大学サッカー

特集:体育会学生の就活術

湘南ベルマーレ・水谷社長「足を使い、人脈をフルに使おう」(4years.就活セミナー)

水谷さんご自身の経験も踏まえて、体育会系の強みを語ってくださいました

体育会の大学生の就職活動を応援する「4years.就活セミナー」が3月18日、東京都内で開かれました。就職活動に臨む体育会学生を前に、サッカーJ1湘南ベルマーレの水谷尚人社長、「リーマントラベラー」として知られる会社員の東松寛文さん、朝日新聞就活キャリアアドバイザーの篠原真喜子さんらが講演。部活動での経験を就職活動にどう生かすかに始まり、多岐にわたるアドバイスを学生たちに送りました。ここではセミナーの中から水谷尚人さんの講演内容をお届けします。

スポーツで鍛えたメンタルは社会でも役立つ

2015年から湘南ベルマーレの社長を務める水谷さんは、早稲田大学ア式蹴球部(サッカー部)の出身。リクルート、日本サッカー協会での勤務を経て、02年からベルマーレの仕事に関わってきました。

日本サッカー協会時代には、2002年ワールドカップ組織委員会に出向。チケット関連の業務に追われ、約半年間、1時間しか眠れないほどの激務が続いたこともありました。水谷さんは「それに耐えられたのは体育会系だったから」と言います。

「体育会出身者の強みの一つは、理不尽な状況を受け入れられる点にあると思ってます。死ぬほど練習しても、チームメイトよりも練習していても試合に出られないことってありますよね? 社会に出たら、そんなことばっかりなんです。いい結果が出ていなくても、やり続けることが大切。一つのスポーツをずっとやってきたメンタリティーは、社会に出ても役に立ちますよ」

部活ならではの先輩、後輩の人脈も、就活で生かせると水谷さんは話します。水谷さんは就活の時、社会人になった先輩に電話で会う約束をとりつけ、ものの見方や考え方を教わったそうです。

「電話して、部の後輩だと言うと快く会ってくれて、ごはんを食べながら話をしました。先輩が『おまえは何がしたいんだ? 』と聞いてきた時に、どう答えるか。答えを練ることが結果的に、思考力を鍛えることになりました。いまはネットでなんでも済ませられる時代ですが、足を使い、自分で会いに行って相手のにおいを感じながらコミュニケーションをとることで、得られるものがある。一般の学生にはない人的なネットワークがあるのが、体育会の強みです。後輩に頼まれていやな顔をする人はいません。間違いなく利用した方がいいです」

ほしいのは「他者に尽くし、成長していく人間」

チームワークも、社会に出てからも役立つ資質の一つです。水谷さんはベルマーレの社員たちに「一人の選手が10やらなくちゃいけないことを8しかやらなかったら、残りの2をチームの誰かが引き受けないといけない」と話し、組織で仕事にあたることの意味を伝えているといいます。

「目標達成のためには、まずはメンバー全員が10の仕事をやる。つまり、自分の役割をまっとうする。言葉でなく、体でそのことを理解してるのが体育会系の強みです。いま『自己実現』という言葉が流行してますけど、ベルマーレの社長としては自分よりもほかの人のことを思える人に来てもらいたい。他者に尽くし、成長していく人間を採用していきたいと考えてますね」

社会に出ても、チームのために動けるかどうかは大切なこと

苦しい練習、厳しい試合を乗り越えてきたからこそ、見えるものがあるし、走り続けられます。サッカークラブの経営も決して順風ばかり吹いているわけではありませんが、苦しいときこそ、自分にも社員たちにも、いま、この状況を「たのしめてるか」と問いかけているそうです。

「『たのしめてるか。』は、ベルマーレのスローガンでもあります。湘南ベルマーレは、人生と地域を豊かにすることを理念に掲げ、それを『湘南スタイル』と名付けて、個々の選手や社員が実践するようにしてます。理念に共感した人たちが集まってくれたから、つらいときでもやってこられたと思ってます。理念というと古くさいと思うかもしれませんが、そこに大切なものを込めている会社もある。就活するときに、その会社にどんな理念があって、社員たちがそれを体現しているかどうかを感じ取ってみてください」

では、自身が採用担当者だったらどんな学生を選ぶのか。水谷さんの答えはシンプルだった。

「明るい人、オープンな人がいいですね。何より、まずは健康であること。若いんですから、何をやるのにも学ぶ欲をもって、キラキラしているようなまなざしで臨む。そんな学生を採用したいですね」

苦しいときこそ、「たのしめてるか」を自分に問う

受講者の感想

スポーツチームで働きたいと思ってるので、とても勉強になりました。部活動を継続してやってきたことが自分の強みだと思ってましたので、それを実際に体育会を経験したスポーツ業界の方に言ってもらえて、勇気づけられました。(明治大学3年ラクロス部・藤田夏寧さん)