北海道大、同志社に大差で敗れ準決勝敗退 それでも選手たちは笑顔だった
ラクロス第11回全日本大学選手権 女子準決勝
11月24日@大阪・ヤンマーフィールド長居
北海道大(北海道地区1位) 3-17 同志社大(関西地区1位)
3-17。北海道大にとっては力の差を見せつけられた試合だった。それでも試合終了のホイッスルが鳴ったとき、選手たちは笑顔で互いをたたえ合っていた。「目指していた舞台に立てて、自分たちのラクロスを出しきれました。本当に楽しい試合だったんで、みんな自然と笑顔になれたんだと思います」。北大主将の澤田郁乃(4年、時習館)はそう笑顔で振り返った。
全員プレーを最後まで貫いた
北大は北海道地区1位で3年連続5回目の全学出場をつかんだ。4年生にとっては3回目の全学だが、過去2年はともに1回戦敗退だった。チームは今シーズン、「全学1回戦突破」を目標に掲げて挑み、その1回戦で宮城学院女子大を5-4で破った。準決勝までの1週間、チームは「試合に勝つこと」はもちろんだが、何より「いままでやってきたことがどれだけ出せるか」ということに意識を向け、大阪に乗り込んだ。
試合開始のドローを北大の古川菜生(4年、筑紫丘)がとり、北大の攻撃から始まった。こまかくパスを回してディフェンスの隙を狙うが、シュートは枠外。同志社に速攻をしかけられるも、北大はチームプレーで守りを固めた。開始6分、フリーシュートから同志社が先制点。さらに試合終了3分前にもう1点を奪われ、第1クオーター(Q)は0-2で終えた。
第2Q最初のボールは同志社がものにし、北大のファウルで再びフリーシュートのチャンス。3点目を奪われた。その後も同志社の攻撃が続き、北大はダブルチームでゴールを阻む。しかし残り6分にゴールを奪われると、立て続けに失点。第2Qは一方的に攻められ、0-6で試合を折り返した。
北大も攻めるも同志社の粘り強いマンツーマンディフェンスでパスが続かず、第3Q終了時点で点差は0-11まで広がった。最終Q開始前、北大ベンチは全員笑顔で円陣を組み、選手たちをフィールドに送る。開始のドローを古川がとり、仲間がつないだボールで永田瞳(4年、旭丘)が左からシュート。永田に選手たちが駆け寄り、待望の1点をたたえた。再開のドローからすぐに1点を奪われるも、ディフェンス陣は冷静にそれぞれの動きを確認。最終Qで同志社に6点とられたが、北大も最後の最後まで攻め、3-17で試合を終えた。
最高の舞台に全員がすべてを出しきれるように
今シーズンの北大は昨シーズンもスタメンとして戦ったメンバーも多く、新チームへの移行もスムーズだったという。過去2回における全学での悔しさから「何かを変えないといけない」と考え、今シーズンは「魅力溢れる人・チームたれ」というチーム理念を掲げた。一人ひとりが力を尽くしてチーム全員で戦うという思いが、そこには込められている。
北海道では10月後半には雪が降り始めるため、冬場は体育館などの屋内での練習に切り替える。ラクロスができるほどの広さはなく、ボールも軽くて柔らかい室内用だ。練習環境が限られている分、どうしても一人ひとりの技術力に差が出てしまう。だからこそ北大は技術力をカバーできるよう、全員で守り全員で攻める戦略でこれまで戦ってきた。
全学準決勝では技術力で負けるところはあったものの、それでもドローではいい勝負ができていた。「『全国でも戦えたよ』といい報告ができそうです。この経験を北海道地区にもって帰って、北大もそうですけど北海道地区全体を盛り上げていけたらいい」と土田周人監督は言う。
DFの澤田は点をとられるたび、ディフェンス陣に声をかけていた。「みんなでフォローし合っていこう」「最後まで絶対諦めない」。そんな言葉でチームの気持ちを引き締めた。澤田自身、この準決勝をワクワクしながら待ちわびていたという。「試合前はとにかく強気で、自分たちらしいラクロスをしようと思ってました。いままでにない最高の舞台で強い相手と戦えることが、まず楽しみでした」と振り返る。
そんな試合を終え、「やりきった」という充実感と「それでも勝てなかった」という悔しさ、両方の思いがあった。攻められるシーンが続いたときもつらく思うことはなく、むしろそんな時間を心から楽しめたという。
試合には勝てなかった。それでも試合直後に見せた選手たちの笑顔からは、4年間を出しきったという思いが伝わった。