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特集:第103回日本陸上競技選手権

走り幅跳びの日大・橋岡優輝、日本選手権3連覇でも「まだ世界とは戦えない」

橋岡は1回目で7m98を跳び、優勝を決めた

第103回日本陸上競技選手権最終日

6月30日@福岡・博多の森陸上競技場
男子走り幅跳び決勝
優勝  橋岡優輝(日大3年) 7m98(向かい風1.1m)

橋岡優輝(日大3年、八王子)は5月のセイコーゴールデングランプリ(GGP)大阪でかかとを痛め、同月の関東インカレは8m04(追い風2.7m)で3位に終わった。「負けはここまで」と言っていた男は日本選手権の最終日、1回目で7m98(向かい風1.1m)を跳び、3連覇を果たした。それでも「弱いところを出してしまった。まだ世界と戦えないなと自分の中で痛感させられました。もう一段階、自分をランクアップさせないといけない」と、反省の言葉が口をついて出た。

「ダイヤモンド」たちの活躍に受けた刺激

男子走り幅跳び決勝が始まる午後3時の天気予報は雨だった。前日にはサニブラウン・ハキーム(フロリダ大2年、城西)から「どしゃぶりになりそうだけど大丈夫? 」と連絡をもらい、「大丈夫じゃない? 」と返したそうだ。日本陸連では2014-15年シーズンから次世代の競技者を強化育成する「ダイヤモンドアスリート」制度を導入し、サニブラウンは高1だったときに1期生として選ばれた。橋岡は4期生だ。

「この日本選手権では北口さん(榛花、女子やり投げ)の優勝に始まり、ハキームも優勝(男子100m)ですし、アーロン(クレイアーロン竜波、男子800m)も、江島(雅紀、棒高跳び)も優勝してますし、ダイヤモンドアスリートが活躍してる大会だったので、これは負けてられないなって、すごいやる気が出ました」

痛めていたかかとは大会1週間前に治り、跳躍練習を再開した。それまでは、1本1本の出力を高めることに重点をおいた練習に取り組んでいた。スプリント力が上がってきたことで、助走で足が回りすぎる傾向があったため、助走のリズムを合わせることを意識した。いい踏み切りができるようになり、条件さえそろえば日本記録の8m25超えも狙える、と手応えを感じていた。

雨と向かい風で崩れたアプローチ

1回目の跳躍で、橋岡は向かい風1.1mの中で7m98を跳んだ。しかし跳躍直後に頭をかしげ、納得のいかない様子だった。「助走はすごくよくて、この感覚だったなというのを思い出せました。ただ、向かい風の中でつまってしまったり、着地が乱れてしまったりで……。スムーズに踏み切りまでしっかり入れれば、(自己ベストの)8m22ぐらいのところには普通にいったと思います」

向かい風の中でアプローチが崩れてしまい、2回目と4回目はファウルとなった(撮影・松永早弥香)

2回目のファウル以降、強まる雨と向かい風の影響もあり、リズムを崩してしまった。最後の6回目の跳躍で手平裕士(中京大~オークワ)が7m97(追い風1.3m)を跳んで1cm差に迫られはしたが、橋岡は1回目の記録で3連覇を決めた。「このコンディションの中でも跳んでくる選手はいましたので、最後まで気は抜けませんした」と橋岡。加えて「跳ばれても跳び返せばいいだけ」と、強気な言葉も口にした。

ドーハでは「8m40で上位入賞」

8mに2cm届かなかったことには「このコンディションの中でも8m台を跳んでいかないと世界では戦えないので、結果的には不甲斐ない試合になってしまったかなって思います」と、悔しさをにじませた。2017年の日本選手権では8m05(追い風1.4m)を、昨年は8m09(追い風1.2m)を跳んでいた。「8m超えで3連覇」が、橋岡が思い描いたストーリーだった。

向かい風の中でのアプローチに課題は残ったが、この試合自体の感覚には手応えを感じている。イタリア・ナポリで開かれるユニバーシアードに向けて「この感覚を忘れずに、また再現度を高められるように、より一層調整して日本新記録を狙えるようにしていければいいかなと思います」と橋岡。

「不甲斐ない試合をしてしまった」と橋岡。この悔しさをユニバーシアードで、世界選手権で晴らす

今秋のドーハ世界選手権では「8m40で上位入賞」を目標に掲げている。自己記録を大きく上回る目標に対しても「自分がいまベストだと思える跳躍ができれば問題ない記録」と言いきる。橋岡の両目には、そんな最高の跳躍がすでに見えているのだろう。

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