相撲

稽古はオンライン、伝統の立教大学相撲部が「密」避け効果狙う

現役部員らと周防正行・名誉監督(左列、上から2人目)もオンライン稽古で汗を流す(写真・立教大学相撲部提供)

創部100年を超えた伝統の立教大学相撲部が、濃厚接触が避けられない土俵から「オンライン稽古」に切り替え精力的に活動している。慢性的な部員不足に悩まされてきたが、ネット環境を生かした新たな部員勧誘策も始まった。

相撲部主将は敏腕記者だった!? 立教大・玉真拓雄の秘めたる思い

「四股100回いこうか!」。6月下旬、土曜日の朝。テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」でつながった十数人が、一斉に四股を踏み始めた。稽古場はそれぞれの自宅など。画面には現役部員にコーチ、卒業生らも加わり、汗を流す。1分程度の短い休憩を挟みつつ、腕立て伏せ、スクワット、すり足と次々にメニューをこなす。息を切らしたり、動きが鈍くなったりする参加者もいたが、1時間超の稽古を全員で乗り切った。

周防正行・名誉監督も「シコふんじゃった。」

その中には、映画「シコふんじゃった。」の監督・脚本を務めた立教大OBで、2年前に相撲部名誉監督に就いた周防正行さん(63)の姿もあった。玉真拓雄主将(4年、都竹早)は、この試みに手応えを感じている。「対面ではできないけど、オンラインでつながることで一人ひとりが自覚を持って取り組める。部員一同、助かっています」。毎週のように参加するという周防さんは「相手がいない中での稽古は難しいかもしれないが、今は基礎の体力をしっかりつけてほしい。一緒に稽古している人がいるんだ、ということが少しでも励みになるはず」とエールを送った。

立教大学相撲部名誉監督の周防正行さん

相撲部は、国内の感染拡大が始まる前の2月下旬、学生の安全を考慮して土俵での稽古をやめた。自主稽古に切り替え、全員参加のオンライン稽古は新年度に入った4月から毎週土曜日に実施。土俵での稽古を再開できるようになるまで継続するという。

 高校生力士をオンライン稽古に招待

実は、稽古環境より深刻なのが部員の数だ。現在、選手は3人。1919(大正8)年創部の歴史を誇る相撲部は近年、長く部員不足に悩まされ、5人が必要な団体戦は他の部活に助っ人を頼んで出場することが常態化している。しかも今年度は、部にとって1年で最も重要な新入生歓迎の時期にコロナ禍が重なってしまった。

そんな苦境の中、オンライン稽古を、一歩先の勧誘にも生かしている。ネット環境があれば全国から参加できる特徴を生かし、来年度以降に入部の可能性がある高校生に向けて公開。すでに、奈良県の高校相撲部員が稽古に参加したという。坂田直明監督(48)は「将来、立教を受験してもらえるよう、みんなで歓迎したい」と話す。問い合わせは、立教大相撲部(rikkyosumo@yahoo.co.jp)へ。

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