陸上・駅伝

慶應・樺沢和佳奈「最後は勝って終わりたい」 ラストイヤーへ思い新たに

樺沢(右)は予選、決勝ともに新谷とのレースになった(すべて撮影・藤井みさ)

第83回東京陸上競技選手権大会

7月23~26日@駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
女子1500m 2位 樺沢和佳奈(慶應義塾大)4分25秒18

樺沢和佳奈(慶應義塾大4年、常磐)はラストイヤーとなる今シーズン、5000mで日本選手権参加標準記録A(15分36秒00)を切ることを目標にしている。そのためのスピードを磨くため、レース勘を取り戻すため、東京選手権には1500mに出場した。しかしレース直後、樺沢は「不完全燃焼とまでは言わずとも、それに近かったという悔しさがあります」と漏らした。

新谷のスピードに付いていけず

今大会にはハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)も1500mにエントリーしていた。新谷は7月15日にあったホクレンディスタンスチャレンジ網走大会と今大会で1500mを計3本走り、10000mと5000mのスピード強化を目指していた。新谷は同じプロチーム「TWOLAPS TC」で走る仲間だ。新谷は最後まで1周70秒を切るスピードを保つために、樺沢は日本選手権1500m参加標準記録B(4分23秒00)を切るために、互いの存在を力にしてレースに臨もうとしていた。

予選でも2人は同組となり、樺沢は新谷に続いての2着で、記録は4分24秒07。「最後まで新谷さんに付いていけばいい」と思いながら決勝に臨んだ。スタートから1周目は樺沢がレースを引っ張り、その後ろに新谷が続いた。2周目に新谷が前に出ると、その差は次第に開いていった。樺沢は2位こそ死守したものの、記録は4分25秒18と予選でのタイムを更新できなかった。

樺沢(左)はある程度のスピード維持はできると踏んでいたが、2周目にも新谷に付いていけなくなり、練習の見直しを痛感させられた

インカレでは1500mと5000mで2冠を

新型コロナウイルスの影響で大学のグラウンドは使えなくなり、樺沢は近くの河川敷などを走って練習をしていた。人と一緒に走ることも数カ月ぶりだった。一人での練習では、5000mでも継続できるスピード力に意識を向けて取り組んできた。だからこそ、新谷とのレースでも3周目までは付いていけると踏んでいた。「新谷さんに付いていけばよかっただけなのに……。人に合わせるのとスピード維持が課題ですね」と樺沢。

今大会に1500mで出場したのはスピードを取り戻すためという一つの目的だったが、昨年8月にあった関東選手権にて優勝した種目で自信をつけたいという思いもあった。今は課題と向き合いながら、次のレースこそは自信となる走りをしたい。

今後は対人練習にも取り組み、人に合わせて走る感覚を取り戻したいと話す

樺沢は富士見中学時代に全国中学駅伝を連覇し、常磐高校2年生の時には全国高校駅伝で2位になっている。大学ではトラックで勝負をしたいと考え、選手自身が主体となって練習に取り組んでいる慶應にやってきた。ただ大学でも富士山女子駅伝には全日本大学選抜チームとして、都道府県対抗女子駅伝では群馬チームとして出場し、任された区間で区間賞をとることが最低限のミッションだと話す。

ラストイヤーの今年は、9月11~13日開催予定の日本インカレで1500mと5000mでの2冠を目指している。「最後は勝って終わりたいです」。まっすぐな目を向け、樺沢は力強く言った。

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