関東王者・大東大を追い詰めた京産大 「浪速のスーパードリブラー」北條海樹の1年
大学の男子バスケ界は、長らく関東ブロックの天下が続いている。今大会を見てみても、ベスト16のうち12チーム、ベスト8になると全チームが関東勢という状況だ。そんな中、近畿ブロック1位の京都産業大が、関東ブロック王者の大東文化大をあと一歩まで追い詰めた。
京産大は昨年、早稲田大に初戦負けを喫した悔しさから、関東のチームに勝つことだけを考えて練習を積んできた。ポイントガードを務めた北條海樹(2年、金光藤蔭)は「大東大はサイズもフィジカルもスケールが全然違った」。戦ってみての衝撃を振り返る一方で、「関東1位のチームと互角にやりあえた。よかったです」と、充実感をにじませた。
ストリートバスケで注目されたが、1年目は悩んだ
北條には高校時代の全国経験がない。しかし、近畿地区やストリートバスケ界では大きな注目を集める選手だった。武器はスキルコーチのもとで磨き続けたドリブル。「浪速のスーパードリブラー」として高校生ながらストリートのイベントを沸かせ、東京で開催された大学生メインのイベントにも特別招集されるほどの実力者だった。
「関西の雄」京産大に入学した1年目は、ほとんどプレータイムを得られなかった。高校時代は自分が攻め続けていればよかったが、大学では能力の高い選手をコントロールしなければならない。初めて経験するハイレベルなバスケットとスタイルを、なかなか受け入れられなかった。「自分勝手というか、人間的に弱かったなと思います。だいぶ悩みましたし、自分の弱さのせいで、バスケとちゃんと向き合えてなかった時期がありました」
昨年のインカレで残った後悔
そこから抜け出すきっかけとなったのが、昨年のインカレだった。ほとんどの時間をベンチで過ごし、勝敗に関われなかった自分に腹が立った。「試合に出ないとおもしろくない。意地を張ってても意味がない」。気持ちを切り替え、チームで求められていることにフォーカスし直すと、今年5月の関西学生選手権からは一転して、スタメンとして多くの時間をコートで過ごすようになった。
今大会の大東大戦のパフォーマンスは「全然よくなかった」というのが自己評価。それでも、仲間を鼓舞し続け、クロスオーバードリブルやダブルクラッチシュートなど、自在なボールコントロールを披露した。
来年のチームには北條とともに、高い身体能力を誇るサンブ・アンドレ(2年、沼津中央)や上田隼輔(2年、尽誠学園)ら、この一戦を経験した多くの下級生が残る。「死に物狂いでやって、もっと心身ともにタフになりたい。そして仲間からの信頼を得て、来年堂々とこの舞台で戦いたい」。そう言いきった北條との再会を、楽しみにしていたい。