ選手権

ひたすら誠実、立てたぞ舞台 青学大・戸田貫太

試合後、戸田は率先してハイタッチをした

全日本選手権 第5日

12月14日@東京・大田区総合体育館
男子準々決勝 筑波大 71-62 青山学院大

昨年の準々決勝の再来となった対戦は、今年も筑波大に軍配が上がった。

筑波大はこの大会調子の上がらなかった牧隼利(3年、福大大濠)が前半だけで14得点。しかし後半はわずか4得点にとどまった。牧のマークマンを務めたのは、青学大の戸田貫太(4年、市船橋)だ。前半はほかの選手のヘルプで甘くなったタイミングを突かれたが、後半はその反省を生かしてシャットアウト。チームの持ち味である速攻からのシュートも決めた。

後半、戸田(左)は牧を封じた

ずっとベンチから見ていた

伊森響一郎(3年、広島皆実)が大会1週間前に重いねんざ。戸田が伊森の代わりにスタメンに名を連ねた。高3のときには全国3位も経験した戸田だが、全国から好選手が集まる青学では試合に出られない。下級生時から出場機会を得た同期を、ベンチから見つめていた。「モチベーションが下がった時期もありました。でも、いい結果が出なかったとしても、一生懸命やることを前提にしないと、これまでお世話になった指導者の方々や両親に申し訳ない」。そんな思いで励んできたトレーニングや自主練習が、大学生活最後の大会で形になった。

試合終了まで残り2分、5点差を追いかける正念場で、得点源の赤穂雷太(2年、市船橋)が負傷退場。さらに残り1分半で主将の石井悠太(4年、豊浦)が5ファール退場し、青学は力尽きた。試合終了後、戸田は敗戦のショックから動けない仲間に先立って、試合後のルーティンである相手チームとのハイタッチの先頭に立った。「いつもはベンチにいるので、一番後ろの方なんですけどね」。少し面映ゆい表情で振り返った。

石井(右)の5ファール退場が響いた

「僕は恵まれてます」と戸田は言う。「僕よりも頑張ってきたのに、この舞台に立てなかった選手だっているんです」。その中には前十字靭帯断裂から必死の復帰を目指し、ついに戦列に復帰できなかった戸田晃輔(4年、湘南)も含まれているのだろう。「(順位決定戦の)残り2試合は、そういう人たちへの思いを込めてプレーしたいです」。戸田は強い口調で言った。

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