陸上・駅伝

明大・阿部弘輝、どん底から始まった大学ラストイヤーの先に

思うように走れないのを覚悟して出場した阿部

第103回日本陸上競技選手権 男子10000m決勝

5月19日@ヤンマースタジアム長居
13位(学生2位)阿部弘輝(明治大4年)29分5秒43

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5月19日の日本選手権男子10000m決勝に、明治大学4年で競走部主将の阿部弘輝(学法石川)が出場した。27分台の自己ベストを持つ阿部の走りに注目が集まったが、この日は29分台で13位に終わった。

調子を崩し、ぶっつけ本番でも29分5秒

阿部はレース序盤から、集団の真ん中あたりにつけた。ケニア人ランナーたちが引っ張る先頭集団が飛び出してからは、阿部の学法石川高の同級生である相澤晃(東洋大学)と平(和真、早稲田大学~カネボウ)が第2集団を形成。阿部は3番手の大集団でレースをすすめた。27分56分45の自己ベストを持つ阿部だけに、徐々に上げてくるのかと思われたが、結局上位争いに絡むことなくフィニッシュした。

フィニッシュした瞬間、苦しそうな表情になった

実は調子がまったく上がらず、出場するかどうかも悩んだぐらいだったという。「自分自身、今年は勝負の年だと考えて、かなり思い切った練習に取り組みました。とくに2月、3月はかなり追い込みました。疲労回復とリカバリーが追いつかなくて、(4月21日の)アジア選手権は思うような走りができませんでした。帰国してからは本当にまったく体が動かない状態で、日本選手権の直前に膝が痛くなったりもして、練習もせずに臨んだ大会でした」

思うように走れないだろうと分かった状況で出場を決断したのは、今後のことを見すえて、という部分があったようだ。「状態が悪い中でも試合に出なきゃいけないことや、なんとかすることが求められることはあると思うんで。そんな中でもできる自分の走り、というのをテーマに走りました」。その言葉通り、淡々と走って29分5秒でのゴール。阿部は地力の確かさを証明してみせた。

高校同級生の相澤に追いつきたい

学法石川高校の同級生である阿部と相澤(右)が競り合って走る時間帯もあった

この日レース中、阿部と相澤が競り合って走る場面もあった。試合前に彼と話しましたか、との質問には「お互いの調子のこととか、大学生は2人だけだから頑張ろうって話をしました」。そしてこう続けた。「僕は彼に比べてもぜんぜんダメだったんですけど、今回は割り切って臨んでましたから。ここでダメでもまだシーズンは終わってない。いまが一番よくない状態というのは自分で分かっているので、淡々と練習に取り組んで、少しずつ上げていくのが優先だと思ってます。いまは彼(相澤)のほうが元気ですけど、徐々に追いつきたいと思います」

ユニバーシアードでメダルを

次のレースは5月26日の関東インカレ5000m。7月には日本代表としてユニバーシアードに出場する予定だ。「きょうのレースを反省して次に生かしていきたいと思います。まずは関東インカレで、きょうよりいい走りをしたい。それからユニバーシアードのトラックで、しっかりメダルをとるのが、いまの大きな目標です。そこで、いいきっかけをつかめたらなと思います」

あとは上がっていくだけ

苦しみからはじまった阿部の学生ラストイヤー。あとは、はい上がっていくだけだ。

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