4周弱のガチンコ勝負! 日本選手権男子1500mを制すのは誰か
陸上の日本選手権が6月27日、福岡・博多の森陸上競技場で開幕します。国内最高峰の戦いが期待される4日間を前にして、4years.では注目選手や種目を紹介していきます。3回目は29日に予選、30日に決勝のある男子1500mです。
館澤の3連覇阻止を狙うスーパールーキー
男子1500mは東海大学の館澤亨次(4年、埼玉栄)に3連覇がかかる。館澤は4月にカタール・ドーハで開催されたアジア選手権で5位に入賞するなど、この種目の日本の第一人者と言える。そんな館澤が今シーズン1度も勝てていないのが、なんと東海大の後輩でルーキーの飯澤千翔(かずと、山梨学院)だ。
飯澤は入学してすぐ、4月6日の日本大学・東海大学対校戦の1500mで、3分45秒64の自己ベストをマークし、館澤に0秒35の差をつけて勝った。続く5月6日のゴールデンゲームズinのべおかで、飯澤はさらに自己ベストを更新。2位の館澤に2秒近い差をつける3分42秒07で優勝した。そして5月24日の関東インカレはスローペースで進み、ラストの200mでこの二人の激しいデッドヒートに。わずか0秒01の差で飯澤が優勝。館澤に3戦3勝となった。
飯澤は関東インカレのレース後、「ゴールデンゲームズで館澤さんに勝ったとき、今年はもう負けなしでいけるかもしれないと思って、それでここで勝てたんで、また自信になりました。日本選手権も全日本インカレも優勝したいです」と語った。
対する館澤は、課題があるとしたら? という問いに「全部っちゃ全部」と答えた。キャプテンとして、第一人者としてのプライドは砕け、全身に悔しさがにじんでいた。今シーズン4度目の対戦となる博多の森で、館澤は意地を見せられるだろうか。
「お前より速い」言い合う中大のライバル
現時点で学生で最も速い1500mのタイムを持っているのが、中央大学の舟津彰馬(4年、福岡大大濠)だ。2018年4月に3分38秒65と、当時日本歴代5位のタイムをマークした。今年4月21日の兵庫リレーカーニバルで優勝したあと、「走っている途中から勝つイメージが浮かんだ」と言い放った。
そのときに大学ラストイヤーはタイムより順位、「今年は勝ちに対して貪欲(どんよく)になっていきたい」と、きっぱり言った。5月26日の関東インカレでは、ラスト200mまで東海大の二人と競り合ったが、3位に終わった。
舟津は、チームメイトの田母神一喜(4年、学法石川)と切磋琢磨(せっさたくま)している。田母神は館澤と同じく、1500mでアジア選手権代表に選ばれた。舟津によると、田母神とは「俺のほうが速い」「いや俺のほうが」と言い合える、よきライバルだという。
田母神はアジア選手権で7位に入ったあと、5月6日の木南記念の800mでペースメーカーを務め、5月19日のセイコーゴールデングランプリ大阪の800mでは8位。5月25、26日と関東インカレ800mに出場して2位だった。連戦の中で体調を崩してしまい、思うような練習ができなかったという。
今年から長距離ブロックの主将を務め、チームをまとめる立場にもなり、自分の練習との兼ね合いが難しいということも言っていた。しかしそれらを言い訳にせず、チームも自分もいい方向に導いていこうという責任感が、言葉の端々から感じられた。
「日本記録チャレンジ」で結果を出したのは
関東インカレから1週間後の6月1日、日体大記録会の男子1500m最終組で「日本新記録チャレンジ」と銘打ち、日本トップクラスの面々が集結した。大学生は館澤、田母神、舟津のほか、館澤と切磋琢磨してきた東海大4年の木村理来(佐野日大)も走ったが、いずれもペースメーカーについていけなかった。トップでゴールしたのは富士通の松枝博輝(順天堂大)で、3分38秒12と日本歴代3位の好タイムだった。
松枝はレース後に「日本選手権では1500と5000の2個とって、1500には区切りをつけたいです。そのあとはヨーロッパで5000に出て、13分22秒の世界選手権参加標準記録突破を狙いたいです」と、博多の森での2冠宣言をした。
松枝が一歩抜け出したかとも思われる男子1500m。大学生ランナーたちは、どこまで食らいついていけるか。まさに大会のキャッチフレーズの「ナンバーワンしかいらない」だ。トラックを3周と4分の3駆け抜ける間の意地と意地のぶつかり合いに注目だ。