一流になるための資質も、挫折との向き合い方も、私は本から学んだ JAL・戸邉直人
陸上男子走り高跳びの戸邉直人(JAL、28)に思い出深い本や大学生に読んでほしい本を紹介してもらいます。戸邉は昨年、筑波大学大学院博士課程での博士論文を書き終えた直後にあった世界室内ツアー第2戦(ドイツ)で2m35を跳び、13年ぶりに日本記録を2cm更新して優勝。その年の日本選手権では自身3度目の優勝を果たし、世界陸上(ドーハ)に出場しています。そんな「文武両道」をゆく戸邉が学生におすすめする5冊です。
「挫折を愛する」(松岡修造著、角川書店)
元プロテニスプレイヤーの松岡修造さんの著書です。困難に直面した時、その受け止め方や乗り越え方について、著者の考えや、有名アスリートの実例がまとめられています。松岡修造さんらしいポジティブな本で、読むとエネルギーが湧いてきます。コロナ禍の今、社会的に様々な制限があり、挫折や困難に直面している方も少なくないのではないかと思います。そんな今だからこそ、多くの人におすすめしたい一冊です。
「考え方」(稲盛和夫著、大和書房)
京セラ、第二電電(現・KDDI)を設立し、日本航空の経営再建を指揮した稲盛和夫さんの著書です。より良い人生を送るための考え方について読みやすくまとめられており、人としての成長につながる本だと思います。私は日本航空に入社してすぐにこの本と出会い、仕事や競技に向かうモチベーションがより一層高くなりました。何度も繰り返し読んでいます。
「なぜ“ブブカ”はスポーツでもビジネスでも成功し続けるのか」(セルゲイ・ブブカ著、小学館)
ウクライナの元棒高跳び選手でオリンピック金メダル、世界選手権6連覇、世界記録を35回更新した「鳥人」セルゲイ・ブブカさんの著書です。ブブカさんは競技を引退した後は実業家としても成功を収めており、スポーツとビジネスの世界で成功するための共通した考え方について書かれています。少しだけ私のことも書いてくださっているので、ぜひ読んでみてください。
「科学の方法」(中谷宇吉郎、岩波書店)
科学とは何か、について考察をまとめている本です。少し昔の本ですが、現在でも通じる内容となっています。私は大学院修士課程在学中にこの本と出会い、研究について考える際にとても参考になりました。物事について考える際の力をくれる本だと思います。これから卒業論文などの研究活動を始める学生のみなさんにおすすめの一冊です。
「エースの品格 一流と二流の違いとは」(野村克也、小学館)
野球におけるエースとはどんな選手かについて、野村克也さん(故人)の持論が展開された本です。私の行っている陸上競技は個人競技で、チームスポーツである野球とは異なる部分が多々あります。しかし、競技力を高め、一流の選手になるために必要な資質は共通している部分が多く、とても参考になりました。