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特集:第68回全日本大学野球選手権

開幕戦は創価大が初出場の大工大に快勝 全日本大学野球選手権

創価大の下小牧は大会第1号となる先制2ランを放ち、叫びながらダイヤモンドを一周(撮影はすべて北川直樹)

第68回全日本大学野球選手権 第1日

6月10日@東京ドーム
1回戦 創価大(東京新大学)6-1大阪工業大(近畿学生)

令和初の大学王者を決める全日本大学野球選手権が6月10日に開幕、あいにくの雨で神宮球場開催分の3試合が中止となった。東京ドームの開幕戦では、2年連続23回目出場の創価大と、近畿学生リーグを131シーズンぶりに制して初出場の大工大がぶつかった。昨年は初戦敗退だった創価大が6-1で2回戦へ進んだ。

エースにアクシデント、変化球中心にシフト

創価大はいきなりアクシデントに見舞われた。1回の守り。ノーアウト一塁から大工大が盗塁を仕掛けてきた。捕手の萩原哲(3年、日南学園)のセカンド送球が低すぎ、マウンド上でかがんでいたエース杉山晃基(4年、盛岡大付)の背中を直撃。すぐにスプレーで冷やし、後続を断ったが、痛みは残った。それで2回以降は変化球中心にしたという。これまでスライダーは115km程度の遅いものしか投げていなかったが、この春は速いスライダーも持ち球に加えた杉山。アクシデントで2種類のスライダーやフォークを駆使し、7回1失点と上々の出来だった。

打っては3回に2番下小牧淳也(4年、日大三)の大会第1号となる2ランで先制。4回には1年生の門脇誠(創価)がスリーバントスクイズを決め、1点を加えた。門脇は直前の守りで、2死一塁からセンターへ抜けそうなハーフライナーの打球をダイビングキャッチ。言い流れで打席に入り、冷静に決めてみせた。創価大は6回にも四死球でランナーをため、6番鈴木嘉基(3年、静岡)の犠牲フライで1点を加えた。8回にも相手のミスに乗じてダメ押しの2点を奪った。

ファインプレーにスクイズ成功と持ち味を出した創価大ルーキーの門脇(中央)

初出場の大工大は7回、先頭の6番安田朋樹(3年、東山)がこの日チーム初の長打となる左中間二塁打を放った。1死二、三塁になって主将の9番田中浩平(4年、近大付)がレフト前ヒット。安田の代走松井満沙樹(3年、桜宮)が、大工大の名を全国に刻む選手権初得点のホームを踏んだ。反撃はここまで。初の全国舞台は2時間20分で幕を閉じた。

同世代の小園海斗に負けたくない

創価大・門脇誠の話
「東京ドームでやるのは初めてだったんですけど、そんなに緊張しませんでした。センターに抜けそうなライナーを捕れたのは、自分のプレーができてうれしかった。打球が詰まってたからジャンプのタイミングが難しかったんですけど、がまんして、ちょうどいいところで飛びつきました。スクイズのところは、サインが出ると思ってました。日ごろの練習がそのまま出ました。高校のときは全国制覇どころか全国にも出られなかったので、絶対に全国に出て、日本一になろうと思って大学に入ってきました。4年間で三拍子そろった選手になりたいです。まだバッティングが弱いので、そこが課題です。同世代では小園(海斗、報徳学園高校~広島カープ)に負けたくないと思ってやってます。オープン戦の時期に小園が打ってたときは、自分にスイッチが入りました。小園に負けないぐらい頑張っていきたいです」

歴史を変えたことをかみしめよう

7回に初得点のホームを踏み、喜ぶ大工大の松井(右)

大工大・田中恵三監督の話
「初出場で開幕戦をやれたのはよかったです。神宮やと中止だったんで、ドームでよかったと思います。試合では創価大さんの強さ、そつのない点の取り方を見せつけられました。でもゼロで終わるんじゃなくて、1点とったのはチームとして大きいです。キャプテンがきめてくれました。もちろん1点では足りないので、悔しい思いはあります。自分たちが一つ歴史を変えたということをしっかりかみしめて、秋とか来年に向けて取り組んでいきます」

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