大会屈指の好投手、大商大・大西広樹が意地の完投勝ち 全日本大学野球選手権
全日本大学野球選手権が6月10日に開幕。神宮球場開催分の3試合が雨天中止となったが、東京ドームでは1回戦4試合があった。第4試合の大商大-日本文理大は大西広樹(4年、大商大)と藤野幹大(3年、福岡第一)による投手戦となったが、1-1で迎えた9回に大商大が勝ち越し、2回戦へ進んだ。
リーグ戦無安打の曽根が決勝の内野安打
日本文理大は相手のエース大西の立ち上がりを攻め立てた。四球で出た2番の西村舜(3年、明徳義塾)が盗塁で二塁へ。さらに大西のワイルドピッチで三塁へ進む。2死三塁から4番安永元也(3年、九州国際大付)のセンター前ヒットで日本文理大が先制した。
大商大は3回、1死三塁から2番川中龍太郎(3年、大阪桐蔭)の犠牲フライで同点に追いつくが、勝ち越し点がなかなか奪えない。
1-1の9回、大商大の攻撃。2死三塁から代打に立ったのは、春のリーグ戦ではわずか2試合の出場で、3打数無安打の曽根光貴(3年、広陵)。頭を丸刈りにして選手権に臨んだ曽根の打球はセカンドの前へ転がった。曽根は気合の全力疾走。これが内野安打となって三塁ランナーが返り、大商大がついに勝ち越した。その裏を大西が三者凡退に抑え、大商大が勝利を収めた。
敗れたものの、日本文理大の先発藤野は130km台後半の直球に120km台の変化球を織り交ぜ、9回を被安打6、2失点の好投。日本文理大は複数投手による継投で勝ち上がることが多いが、この日は藤野の好投で白熱の投手戦となった。
1回に1点を失った大商大の大西は2回以降、本来のピッチングを取り戻し、最速146kmをマーク。4四球とやや制球に苦しんだが、被安打4、1失点で投手戦を制した。
初回は少し緊張して力が入り過ぎた
大商大・大西広樹の話
「初戦はみんな緊張するし、絶対投手戦になるからゼロで抑えようと思ってたんですけど、初回は少し緊張して、力が入り過ぎてしまった感じです。味方がすぐ点を取ってくれたんで、そこからはゼロで抑えようと思って投げました。8回2死三塁で三振をとったところは、あそこをゼロで抑えれば野手が絶対に点を取ってくれると思って、一番力を入れて投げました」
藤野投手をとらえるのが難しかった
大商大・富山陽一監督の話
「大西は初回、ちょっと緊張していたみたいですね。思うようなピッチングができなかったようですが、1点取られてからエンジンがかかったというか、本来の強気なピッチングを取り戻しました。日本文理大の藤野投手はサイド気味でスピードも結構出てて、なかなかとらえるのが難しかったです」