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連載:私の元気メシ

東海大バスケ部、陸上部の憩いの場「キッチン・オリーブ」でボリューム満点丼をいただく

照り焼き丼の唐揚げは1つが女性の拳ぐらいの大きさ。そのボリュームに驚く(提供写真以外すべて撮影・藤井みさ)

東海大学湘南キャンパスは、小田急線東海大学駅前から徒歩15分ほどの場所にある。キャンパスまでは「東海大学近道商店街」を通るのが早い。急坂の最後にあるのはなんとエスカレーターだ。今回紹介するキッチン・オリーブは、そのエレベーターを登った目の前にある。キャンパスからは徒歩1分。落ち着いた雰囲気の店内は、授業期間中は昼時になると満員になるという。今回は特別に定休日に取材させてもらった。

関学アメフト部の集まる「とんきん」こと東京庵 「むしてい、はんから、しるぬき」

一番人気はボリューム満点の照り焼き丼

もともとここには「ボルボ」という喫茶店が40年ほどあった。その後とんかつ屋が3カ月ほど入っていて、キッチン・オリーブが2019年の5月からここに店を構えている。キッチン・オリーブの前身は「ちょくちょく」という店で、近道商店街の坂の下に3年ほどあった。ちょくちょくは居酒屋メインの店だったが、移転してランチにも力を入れるようになった。

レンガの落ち着いた店構え。場所もわかりやすい

ランチタイムは11時から15時、夜は18時から22時の営業。授業のある期間中は、昼も夜もほぼ満席になるという。メニューは丼ものとカレー、パスタなど。一番人気の「照り焼きチキン丼」は690円(すべて税込み)と、学生のお財布にも優しい価格。ごろっと大きい鶏の唐揚げに、特製の甘辛たれを絡めたボリュームたっぷりの一品だ。鶏肉はジューシーで、食べると肉汁があふれ出す。たれとご飯の相性も抜群で、ちょっと多いかな? と思えたご飯もいつの間にかぺろりと食べてしまう、そんな一品だ。

一番人気・照り焼き丼と、二番人気・とろたく丼。いずれも690円とリーズナブル

オーナーの近藤真さんは「ボリューム重視でメニューは考えてます」という。夜だけで米が80~90合出る時もあるといい、「いちばん大変なのは米を切らさないこと」と笑う。学生からのリクエストがあったら意見を取り入れたりと、少しずつメニューも変えつつあるが「だんだん固まってきましたね」と語る。

昨年5月、キッチンオリーブがオープンしたタイミングでオーナーとなった近藤さん。最初は手探りだった

心がけているのはなるべく手づくりにこだわること。照り焼きのソースも、2~3時間かけて作っているという。「市販のを使おうと思えば使えるんですが、やっぱり味が違うなと思うことも多くて、そこには手間をかけてますね」。スタッフは近藤さんを含めて3人、そこにアルバイトが2人ほどでお店をまわしている。

「たこから」人気爆発中

キッチン・オリーブには毎週3回、東海大バスケ部・シーガルスのメンバーが夕食を食べにやってくる。寮に食堂がないため、契約しているのだという。2階にはシーガルスのメンバーのサインもあった。近藤さんはいままで大学スポーツを見る習慣はなかったが、昨年末にあったバスケインカレには応援にも行ったそうだ。「やっぱり来てくれる子たちの試合は応援したくなっちゃいますね。おかげでだんだんスポーツに詳しくなってきました」と笑う。

シーガルスの選手たちにとって、ここは「食堂」でもある

バスケ部の他にこの店の常連だったのが、陸上部の阪口竜平選手(4年、洛南)だ。陸上部の寮では夕食が出るが、欠食届を出してわざわざこの店で食べることもあった。阪口選手のお気に入りが、ネギトロとたくあんが乗った「とろたく丼」(690円)。照り焼き丼に次ぐ人気メニューだ。これと「たこの唐揚げ」(620円)をセットで頼む。

たこの唐揚げ、通称たこから。アツアツのうちに食べるのがおすすめ

昼と夜をここで食べることもあり、あまりに常連になっているので「もう、竜平はお客さんというよりスタッフの一員のような感じ」と笑う。「彼がいつも“たこから”を頼むので、一緒に来た陸上部の鬼塚くんとか、關くんとかもそれぞれ来てたこからを頼むようになりました。たこからばっかりオーダーが出るときがありますよ(笑)」。実際にいただいてみると、アツアツプリプリ。実はたこがそんなに得意ではない筆者でも「これは美味しい!」と思わず言ってしまう味。みんなが頼むのもうなずける。

スタッフの皆さんと阪口選手。お店のスタッフだけの忘年会にも参加したとか

阪口選手は今後、基本的にアメリカに拠点を移すが「帰国した時は東海大で練習するので、そのときはほぼここに食べに来ると思います」と笑う。アットホームな雰囲気で「帰ってきたくなるような感じ」と表現した。1月3日、陸上部の箱根駅伝の打ち上げもこの店でやったそうだ。

帰ってきたくなるような心地いい場所

近藤さんはこの店とは別に、建設資材の会社を経営している。朝早く起きてまず会社に行き、昼から夜まで店の運営。正直、体力的にきついと感じることもある。「お店は、なんとなく成りゆきで『やってみるか』ってことになって。大変なんですけど、来てくれる人の笑顔を見るとやりがいを感じます。楽しいなと」。店名の「キッチン・オリーブ」は直感で決めた。「『オリーブ』の語感が柔らかいのと、色も好きで」。店内にもオリーブの装飾があるが、業者に頼まずスタッフと一緒に、少しずつ内装に手を入れているという。

1月3日、箱根駅伝後にあった陸上部の打ち上げ。みんな笑顔(写真提供・近藤さん)

オープンしてまだ半年ちょっと。初めての冬休み・入試シーズンを迎え、「昼はお客さんが来なくなっちゃうから、どうしようかなって思ってるんですよ」と悩みも話す近藤さん。夜は近隣の住民の方などが飲みに来るなど、すでに地域にとって欠かせない場所になっているのは間違いない。4月になれば新入生たちがやってきて、また新しい「常連」が増えていくことだろう。

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