バスケ

特集:第71回全日本大学バスケ選手権

全員で3ポイントを打ち倒す鹿屋体大、筑波大にジャイキリ果たしてベスト8

藤永(右)は3ポイントを身につけたことでプレーの幅が大きく広がったと話す(すべて撮影・青木美帆)

バスケ第71回全日本大学選手権 女子3回戦

1212@東京・駒沢オリンピック公園総合運動場
鹿屋体育大 57-84 拓殖

3ポイントシュートを打ち続ける。いや、打ち倒す。それが、鹿屋体育大が今シーズンから掲げたプレースタイルだ。

身長差の影響を受けにくく、リバウンドも予測しにくい

鹿児島は大隅半島にある国立大の鹿屋体育大は、選手確保の面でどうしても不利だ。好選手のあふれる関東のチームや、外国人留学生の長身センターを擁するチームに対抗する策として、木葉一総ヘッドコーチ(HC)が打ち出したのが、3ポイントだった。ゴールから離れた場所から打つ3ポイントは、身長差の影響を受けにくい。外れたとしてもリバウンドがどこに落ちるか予測しにくい。

アウトサイド陣はもちろん、インサイドプレーヤーも含めた全員で3ポイントを特訓。オフェンスの練習時間の実に6~7割が3ポイントに絡んだものだったと、大串梨沙(4年、駿河総合)は振り返る。

鋭いドライブと体の強さ、シュート力を備えた白石は、今後が楽しみな選手だ

今大会、この戦法が確かに生きた。1回戦の名古屋経済大戦は第3Q終盤で20点を追う厳しい展開だったが、第4Qは練習してきた速攻からの3ポイントが効果的に決まり、残り2秒での逆転勝利。6月の西日本学生選手権の借りを返した。シーソーゲームとなった2回戦の筑波大戦も、第4Qに相手との3ポイント合戦を制し、ジャイアントキリングを実現した。

敗れた拓大戦も、鹿屋スタイルは貫いた

ベスト4進出をかけた拓殖大戦は相手の強烈なプレッシャーにさらされ、まさかの0-21という立ち上がり。「3ポイントが入らないことや相手のプレッシャーに焦って、1対1のオフェンスに切り替えてしまったのがよくなかった」と、主将の藤永望花(4年、慶進)は反省した。

後半も18-47と大差からのスタートだったが、木葉HCの「自分たちが1年やってきたことを信じて、思いきってやろう」という励ましに選手たちは奮起。速攻から田村碧衣(2年、岡豊)や白石楓夏(3年、慶誠)らが積極的に3ポイントを狙い、こぼれ球に全員が飛び込んだ。点差は覆せなかったが、最後まで自分たちのスタイルを貫いた。

好プレーに湧くベンチ。「流れが悪いときも声を出して盛り上げてくれました」と大串

一昨年の同大会で鹿屋体大はベスト4に進出したが、昨年は1回戦負けに終わった。藤永たち4年生は、喜びも悔しさも知った上で、スタイルの定着に必死で取り組んだ。「キツい練習もつらいことも、みんなで我慢して粘って乗り越えてきました。ベスト4という目標には届かなかったけど、このチームで1年間やってきたことをコートで出せて、本当によかったです」。藤永の顔には、充実感がにじんでいた。

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