大学ラグビー

連載:本とアスリート

チーム活動縮小、再起へ勇気もらった ヤマハ・堀川隆延監督

ラグビートップリーグのヤマハ発動機ジュビロでGM兼監督を務める堀川隆延さん(46)に思い出深い本や大学生に読んでほしい本を紹介してもらいます。チーム一の読者家でもある堀川監督は、2019年のワールドカップで8強に進んだ日本代表の強化にも携わりました。強豪アイルランドを破った試合前のミーティングでは、ある本で知った逸話を紹介して選手を鼓舞するなど、本は欠かせない存在です。

単身での海外合宿前や、チーム作りのヒントを求めて 陸上・木村文子
2019年のワールドカップで躍進した日本代表も支えた堀川隆延監督(ヤマハ発動機ジュビロ提供)

「坂の上の雲」(司馬遼太郎著、文藝春秋)
「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」。日露戦争を勝利に導いた秋山好古、真之兄弟や俳句改革に命をかけた正岡子規など、伊予松山出身の3人を中心に、明治という時代で近代国家誕生にかけた人々の姿が描かれた本です。2010年度、リーマンショックの影響でチーム活動が縮小されたラグビー部をどうやって再起させていくか? 明治という時代の日本とヤマハというチームを重ね合わせながら、読ませていただいた本です。私が最も勇気を得ることのできた本であり、日本人であることの誇りを持てる本。ぜひとも学生時代に読んでいただきたいです。

「今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡」(神坂次郎著、新潮社)
2012年11月に鹿児島県の知覧特攻平和会館で手にした本です。本の冒頭にある、「俺たちの苦しみと死が、俺たちの父や母や弟妹たち、愛する人たちの幸福のために、たとへわづかでも役立つのものなら」。長谷川信少尉の日記。十代後半で死を覚悟した若者たちの事実。今の大学生と同じ世代の若者が何を考えどう生きようとしていたか。手に取って読んでいただきたい本です。

「闘争の倫理 スポーツの本源を問う」(大西鐵之祐著、鉄筆)
「戦争をしないためにラグビーをするのだ」と説く、戦争を体験した著者がラグビーというスポーツの価値やスポーツの教育的価値等、スポーツ一般に通じる内容が書かれた本です。スポーツの教育的な価値は体力作りだけではなく、そのスポーツの行動が持っている科学的、非科学的、あるいは合理的、非合理的な2つの行動の側面にある。それを人間がどうコントロールするか、スポーツを行うことでつかめるかが、スポーツの基本的な価値だと書かれています。勝敗に拘(こだわ)ることも重要ですが、スポーツをすることの本当の価値とは何か? を考えさせられる本です。

「生き方」(稲盛和夫著、サンマーク出版)
「人は何のために生きるのか」と自分自身に問いを投げかけたことはありますか? 私は学生から社会人になり、幾度となく様々な壁にぶち当たり、このような問いを投げかけながら何度も挫折を繰り返したことがあります。そんな時に出会ったのがこの本です。この本からの学びは、自分自身の哲学を確立すること、利他という「徳」が困難を打ち破り、成功を呼ぶ強い原動力になるということです。

「サイエンスとアート」(野中東著、文芸社)
ある経営者に、「これからの時代はアートですよ!」と告げられ、即座に購入したのがこの本です。新しいものを創り出すときに障害となるものは、これまでの当たり前という固定観念です。この本を読んでから真っ先に向かったのは、金沢21世紀美術館でした。ここにはおおよそ当たり前のものなんてものはなく、頭の中に?マークが浮かぶものばかりが展示されていました。自分の頭の中にある常識にとらわれることなく、独創性を育む力が必要なのだといい刺激を受けました。この本は絵本のような本です。ぜひとも手に取って、アートに触れるきっかけにしてもいいのではないでしょうか。

「一家団結」やセカンドキャリアのために 川崎ブレイブサンダース・辻直人

本とアスリート

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