アメフト

特集:第73回甲子園ボウル

先輩と日本一、この1年にかけた 早大QB柴崎

甲子園でも柴崎の笑顔は輝くか

第73回甲子園ボウル

12月16日@阪神甲子園球場
関西学院大(関西1位) vs 早稲田大(関東)

「もう言います。明日も走らないです」。早大のQB柴崎哲平(3年、早大学院)が笑いながら宣言した。甲子園ボウル前日の早大サイドの記者会見。近年の理想とされる走れるQBの対極をいく柴崎のスタイルに質問が集まった。「ほんとはリーグ戦を通して走らずに、甲子園ボウルだけ走ろうとしてたんです。でも、走るトレーニングもしたんですけど、僕には走る才能がなかったです。だったら自信のあるところで勝つしかない。僕はパスで勝利に導くスタイルなんです。今年1年を通じて、そう思いました。だから明日も走りません。パスで勝ってみせます」。柴崎は、そう言いきった。

号泣する背中をたたいてくれた

エースQBになったこの1年は、自分も4年生のつもりでやってきた。朝は6時に起き、日本のトップアスリートが集う「竹田塾」で徹底的に鍛え抜いた。フラフラになりながら授業へ行き、練習、ミーティングで1日が終わる。「これを来年もう1度できるのかといったら、できるとは言い切れません」。それぐらい今年にかけてきた。早大学院高の先輩たちと日本一になりたい。その気持ちがすべてだ。

柴崎はこの日、甲子園の芝を確かめた

この甲子園ボウルが柴崎にとって3度目の「関学戦」だ。高2のとき、高校日本一を決めるクリスマスボウルで関学高に10-13で負けた。二人の先輩が号泣する柴崎の背中をたたき「お前が来年、日本一にしろよ」と言ってくれた。その言葉を力にして翌年もクリスマスボウルまで勝ち上がったが、また関学高に18-20で負けた。

1年前、声をかけてくれたのはRB片岡遼也とWR遠藤健史。早大でもアメフトを続ける二人だった。「彼らともう一度日本一を目指したい」。その気持ち一つでビッグベアーズの門をたたいた。その願いをかなえるラストチャンスだからこそ、柴崎は今年にかけた。「やりきった」と断言できる生き方をしてきた。

柴崎は言った。「高2のとき3点差で負けて、高3は2点差。今度は1点差で負けるのか、なんて思っちゃうこともあるんですけど、そんなこと吹き飛ばすぐらいの自信があります。不安はまったくありません」

OL(オフェンスライン)の5人はリーグ戦で1試合ごとに成長した。RBは関東のリーディングラッシャーである元山伊織(4年、豊中)とパワー派の片岡。WRには何度もスーパーキャッチを見せてきたブレナン翼(3年、米ユニバーシティラボラトリースクール)と遠藤がいる。「OLはしっかりやってくれるし、バックフィールドにはチームを勝利に導ける存在がいます。僕自身は大したプレーヤーじゃないけど、パスを投げる脇役に徹して、彼らが活躍できる場をつくります」。ここまではっきり言えるQBはなかなかいない。

パスで勝つ、と宣言した柴崎

3度目の関学との戦い。背番号1のサウスポーQBは、大好きな先輩たちと笑って「紺碧の空」を歌えるだろうか。

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