ラグビー

連載:私の元気メシ

「ペピタライオン」は慶應ラガーマンの強い味方 300gの特盛パスタに魅惑の納豆

乾麺300gのパスタ、しっかり納豆と絡めて(すべて撮影・松永早弥香)

学生時代に通ったお店は、卒業して何年経っても特別な存在だ。慶應義塾大蹴球部(ラグビー)部OBで、現在はBKコーチを務める和田拓さん(31)が、そんな店を教えてくれた。湘南藤沢キャンパスの最寄り駅にあたる湘南台駅(小田急電鉄、相模鉄道、横浜市営地下鉄)から徒歩1分。洋食屋「ペピタライオン(Pepita Lion)」には、慶應の体育会学生限定のメニューがある。

東海大バスケ部、陸上部の憩いの場「キッチン・オリーブ」でボリューム満点丼をいただく

「おいしいパスタをおなかいっぱい食べられる店」

ペピタライオンがオープンしたのは43年前。オーナーの松本あい子さんが、当時勤めていた会社をやめ、一人で立ち上げた。

「オープン当初は料理も接客も、すべて一人でこなしてました。経営コンサルタントに指導してもらいながら、なんとか形にしていきましたね」と松本さん。その後、姉妹店である「ニューオーリンズ」も湘南台駅のそばにオープン。地元の人たちに愛される洋食店へと育っていった。

ペピタライオンへは湘南台駅から徒歩1分

1990年に慶應の湘南藤沢キャンパスができると、学生も続々と来店するようになった。さらに近隣の多摩大や文教大の湘南キャンパスに通う学生も常連に。「おいしいパスタをおなかいっぱい食べられる店」として、とりわけ体育会系の学生に人気の店となっていった。

「一皿でおなかいっぱいになってほしかったので、大盛や特盛も出すようになりました」と松本さん。普通盛りでさえ120gの乾麺を使っているのに、大盛(+250円、価格はすべて税別)は160g、特盛(+450円)はなんと300gもの麺がお皿に盛られてくる。特盛はメニューには載っていない。基本的にオーダーできるのは、慶應の体育科会系の学生のみ。残したり、シェアしたりするのは厳禁だ。

店内には慶應ラグビー部が置いていったポスターも

「茄子ひき納豆」「にんたか納豆」「しそシー」

学生たちはどんなメニューを注文しているのだろうか。和田さんにイチオシを尋ねてみると、「茄子ひき納豆」や「にんたか納豆」とのこと。どんなメニューなんだろうと想像しても正確に分からずにいたが、メニューを見て納得! 「茄子と挽き肉」(1080円)と「にんにくとたかのつめとベーコン」(1080円)に納豆をトッピング(+100円)するというわけだ。また、ラグビー部員には「しそシー」こと「しそとシーフード〈バター風味〉」(1100円)のファンも多いという。

さらに、慶應出身でロンドンオリンピック競泳男子200m平泳ぎ銅メダリストの立石諒さん(30)も、ここのパスタの大ファン。「エビとほたての黒こしょう風味」(1280円)について、雑誌のインタビューで「どの国で食べたパスタよりおいしい。パスタ界の金メダル!」とコメントしたこともあるほどだ。

パスタに納豆、これがまた合う!

さあ、実食だ! オーダーに迷いながら、この日は「茄子ひき納豆」と「しそシー」をチョイス。特別に「茄子ひき納豆」を特盛にしていただいた。

手前が納豆をトッピングした「茄子と挽き肉」の特盛、奥が「しそとシーフード〈バター風味〉」

まずは「茄子ひき納豆」。「お待たせしました」と運ばれてきたときは、あまりのボリュームに思わず「すごい!」と漏らしてしまった。乾麺300gの大ボリューム。なんと、この特盛を同時に2種類平らげるラガーマンもいるそうだ。

大きなお皿にど~んと座ったパスタはもちろんのこと、大きなナスにたっぷりと盛られたひきわり納豆が魅惑的だ。挽き肉には鶏からとった自家製ブイヨンを使うこだわりよう。見逃せないのがタマネギの存在だ。甘さが加わり、家庭的なやさしい味わいに仕上げられている。「日本の食材を使って作るスパゲッティだから、納豆とも相性がいいんです」と松本さん。確かに醤油の風味ともよく合い、箸が止まらなくなる。

しそがたっぷりのった「しそとシーフード〈バター風味〉」はさっぱりと食べたいときにぴったり

一方の「しそシー」も、しそとシーフードのほか、コーンやマッシュルームまで入った具だくさんの一皿だ。シーフードのうまみとしその爽やかさが絶妙にマッチしており、さっぱりしたものがほしいときにぴったりだ。

ランチタイムなら280円を足せば「本日のデザート」もセットにできる。この日は「ベリーのチーズケーキ」や「クレームドブリュレ」などが用意されていた。さらに「ドリンク+サラダ+ミニデザートセット」(550円)もある。

「本日のデザート」にもこだわりが詰まっている

歴代のOBたちも新幹線で駆けつける

「湘南台は学生の街。商店街のイベントを手伝ってくれる学生さんもいっぱいいるし、こちらも、勉強にスポーツにと頑張っている学生さんを応援していきたいですね」と松本さん。慶應ラグビー部の合宿の際には、日ごろの感謝の気持ちを込めてスポーツドリンクを差し入れることもあるそうだ。

学生たちもそんな松本さんの愛情をしっかり受け取っているようで、卒業後も「いまから行くからね」と、新幹線の乗車前に電話して来店するOBまでいるのだとか。これからも、ペピタライオンのパスタを食べて力を蓄えた学生たちが、湘南台から世界へ羽ばたいていくことだろう。

早稲田大競走部の“第二寮” 狭山ヶ丘「マリーナビレッジ」の目にもおいしい料理たち

私の元気メシ

in Additionあわせて読みたい