大学陸上・駅伝

特集:第103回日本陸上競技選手権

伸び盛りの関西大・坂井隆一郎、日本選手権100mで夢の世界へ食らいつく

初の全国タイトルを手にし、喜ぶ坂井(写真はすべて撮影・藤井みさ)

陸上の日本選手権が6月27日に福岡・博多の森陸上競技場で開幕します。4日間に渡って日本最高峰の戦いが繰り広げられます。4years.では注目のアスリートや話題の種目について紹介してきました。最終回は今年も激戦が予想される男子100m。4years.編集部のイチオシは伸び盛りの関西大学4回生、坂井隆一郎(大阪高)です。

桐生とサニブラウンの9秒台対決

注目の男子100mは大会初日の27日に予選と準決勝があり、決勝は28日の午後8時半に予定されている。2連覇を狙っていた山縣亮太(セイコー)は、気胸のため欠場を表明。日本最速を争う中心となるのは、9秒台を知る二人だろう。先の全米大学選手権で9秒97の日本新記録を樹立したサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)と、前日本記録保持者で今シーズン4度も10秒0台で走っている桐生祥秀(日本生命)だ。サニブラウンには200mと合わせた2年ぶりの2冠の期待がかかる。桐生が勝てば5年ぶりの日本選手権制覇だ。

ここに割り込んできそうなのは200mが“本職”の小池祐貴(住友電工)だ。5月19日のセイコーゴールデングランプリ(GGP)大阪で、自己ベストを日本歴代7位の10秒04(追い風1.7m)まで伸ばしてきた。彼も2冠に手が届くところまで来ている。
多田修平(住友電工)もセイコーGGP大阪でシーズンベストの10秒12を出し、昨シーズンからの不調を脱しつつある。3年前の覇者であるケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は足の状態次第だろう。

スタートを見直して飛躍の坂井

ここで関大の坂井隆一郎に触れておきたい。6月8日の日本学生個人選手権男子100mで、彼の名は全国区になった。準決勝で自己ベストを0秒17も更新する10秒12(追い風1.0m)をマーク。決勝では関東インカレで追い風参考ながら10秒02を出した宮本大輔(東洋大2年、洛南)に0秒01競り勝ち、10秒27(向かい風0.1m)で優勝を飾った。表彰式のあと、坂井は言った。「10秒12は自分でもビックリしましたけど、あれで自信がつきました。だから決勝も力みませんでした。12が出て、『日本のトップの人らに徐々に近づいてるんやな』と思いました」。いい笑顔だった。

日本学生個人選手権100m決勝で競り合う坂井(右)と宮本(左)

昨シーズンまでの自己ベストは2回生のときの10秒35だった。昨年は6月の個人選手権のあと、足にひどい肉離れを起こしてしまった。日本選手権は予選で敗れた。関大の短距離パート長となり、再起にかけた今シーズン。東佳弘コーチのアドバイスもあり、5月の関西インカレからスタートの飛び出し方を変えた。これまでは首が下がって重心も下がり、ピッチが武器なのに足が空回りしていた。アゴを引き、目線を前に置き、少し重心を上げて飛び出すようにした。

これがはまって関西インカレの予選で10秒29(向かい風0.1m)の自己ベストが出た。決勝も10秒40(向かい風0.3m)で制し、前年まで多田修平(当時・関西学院大)に負け続けた関西インカレで初めて頂点に立った。そのあとも練習で新たなスタートに磨きをかけ、10秒12までたどり着いた。

夢のまた夢だったトップの世界へ

大阪高校3年のときはインターハイの準決勝で敗れた男が、関大で力を蓄え、個人選手権で初の全国タイトルを手にした。まさに伸び盛りの男が、博多の森へ乗り込む。
「今年こそ決勝まで進んで、強い人たちに食らいついていけるようにしたいです。夢のまた夢だった世界が、だんだん近づいてきてる気がします」

身長170cm、体重58kg。肩から腕にかけて、筋肉がボコボコッと盛り上がる。その筋肉と似つかわない甘い顔立ち。強くなれば人気の出そうな浪速のスプリンターが、日本選手権で勝負に出る。

日本選手権の決勝で日本のトップクラスに食らいつけるか

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