初出場の大工大にいた、誰よりも声の大きな男
みなさん、このほど野球の応援団長に就任いたしました「野球大好き芸人」の笠川真一朗です。さぁ!! いよいよ全日本大学野球選手権が開幕しました。全国各地のリーグを勝ち抜いてきた野球部が集結し、日本一を決める大会。さまざまな選手たちがどのような野球をするのか、僕はすごく楽しみにしてました!!
早速、東京ドームで観戦してきました
僕も開幕試合である東京ドームの第1試合、大阪工業大学ー創価大学の試合を現地で観戦しました。1950年の創部以来初の選手権出場となる大工大と、2年連続23回目の出場となる名門・創価大。歴史に関するデータだけを見ると対照的な両チームの試合はどんな展開になるのか? プレーボールの前から、僕もワクワクが止まりませんでした!!
結果は6-1で創価大学の勝利。初出場の大工大は残念ながら敗退となりました。細かい試合内容についてはプロの記者の方にお任せします(笑)。敗れはしましたが、僕は大工大にすごく心を惹かれる選手を発見したので、今回はその選手にスポットを当てていきます。
誰よりも大きな声を出していた33番
試合前のアップから、誰よりも大きな声を出して目立っていた選手がいました。その声の大きさが、いままで聞いたことがないくらい大きかったのです。僕も声の大きさには相当な自信があるのですが、この選手には完敗です(笑)。
その選手は大工大の背番号33の内野手、岡野直斗君(3回生、大阪学芸高)。岡野君は試合に出場することはありませんでしたが、ベンチで常に笑顔で懸命に大きな声を出し続けてチームを鼓舞する姿勢に、僕は心を打たれました。守備位置からベンチに戻ってくる選手を最前線まで元気に迎えにいったり、大きな声で身振り手振り細かい指示を送る岡野君。そんな姿を見ていると自分の現役時代を思い出し、岡野君はどのような気持ちで野球をしているのか、すごく気になったので、試合後に話を聞いてみました。
「率先してチームを盛り上げるのが自分の役割」
「東京ドームや神宮で野球をするのが夢で、あこがれてました。夢をかなえるために大学でも野球を続けてきたので、東京ドームで試合ができたのは素直に楽しかったです。負けてしまったのは残念ですけど、チームとしてはいつも通り楽しく野球ができたのでよかったと思います!!」と、初めての全国の舞台での試合を振り返りました。
大きな声を出し続けてチームを盛り上げていることに関しては「チームは“楽しむ”ことを大切にしてます。みんなのモチベーションを上げるために、大きな声を出すのが自分の役割。その役割を全力でやり続けてたら、いつかそれが当たり前になってました。冬の期間のつらいランメニューでも、率先してチームを盛り上げることにこだわってました」。そう語る岡野君の表情は、すごく明るかったです!! 彼の明るさが、どんなときでもチームの大きな支えになってるんだろうな、と僕は思いました。
試合中、スタンドで応援していた大工大の部員にも「岡野君ってどんな子?」と質問してみたところ、「見たまんまの元気なヤツです!! 明るくていいヤツですよ!!」と、4回生の中川真太朗君(大阪高)が話してくれました。チームに愛される人間がベンチにいることは、ものすごくプラスの要素です。
先輩から学んだ「あきらめない姿勢」
試合後、岡野君は4回生への思いも口にしてくれました。「試合に負けてしまって、引退される4回生の花道を飾ることができなかったのは心残りです。でも4回生には最後まで絶対にあきらめないという大切なことを学びました。だからこそ僕は最後まで声を出し続けます」。4回生の一部は将来を見据えた就職活動などもあり、この選手権を最後に引退します。大工大は全日本選手権出場を決めた近畿学生春季リーグ戦で9勝を挙げました。そのうち6勝が逆転勝ち。岡野君は先輩たちのあきらめない姿勢を見て学び、声を出すことの重要性を改めて知ることができたそうです。
岡野君はまだ3回生。秋の神宮大会もあれば、来年の全日本選手権の出場のチャンスも残っています。「今回初出場したことで、僕たちはこれまでのチームの歴史を変えることができました。名門の創価大学と試合をして負けてしまったけど、自分たちもやれる!! という自信になった部分もあります。この舞台を経験した人間として、今度は後輩たちにも、大切なことを最上級生として引き継いでいきたいです。そして僕自身も声を出し続けるのは当然で、試合に出られるようにたくさん練習もして、またこの場所に戻ってきます。上でも野球を続けたいので、これからまた頑張りますよ!!」と、これからの目標を前向きに語る岡野君の目は、とても力強かったです。
好きなことなら、しんどくたって頑張れる
岡野君に話を聞いていて最も心に残ったことは「僕はチームメイトが大好きです!!」と満面の笑みで言ってたことです。野球も勉強も恋愛も全部そうだと思うのですが、好きなもののためなら、好きな人のためなら、嫌なことだってしんどいことだって自分から何でも率先して頑張れるはずです。人の力になるために、まず自分の役割にしっかり全力を尽くしている岡野君の姿を見て、僕も改めて勉強になりました。
僕も現役のころは、岡野君のようにベンチで大きな声を出してチームメイトを鼓舞するのが自分の仕事だと思ってやってました。またその役割の重要性は、龍谷大平安高校でマネージャーを務めていたときに原田英彦監督から教わりました。声を出すという経験は、社会に出ても確実に生きてます。
「しゃべれる選手は頭がいい」
野球の試合は大体2時間半から3時間。それより長いこともよくあります。その間ずっと声を出し続けようと思ったら、いろんな細かい部分をしっかり見て観察するのが必要です。そうでないと、だんだん言うことがなくなってきてしまうんです。だから、声を出すことは観察力を磨くことにもつながります。目で見たもの、耳で聞いたもの、いろんな情報を自分で集めて声を出します。ただ闇雲に元気に大きな声を出して盛り上げているだけじゃなく、頭をしっかり使って、声を出してるんです。
「しゃべれる選手は頭がいい」と、原田監督がよくおっしゃってました。
打ったり、投げたり、守ったり、走ったり。プレー面では好不調の波が誰にでもあります。でも、声を出すことは風邪でも引いて喉を痛めない限り、好不調はとくにありません。誰でもいつでもできることです。そこに活路を見出して、「大きな声」という自分の個性を武器にしてグラウンドで戦う岡野直斗君の大活躍に、僕は感動しました!!
ありがとう、岡野君!!
僕も負けずに頑張ります!!