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特集:第68回全日本大学野球選手権

東洋大のエース村上頌樹、3失点に泣く 全日本大学野球選手権

東洋大の村上は明治大・森下とのエース対決に敗れ、選手権を去った(写真はすべて撮影・佐伯航平)

第68回全日本大学野球選手権第4日

6月13日@神宮球場
準々決勝 東洋大(東都大学) 0-3 明治大(東京六大学)

準々決勝第1試合は東京六大学代表の明治大学と東都大学代表の東洋大学という、今大会屈指の好カードになった。明治大は前日の2回戦で4打数3安打4打点の4番北本一樹(4年、二松學舍大附)がこの日も4打数2安打2打点の活躍。そしてエースで主将、秋のドラフト候補の森下暢仁(まさと、4年、大分商)が東洋大打線を完封し、準決勝進出を決めた。

好調の明治・北本を止められず

明治大は1回、2死二塁から北本がセンターオーバーの二塁打を放ち、1点を先制。3回には無死一、三塁から東洋大のバッテリーエラーの間に三塁走者の添田真海(4年、作新学院)が返って2-0とした。5回には2死二塁からまたも北本がセンターオーバーの二塁打を放ち、3点目を奪った。北本は今大会8打数5安打6打点の大活躍。

明治大の先発森下は150km超のストレートにカットボールやスライダーなどの変化球を織り交ぜ、要所を締めて完封した。

東洋大は9回2死二塁から山崎が左前に運んだが……

東洋大は森下から7安打を放ったが、あと一本が出なかった。9回には2死二塁から5番山崎基輝(3年、愛工大名電)のレフト前ヒットで二塁走者の主将・佐藤都志也(4年、聖光学院)がホームを突いたが、本塁タッチアウト。3点差があっただけに、慎重にいってもよかった場面だった。

東都のMVP投手の東洋大・村上頌樹(3年、智弁学園)は前日の2回戦でも7回で112球を投げていた。この日も6回を投げて被安打6、3失点と悪くはなかったが、打線の援護なく103球でマウンドを降りた。リーグ戦で6勝を挙げ、防御率0.77だった東都のエースが、選手権を去った。

今日は明治さんの日だった

東洋大・杉本泰彦監督の話
「村上の連投に迷いは全然なかったです。勝てば明日は試合がないですし。ほかのピッチャーに先発させても、どっちみち後半は村上が出てくるわけですから。それだったら最初から村上でいった方が調整もしやすいでしょうし。村上は森下君との対戦、六大学との対戦に負けたくないというので、いつもよりちょっと力んでたかな。その力みから、ちょっとずつボールが中に入ってきたのかなと思います。でもそれは村上の成長の過程で、いいことだと思うし、東都の代表として六大学に負けたくないという気持ちはすごく大事。森下君はカットボールでストライクを取ってくると分かっていたので、打者には途中からカットボールを狙わせたのですが、打ったのが野手の正面を突いたりしたのが結構ありました。今日はうちの日じゃなくて、明治さんの日だったんでしょう」

森下さんのようになりたい

東洋大・村上頌樹の話
「連投の疲労はとくになく、いつも通りでした。東都の自分たちが六大学には負けたくないという気持ちでマウンドに上がりました。自分のリズムも悪くて3失点もしてしまって、相手のピッチャーも森下さんということで、打線も沈黙してしまいました。自分の力不足だと思います。森下さんは大学ナンバーワンピッチャーで、負けたくないという気持ちだったんですが、全然力が足りなくて負けてしまって、悔しいという気持ちしかないです。森下さんはオーラ、雰囲気、マウンドの余裕、すべてが違いました。簡単に相手を手玉に取って……。ああいう風になれるようにこれからやっていきたいです。リーグ戦で6勝したことは自分の自信になりましたけど、ここで優勝できなかったのがやっぱり一番悔しいです。こういう形で降板してしまったので、本当に悔しさしかないです。絶対に秋のリーグ戦で優勝して、明治神宮大会でやり返したいです」

主将の佐藤がホームでタッチアウトとなり、試合が終わった

冷静になれなかったのは自分の弱さ

東洋大・佐藤都志也の話
「(4回無死一塁でゲッツーとなった打席は)自分の中で変な気持ちが大きくて、『仕留めてやろう』と思いすぎて……。素直に打てばレフト前ヒットになってチャンスが拡大したのに、引っ張ってしまいました。冷静になれなかった自分の弱さかなと思います。森下はピンチになればなるほど、要所要所でいい球がくるなという印象でした。また秋のリーグ戦、勝ち進むのは簡単なことではないですが、明治神宮大会で六大学に勝つというイメージを持って、夏はしっかり振り込んでいきたいです」

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