ヤンチャボーイズに、勝つぞ男だ……カルロス流・2020シーズンの注目どころ(下)
みなさんこんにちは! 宇宙人イチ大学バスケを愛する(自称)宇宙人、カルロスです。今月はNA・NA・NA・なんと、コラムが2回あります! ありがたいことです。「1部12チーム、どんな感じなんだい!?」「大学バスケ最近見始めたけど、推しチーム以外あんまり知らないぜよ……」。やっぱりまだまだこんな声が、カルロスには聞こえます……くぅっ! こんな声に応えず、いつ仕事をするんだカルロス! そんなみなさまに、前編に引き続き“カルロス流”関東1部大学12チーム紹介をさせていただきます。カルロスの個人的な意見なので、その辺はご愛嬌で。
人気チームへと駆け上がった、愛すべきヤンチャボーイズ
白鷗大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント 優勝
ルーキーズトーナメント 5位
オータムリーグ 7位
インカレ 4位
まずは「THE・ヤンチャ軍団」白鷗大学です。スプリングトーナメント2019で優勝し、大学バスケ界で一気に人気チームへと駆け上がったチームです。オンコートとオフコートの表情がガラッと変わるチームで、見ていて楽しいアップテンポなバスケをする印象があります。昨年のCSParkでも、主将兼若頭・中川綸選手(東海大相模)と“ジェット前田”こと前田怜緒選手(現・滋賀レイクスターズ、東北)が試合解説など色々な企画で活躍してくれました!
白鷗大学は、2018年より元日本代表選手である網野友雄さんが監督となり、指揮をとっています。ヤンチャボーイズと表現しましたが、オンコートの面でいくと、選手個人がしっかりと考えてプレーをし、相手チームのスカウティングをめちゃくちゃするチームです。練習中は互いをしっかり注意し合い、声が飛び交います。
真面目だ! どこがヤンチャなんだ!! という感じですが、オフコートでまったく違った表情を見せます。選手同士の仲が良く、普段はいい意味でオラオラしているというか、キャッキャウフフしています。スプリングトーナメント2019決勝後のインタビューで白鷗大学の強さの秘訣を聞くと、「仲の良さもある」と中川選手が言っていました。
オータムリーグ2019からは主力であるディオップ・マムシェッハイブラヒマ選手(現・鹿児島レブナイズ、延岡学園)がけがをしてしまい、万全ではない状態で試合に臨んでいました。インカレ2019 3位決定戦の最後のシーン、シェッハ選手がコートに立った時、4年生含めたチームメートが涙を流していました。いや、ずるいって! ヤンチャボーイズの涙はずるいって。雨の中ヤンキーが子犬助けるのに近いって……。
そんなヤンチャボーイズの今シーズン、ポイントガードには昨シーズンより大活躍の関屋心選手(2年、飛龍)やチームバスケを徹底する渋めな活躍を見せる板橋真平選手(4年、つくば秀英)が。また、インサイドは引き続きブラ・ブサナ・グロリダ選手(3年、帝京長岡)。フォワードにもディフェンスやシュートが上手で、昨シーズンから活躍してきた選手が多いです! 新入生には市川真人選手(静岡学園)や脇真大選手(岡山商科大学附)といった大型選手がいます。
シェッハ選手がいた昨シーズンの白鷗大学のイメージは、インサイドも走り、ガードがガンガンプッシュをするアップテンポなバスケ。ハーフコートでも前田選手がフィニッシャーとして活躍していました。今シーズンはどんなバスケをするのか!? もうヤンチャボーイズではなくなってしまうのか!? そして昨シーズンの裏エース・三浦望のような、奇抜なヘアーとバスケファンに刺さるプレーで人気になるプレーヤーは出てくるのか……。余すことなく注目です。
絶対にフリーができる!? 高度なオフェンスを仕掛けるチーム
早稲田大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント ベスト16
ルーキーズトーナメント ベスト16
オータムリーグ 9位
インカレ ベスト16
続いて早稲田大学です。個人的には“ガード大国”というイメージがあります。18年は“ハセノボ”こと長谷川暢選手(現・秋田ノーザンハピネッツ、能代工業)。17年はアシストファンタジスタ・森井健太選手(現・横浜ビー・コルセアーズ、洛南)、そして高校優勝ガード石原卓選手(現・三井住友海上火災、京北)がいました。もう少し遡ると、16年の池田慶次郎選手(現・三井住友海上火災、京北)は京北中学校時代から活躍した有名人です。
例年ビッグマンが少なく、身長190cmほどのインサイド選手がオールコート&ハーフコートで駆け回り、ピック&ロールを駆使して戦うチームな印象があります。あと毎年、洛南高からの進学者も多いですよね。
「絶対にフリーができる!?」と書きましたが、マジなんですこれ。対戦相手の選手が言うには、セットプレーで必ずどこかでフリーができるとのことです。確かにフロアバランスがよく、コーナーの使い方も上手ですよね! ここにシュートの成功率が上がりリバウンドをとるビッグマンが加われば“鬼金”です。鬼に金棒です、ええ。
今シーズンの主将は小室悠太郎選手(4年、北陸学院)。チームメートから“パパ”と親しまれている彼ですが、相手に体をぶつけ、超走り、外のシュートの成功率が高い選手です。オールコートになびく彼の髪に目がいってしまいますが、その献身的なインサイドプレーにしっかり注目です!
また、ポイントガードにはルーキーから大活躍を見せた土家大輝選手(2年、福大大濠)と神田誠仁選手(2年、浜松開誠館)。この2人はこれから先の早稲田大学2枚看板になる予感がしています。そして最上級生に柳川幹也選手(洛南)がいます。1年生の時よりポイントガードの大先輩たちの背中を見てきた彼が、ラストシーズンで大化けするのか、いやしてほしい!
あと、カルロスが個人的に早稲田大学の好きなところは、196cmとチームでも最長身の宮本一樹選手(3年、桐光学園)を外回り中心に起用していることです。スモールチームだけど選手の長所を生かし続けています。
早稲田大学の指揮をとっていた吉岡修平監督が青山学院大学へ移動し、様々な面で新しくなる今シーズン。チームイチの攻撃力を持つ津田誠人選手(3年、洛南)もけがから復帰し、新しい形を見せてくれると思います! そんな彼は実はオシャレ番長という一面もあります。会場への移動で津田選手を見つけたら、そのファッショナブルさも目に焼き付けましょう。
強い青学バスケを、再び!
青山学院大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント ベスト16
ルーキーズトーナメント 7位
オータムリーグ 準優勝
インカレ ベスト8
3つ目のチームは青山学院大学です。11年のインカレ優勝から長らく栄冠を手にしていないチーム。現在、日本代表で活躍する比江島慎選手(現・宇都宮ブレックス)や辻直人選手(現・川崎ブレイブサンダース)を中心に大学バスケ界の超強豪として名を馳せてきました。ルーキーズトーナメント2016優勝と、昨シーズンの4年生の代は好成績を残しましたが、オータムリーグ2019では準優勝、あと一歩及びませんでした。
青学の練習・トレーニングは大学一キツいと言われることもありますが、選手たちは下を向くことなく、毎年優勝を目指して戦い続けています。和田蓮太郎選手(2年、開志国際)なんかは、「プロを意識して体を大きくしたいから青学に進んだ」なんてこともインタビューで言っていたくらいです。強度の高いトレーニングで鍛えた体や走力を存分に生かし、しっかりと着実に点を重ねるバスケをしてきます。
今シーズン、エースとしてチームの軸となるはずだった赤穂雷太選手(4年、市立船橋)が千葉ジェッツへ進むことを発表し、部を退部しました。そんな中、同期たちは彼の背中を押し、夢を応援したそうです。泣いてしまうやろ、こんなエピソード! 様々なバックグラウンドの上に大学バスケはあります。このストーリーが今年の青学にどのような影響をもたらすのか。
また前述の通り、今シーズンからは早稲田大学にいた吉岡監督が指揮をとります。早稲田大学で展開していた緻密なバスケが名門・青学とどう融合するのか? 彼らの熱いプレーに注目です。カルロスの個人的なオススメ選手は、主将の斉藤諒馬選手(4年、山形南)です。チームを支える泥臭いプレー、確率の高い3Pシュート。そして少年期にちびっ子相撲大会で無双したという強靭なフィジカル! どすこい!!
イケイケドンドン! なオフェンスの裏側は?
拓殖大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント 7位
ルーキーズトーナメント ベスト16
オータムリーグ 2部優勝
インカレ ベスト16
4つ目は拓殖大学。「Orange Crushers」というカッコイイチーム名です。昨シーズンは2部リーグ優勝、1年で1部リーグに復帰してきました! 留学生のイメージが強い拓殖大学ですが、18年シーズンにゲイ・ドゥドゥ選手(八王子)が退部して渡米し、昨シーズンは日本人選手中心に激しいディフェンスと中外リズムのいい、自由なイケイケドンドンオフェンスでその実力を見せつけました。スプリングトーナメント2019では7位と、1部のチームの中でもまったく負けていませんでした。
ポイントガードの平良陽汰選手(3年、興南)は、その独特のリズムから繰り出すドライブや予測できないアシストなどで会場を沸かせます。そしてオフェンシブなチームを支えるのは主将・杉野晴輝選手(4年、四日市工業)。194cmでチームでも長身の彼ですが、ブレイクではチームの先頭を走り、リバウンドに絡み続ける姿勢で相手プレーヤーからも厄介となる存在です。リバウンドからの得点も多く、ルーキーズトーナメント2018決勝では11リバウンドと、シュート数の多いチームメートを助ける大きな働きをしました。昨シーズンより3Pシュートも武器の一つとなり、カルロス的今シーズン注目プレーヤーの一人です。
昔から大学バスケを見ている方的にとって、拓殖大学には少し緩めの自由なバスケをするイメージがあるかもしれませんが、近年ではオフェンスの自由さに、激しいディフェンスを加えるバスケとなりました! 今シーズンは新入生として留学生のジョフ・ユセフ選手(開志国際)を加え、さらに雰囲気が変わってくると思います。イケイケドンドンなオフェンスが今シーズンも楽しみです! そしてインカレ2019ではメンバーでバッシュをそろえてくるなど、オフコートでも楽しませてくれた拓殖大学。オシャレさんの多いその足元にもCHECKですぜ!
カギはスピードのあるオフェンス! 勝つぞ男だ日体大!
日本体育大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント 5位
ルーキーズトーナメント 4位
オータムリーグ 4位
インカレ ベスト8
5つ目は日本体育大学。「勝つぞ男だ日体大」は、実際に張ってある横断幕の言葉です。歴史ある体育大学なので、なんかこう……ズシッときますね。ちなみにカルロスは初めてエッサッサを見た時に衝撃を受けました。気になる方はググってみてください。
日体大には昨シーズンまで、絶対的な司令塔でエースだった大浦颯太(現・秋田ノーザンハピネッツ、広陵)という選手がいました。大浦選手は藤田将弘監督とともにセットプレーの立案や、チームメートへの指示などイチプレーヤーとは思えないくらいの影響を及ぼしていたらしいです。そんな大浦選手が抜けるのは痛いですが、4年生で試合に絡んでいたのは大浦選手と磯野寛晃選手(熊本ヴォルターズ練習生、直方)です。その他のメンバーは3年生以下! 一部選手の中では今シーズン最も厄介なのは日体大との声もあります。
カルロス的な今シーズンのポイントはスピードのあるオフェンス! ポイントガードは井手拓実選手(3年、福岡第一)。フォワードには同じく福岡第一高出身の主将・土居光選手(4年、ちなみに地毛です・笑)や古橋正義選手(2年)がいます。他にもロールプレーヤーのディクソン・ジュニア選手(4年、中部大第一)や攻撃力のある青木遥平選手(2年、中部大第一)、そしてハマった時に3Pシュートを決め続ける遠藤善選手(4年、帝京長岡)。スタートも控えプレーヤーもともに手厚いです!
そしてインサイドには大東文化大学4年生だったモッチ・ラミン選手(桜丘)の抜けた大学バスケにおいて、No.1留学生と呼び声高いジョナサン・バム選手(3年、福岡第一)がいます。バム選手はローポストからのアタックの強さはもちろん、フルコートでよく走り、リバウンドなどの泥臭いプレーも積極的にこなします。個人的に、よく走る留学生ほど厄介なものはありません……。
この福岡第一高出身の選手多めなラインナップの強みは、高校時代から続くフルコートで展開するスピードのあるオフェンスです! 事実、土居選手の代のルーキーズトーナメント2018では準優勝に輝いています。パワーフォワード、つまり4番ポジションにどの選手が入るかも重要です。もしかしたらバム選手を中心に、4out1inのような形で速さをさらに生かしてくるかもしれません。
ここにウインターカップ優勝経験を持つ小川麻斗選手(福岡第一)や強豪・市船のエース和田将英選手(1年)などが入ります。もしかしたら、関東屈指の攻撃力を披露する日体大が見られます。ワクワクするで!
黄金時代くるか? 大学バスケ最強メンバーの融合
東海大学
※昨シーズンの成績
スプリングトーナメント 6位
ルーキーズトーナメント 優勝
オータムリーグ 6位
インカレ ベスト8
チーム紹介最後は東海大学。大学バスケ界屈指の人気チームです。毎年高校バスケで活躍したトップメンバーが集まり、その中でハードな練習をしています。陸川章監督の元、ビッグファミリーとして、バスケに加えて組織力や人間力の向上などにも注力しているスーパースター軍団です。
やはり注目は3年生メンバー。高校バスケ時代から世代で注目されてきた大倉颯太選手(北陸学院)は千葉ジェッツでの特別指定選手活動も経験してさらに実力を上げたと思います。そして八村阿蓮選手(明成)とのピック&ロールは入学時より東海大学の武器となっています。この世代は怪物ぞろいで、ギュンギュンのポイントゲッター・坂本聖芽選手(中部大第一)や“大学バスケの最終兵器”こと佐土原遼選手(東海大相模)など、恐ろしい選手ばかりです。
チームを率いる4年生の代は、デフバスケ世界選手権MVPの津屋一球選手(洛南)や日本代表候補にも選出されるピュアシューター・西田優大選手(福大大濠)がいます! 長くなってしまうので書ききれませんが、他メンバーもバスケ好きなら一度は名前を聞いたことがあるスターばかりです。
そしてここに加わる超精鋭の新入生たち。どうしちゃうのコレ!? という感じです。東海大学はメンバー層が厚すぎるゆえに、試合起用に悩むという問題があります。カルロス的にはすごいことだと思います。練習からトップレベルでできるし、これほどの競争は他のチームではなかなか経験できません! 話を戻しますが、ポイントガードには高校No.1ガードと呼ばれ、高校生ながら特別指定選手としてBリーグの舞台でも活躍した河村勇輝選手(福岡第一)や卓越したスキルで話題の黒川虎徹選手(東海大諏訪)が入学。他にも恐ろしいメンバーたちがいます。
昨シーズンは、大倉選手&八村選手を中心としたIQの高いハーフコートバスケも多く見られました。そこに河村選手が加わり、どんなバスケをするのか……。大倉選手をシューティングガードに下げて河村選手と2ガードの体制なのでしょうか。しかし、代表やBリーグでは大倉選手はポイントガードです。はたまた2プラトン(メンバーを5人全員入れ替えて試合メンバーが10人いる感じです)で、ハーフコートバスケと河村選手が得意とするフルコートバスケを使い分けるのか。キニナルっ! 控えメンバーも厚いんで、色々なパターンが想像できますね。もちろんカルロスの意見は全然正解じゃないです! 勝手に盛り上がるのも申し訳ないですが、これは本当に楽しみです。今シーズンの東海大学のバスケがどんな形かは分かりません。正解は、会場にてみなさんの目で確かめて下さい。
はい! 2回に亘(わた)るカルロス流・2020シーズンの注目どころ、読んでくださってありがとうございました! 後編はとくに過去最長の記事になってしまった……。みなさんが大学バスケを見る際に、このコラムの内容がほんのチョビっとでも役に立ったらうれしいです。開幕が待ち遠しいですね。一緒にバシバシ騒いでいきましょう!