陸上・駅伝

男子10000m競歩は山梨学院大・鈴木勝治が大会新でV 日本学生個人選手権

大会新記録でゴールし、笑顔で天を仰ぐ鈴木

日本学生陸上競技個人選手権第1日

6月7日@Shonan BMWスタジアム平塚
男子10000m競歩決勝
1位 鈴木勝治(山梨学院大3年)39分58秒13
2位 山本龍太郎(同3年)40分7秒60
3位 近藤良亮(同4年)40分11秒93
4位 遠山航平(同3年)40分20秒91(いずれも大会新記録)

陸上の日本学生個人選手権が6月7日に開幕。男子10000m競歩決勝は山梨学院大勢のワン・ツー・スリー・フォーフィニッシュとなった。6600m付近から山学勢3人の先頭集団となり、残り4周に入って飛び出した3年生の鈴木勝治(かつじ)が39分58秒13の大会新記録で初優勝した。これまでの大会記録は40分27秒90で、2位の山本龍太郎、3位の近藤良亮、4位の遠山航平も上回った。

序盤はチームメイトと4人で先頭集団を形成した

チームメート二人との優勝争い、仕掛けて制した

残り9周の時点から始まった山学3人衆、鈴木、山本、近藤の優勝争い。鈴木は思っていた。「トップスピードは三人の中でいちばん遅い。ラストスパートの勝負になったら負ける」。残り4周になったところで、前の二人に余裕がなさそうだと感じた。思い切って出た。「タイトルをとりたい」。その思いで最後の力を振り絞り、大雨の中を歩いた。大学での初タイトルに、大会新記録の大幅更新で花を添えた。「優勝だけを狙ってここに来ましたし、コーチからも『タイムより順位だ』と言われてたので、ほんとによかったです」。鈴木の表情が思いっきり緩んだ。

8400mを過ぎ、鈴木はチームメイトを振り切りトップに立った

「競歩なら全国にいける」にウソだろ?

茨城県立多賀高校で陸上部に入り、長距離で頑張ろうと思っていた。しかし1年生の最初の大会で長距離種目のエントリー枠に空きがなかった。「競歩なら出られるぞ」。顧問の先生は言った。嫌々ながら出ると、茨城陸協の関係者に「競歩の素質がある」と言われた。顧問の先生は「競歩だったら、お前は全国大会にいける」と言った。「絶対ウソだろ」。鈴木は思った。それでもやってみた。

先生の言葉は本当だった。高3の夏のインターハイに出た。これは予選落ちだったが、卒業間近にあった全日本ジュニア選手権で5位に入った。競歩で大学進学も決まった。

「最初は顧問の先生のことが好きじゃなかったんですけど、いまは僕に競歩を与えてくれた恩人だと思ってます」。チャンピオンは苦笑いで言った。

この日は大雨。だが、雨のレースは苦手ではないという

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