大学陸上・駅伝

駒大・田澤廉 チームの誰もが認めるスーパールーキーの現在

人に負けないポイントは「気持ち」。強い気持ちで日々練習に取り組む(すべて撮影・藤井みさ)

駅伝シーズンを前に、各大学は夏合宿に取り組んでいます。駒澤大学は8月16日から22日まで、野尻湖で全体の1次合宿を開催しました。4years.編集部はこの合宿を取材し、陸上部のみなさんに話を聞きました。今回は期待のルーキー、田澤廉(1年、青森山田)です。

駒大・伊東颯汰 チームの中心になるような走りを見せたい

強い先輩も通った道、自分もしっかりと

いま一番勢いがあるのは? 期待する選手は? 大八木監督、藤田コーチ、選手、マネージャー、みんなが彼の名前を口にする。田澤廉。今年4月に入学したばかりのルーキーだ。5月の関東インカレ2部5000mでは、デビュー戦で日本人2位の成績を残し、鮮烈な印象を植え付けた。その時の強気な口調が記憶に残っていたが、3カ月ぶりに取材した田澤は口数少なく素朴な印象を受けた。誰に聞いても「強い」と言っていますよ、と話を切り出すと、「ありがとうございます」とはにかんだ。

大学に入って5カ月。高校の時から比べると、練習量は格段に上がった。青森から出てきて駒澤の寮に入って暮らすが「生活面は過ごしやすい環境だと思います」という。「先輩たちが優しくしてくれますし。1年生はいろいろ寮で仕事があるんですけど、それはどこの大学でもあることだし、強い先輩たちもやってきてることなんで、しっかりやろうと思ってます。つらさとかは感じたことはないです」。早くも大物感がただよう発言だ。

Aチームで合宿をこなす「あいつは強い」

田澤は中学の時から駒澤にあこがれていた。テレビで見る強い選手たちの走りを見て、「ここで走りたいな」と強く思ったという。あこがれの大学に入り、夏合宿ははじめからトップレベルのAチームで練習をこなす。藤田敦史コーチはそんな田澤を見て「あんなにひょうひょうとこなすなんて、普通はできないよ」と舌を巻く。駅伝主将の中村大聖も「めちゃくちゃ強いっす」と評する。

関東インカレ2部5000m、田澤(31番)ははじめから先頭集団についた

ただ言われたことをこなすだけではなく、練習では監督にメニューを変えてほしいと言うこともあるという。「大八木監督も自分の意見を言うことは大事と言っていたので、怖いし怒られますけど積極的に自分の意見を言うようにしてます。脚が大会後できついから、練習を変えてもらえませんか、とか……。けがしないように、自分なりに考えてます」

入学前に雪道で滑って転び、膝に血がたまり走れない時期が続いた。入学したタイミングで走り始めようとしたが、今度はインフルエンザに。全快しないうちから春の合宿に参加してまたけがをする、という悪循環に陥ってしまった苦い経験がある。関東インカレもけが明けで臨んだが「もっと練習してれば日本人1位になれたかもって思います。悔しいです」と振り返る。だから、自分の体としっかり向き合って、けがには人一倍気をつけている。「けがしたら置いてかれるんで」。話すうちに強気の田澤が見えてきた。

自分の目指すべきところは、はっきり見えている

気持ちで行動も、結果も変わる

昔からこんなに強気な発言を繰り返していたのだろうか。本人に率直に疑問をぶつけると「いや、高校時代はどっちかというと弱気でした」と意外な答えが返ってきた。「大学に入って、強気でいた方が多分モチベーションも上がって、結果もしっかり出せるかもしれないと無意識で思ってるかもしれないです。自分に言い聞かせてるところも……。あと、監督の期待度が大きくて、わかる範囲でもプレッシャーかけてくるので、期待に応えようという気持ちが大きいです。それで変わったのかもしれないです」。大八木監督からそんなにプレッシャーを? 「高校の時とはプレッシャーの感じが違います。やばいっす」。そう言いながらも、どこか楽しそうだ。

「片西さん(景、現JR東日本)も言ってたんですけど、気持ちが大事だって。同学年の皆木(晴、駒大高)もAチームでやってるんですけど、できる、やりきれるという気持ちがあるから上のチームについていけてるんだと思います。気持ちで結構変わるんだなと改めて合宿で感じてます。自分もAチームでできるんだ、という気持ちでやりきりたいです」

駒澤でエースになって、優勝する

駅伝シーズンを前にしての目標は「三大駅伝すべてに出て、上位で先輩たちにたすきを渡すこと」。「チームとしては三強(東海、東洋、青学)を崩すことを目標にしてるんで、自分もそこに携われたらなと思います。区間のこだわりはないんで、任された区間でやりたいです」。将来の目標は? 「こんな選手になりたい、とかは実はいなくて。大聖さんがハーフで速い(1時間1分51秒)んで、その記録をしっかり抜いていきたい、とか、目の前の目標を切っていきたいタイプです」。しかしこう続けた。「あ、でも4年生までの目標はありますよ。三大駅伝にエースとして出場して、優勝します。それがこの大学での大きな目標で、達成してから卒業していきたいです」。もちろん区間賞も? 「とります」。頼もしい返事が返ってきた。

まずは出雲で、田澤のダイナミックな走りが見られるだろうか

高校時代から、ポイント練習は必ずつくことを意識してきているという田澤。質の高い練習についていくことで、けがしないか心配だと中村大聖選手が言っていましたよ、というと「大丈夫っすよ。けがしそうになったら監督に言うんで」とさらっと言った。ただやみくもに走るだけではない、しっかりと自分の体とも向き合えている姿には、今後のさらなる飛躍を期待せずにいられない。田澤廉の駅伝デビューが間近に迫っている。

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