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特集:東京六大学 2020真夏の春リーグ

東京六大学野球、法政大がリーグ単独最多46度目の優勝 「負けない野球」を意識して

4年生を中心にチームをまとめた中村迅主将(撮影・朝日新聞社)

東京六大学野球春季リーグ戦第7日第1試合

8月16日@神宮球場
法大 000 500 200 |7
慶大 021 000 100 |4
法政大優勝(3季ぶり46度目)
【法】鈴木、水澤、高田孝、山下輝-大柿【慶】関根、森田、生井、関谷、小林綾、木澤-福井【本塁打】宮﨑(関根)【二塁打】中村迅、地主(法)、福井2、新美、瀬戸西(慶)

1試合総当たり制で行われている東京六大学春季リーグ戦。頂点に立ったのは法政大学だった。3戦負けなしの法政大は16日の第1試合で4連勝中の慶應義塾大学に快勝。第2試合で「優勝預かり」の可能性を残す立教大学が早稲田大学に敗れたため、法政大のリーグ単独最多となる46度目の優勝が決まった。

絶対に負けられない試合で昨秋のリベンジ

法政大にとって慶應大との一戦は絶対に負けられない試合だった。負ければその瞬間、慶應大の連覇が決まるからだ。一方、法政大は慶應大に勝ち、かつ同日の第2試合で立教大が早稲田大に敗れれば優勝となる。立教大が早稲田大に勝利した場合も、法政大は次戦の立教大戦に勝てば単独優勝だったが、仮に敗れると、法政大、慶應大、立教大の3校が4勝1敗で並び、「優勝預かり」になると決められていた。

法政大にはリベンジの思いもあった。昨秋は他の4校からいずれも連勝で勝ち点を奪いながら、慶應大には連敗。これが響き、勝率差で天皇杯を譲ることに。青木久典監督は「あの悔しさは忘れていない。特に試合に出ていた主将の中村迅(4年、常総学院)はずっと背負ってきたはず」と話す。

ただし、それで硬くなることはなかった。チームにスイッチが入ったのは3点ビハインドで迎えた4回だ。回先頭の一番・宮﨑秀太(2年、天理)が「なんとか出塁しよう」と無心でバットを振ると、打球はライトへのホームランに。これが進撃の合図となり、この回打者一巡の猛攻。大柿廉太郎(2年、健大高崎)が2点適時打を放つなど、計5点のビッグイニングとし、逆転に成功した。

初戦に代打で安打を放ち好調を維持した宮﨑秀太(撮影・朝日新聞社)

とどめを刺したのが7回に飛び出した中村迅の2点二塁打だ。青木監督は「いいところで打ってくれた。ナイスバッティングだった」と称賛した。中村も「チーム活動が休止期間中にバットを振り込んできた成果」と胸を張った。

トーナメントを戦うつもりで準備してきた

慶應大に勝利してからおよそ3時間後。立教大が早稲田大に敗れ、リーグ単独最多となる46度目の優勝が決まった。川崎市の合宿所に帰り、選手たちと一緒に試合中継を見ていた青木監督は「素直に嬉しいです。選手が頑張ってくれたおかげだと思います。たくさんのOB・OGが見ている中で46回目の優勝ができたことは、監督としてホッとしています」と、野球部を通してコメント。また主将の中村迅は「優勝するために練習してきたので、素直に嬉しいです。最高です」と伝えた。

優勝が決まり、合宿所で喜ぶ法大の青木監督(前右)と選手たち(法政大学野球部提供)

苦しい試合が続いた。2戦目の早稲田大戦と、3戦目の明治大戦はいずれもタイブレークに。得点差も最大で3点と、接戦をもぎ取った末の優勝だった。準備の成果である。青木監督は「1試合総当たり制なので、トーナメントを戦うつもりで挑まないと勝てない。練習の段階からプレッシャーをかけてきた」と話す。例えばシートノックでは誰かがエラーをすればやり直し。ノーエラーで終わるまで延々と続いた。選手も高い意識で取り組んだ。中村迅主将は「負けない野球をするための練習をやり切った」と振り返る。

リーグ史上初の延長タイブレークとなった早大戦でサヨナラ勝ちして喜ぶ法大の選手たち(撮影・朝日新聞社)

ともにドラフト候補でもある鈴木昭汰(常総学院)と高田孝一(平塚学園)の両4年生投手や、三浦銀二(福岡大大濠)や山下輝(常総学院)といった3年生投手を擁す投手陣もチームを支えた。炎天下の試合では投手が消耗しやすいことから、継投がカギになるが、各投手とも任されたところで力を発揮した。

法大の左腕エース鈴木昭汰(撮影・朝日新聞社)
投手陣の軸となった右腕の高田孝一(撮影・朝日新聞社)
大事な場面で起用された左腕の山下輝(撮影・朝日新聞社)

“目に見えない力”もチームを後押しした。4年生の団結力だ。「監督に就任して6年目になるが、これまでの中で一番まとまりがある」と青木監督。4年生の団結力がベンチの活気も生み、その声援を背にリーグ戦初出場の選手も結果を出した。

全国で唯一行われた大学野球の春のリーグ戦。法政大はチーム力で真夏の「春の陣」を制した。

 

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