西南女学院・二ノ宮可南 悔しさばかりの4年間から広がるバスケ人生
スタメンの平均身長は163.4cm。スモールチームの西南女学院大が、同じ平均で174.6cmと今大会屈指の高さを誇る早稲田大に健闘した。その中心にいたのはキャプテンであり、チーム最長身の176cmのセンター、二ノ宮可南(4年、福岡大若葉)だった。
「最後やし、思い切ってやろうや」
早稲田はスタメンに180cmオーバーを2人並べ、序盤からその高さでアドバンテージを握った。西南女学院はその高さに対し、攻守ともに運動量で対抗したが、第2クオーター(Q)中盤にはダブルスコアまで点差を広げられた。
14点ビハインドで迎えたハーフタイム、二ノ宮はチームメイトにこう言った。「負い目を感じても仕方ない。最後やし、思い切ってやろうや」。その言葉通り、まずは自分の連続シュートで流れを作る。その後は渡邉由依菜(4年、精華女子)の3ポイントシュートが効果的に決まり、点差は第3Q開始5分で5点差にまで詰まった。最後は点差を広げられたが、コートに立つ全員が粘り強く戦う姿勢を貫いた。
二ノ宮は中学、高校と全校屈指の強豪チームのスタメンを務めた。チーム1のキャリアの持ち主だ。しかし、自己評価は「まわりのすごい選手たちに助けてもらってただけ。自分はそんなにうまくない」。高校卒業後はバスケから離れ、一般企業に就職しようと考えていた。
大学バスケで新しい自分に出会った
高校までの役割は、本人いわく「みんなが攻めて、空いたらポンとシュートを打つだけ」。しかし、大学では自分がまわりを引っ張るに立場になった。下級生のころは役割の変化に戸惑いを隠せなかったが、上級生たちからの励ましを受けて次第に覚悟が決まった。この早稲田戦でも、体格では絶対的に不利な状況にも関わらず、ゴール下で体を張り続け、オフェンスの起点としての役割を果たした。
大学でバスケを続けようと思ったことに、さして大きな理由はないと二ノ宮は言う。「地元だったし、高校の先生から『お前はやれ』と言われたし、『じゃあやるかー』って感じでした」。しかし、学生最後の戦いを終え、改めて振り返ってみると違うような気もする。「本当は続けたかったんだろうなって思います。バスケが好きなんやろうな」。柔らかい笑顔で話した二ノ宮は、卒業後も実業団でバスケを続ける。「4年間悔しい思いばっかしてきたから、続けようと思って」。軽い動機からつないだバスケ人生のロスタイムは、いつしか本気のオーバータイム(延長戦)に変わっていた。