大学陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

駒澤大・鈴木芽吹 期待のルーキーの現在地「駅伝でしっかり活躍したい」

1年生ながら日本インカレ5000m3位となり、今後の活躍にさらなる期待が持てる鈴木(すべて撮影・藤井みさ)

今年大学に入学した1年生たちの活躍が目覚ましい。駒澤大学1年の鈴木芽吹(佐久長聖)も、ホクレンディスタンスチャレンジと全日本インカレでともに5000m13分43秒台で走った。入学してこれまでの取り組みと、今後の目標について聞いてみた。

駒澤大・田澤廉 「駒澤のエース」の自覚を持って、チームを勝利に導く

新しい環境、全てに新鮮な気持ちで取り組んだ

佐久長聖高校時代にも寮生活だったという鈴木だが、駒澤大に入学してからは寮での1年生の仕事などが多く、覚えるのが大変だったという。授業は始めからオンライン。ストレスはありませんか? と聞くと、「どっちにしろ初めてのことばっかりだったので、外に出られないストレスはあまりなくて、全部新鮮な経験ですね」。しかし友人を作る機会はないといい、「陸上部以外の友達はいないです」と笑う。

練習量は高校の時より格段に増えた。はじめはポイント練習をやるだけで力尽きてしまうほどだったという。「きつくてすぐけがしてしまうのでは? という不安がありました。そこから体のことを考えるようになって、先輩に治療院を教えてもらったり、食事のとり方を考えたりとか。プロテインの取り入れ方とか、新しいこともやってみていったかなと思います」

日本インカレ5000mのレース前、鈴木は緊張して固くなっていた

大学初レースは7月のホクレンディスタンスチャレンジ深川大会の5000mとなった。「(高校時代に記録した)13分56秒64の自己ベストは絶対に更新したいと思ってました。当日もそこまで緊張することなく、リラックスして走れました」という。その結果が13分43秒38。「嬉しかったですし、驚きもありました」と振り返る。

その後夏の強化練習では、初めて30kmの距離走にも取り組んだ。走る前には「ただひたすら長い」というイメージだったが、走ってみると細かくペース設定がなされ、ポイントポイントをしっかり区切りながら走れたという。全日本インカレに出場するため、3週間のうち2回しか距離走ができなかったが「それだけでも、やる前の自分とは距離に対する感覚が変わりました」と長い距離への感覚の変化を語る。

全日本インカレ3位に「ここまでうまくいきすぎている」

直後に迎えた全日本インカレでは、「万全の状態じゃなかった」と言いつつも、練習をしっかりこなせたこともありレース前は自信をもって臨めるかなと思っていた。しかしレース直前になって、全国大会の雰囲気に緊張してしまったという。「走る前は不安しかなかったんですが、走り始めてからはしっかり冷静に周りを見て、レースを進められたと思います」

ハイペースで進んだレース。はじめは集団の後方にいた鈴木だが、徐々に先頭付近をうかがう位置まで上がってきた。ラスト一周の鐘がなった瞬間に吉居大和(中央大1年、仙台育英)がペースを切り替え、猛烈にスパート。「彼はどこかで来るとは思ってたんですが、かなり急にペースが上がったので反応が遅れてしまい、差が開いてしまいました。でも離されはしたけど、しっかり追いかけて2番手まで上がれました」

最後の直線では川瀬にかわされ、3位に。「欲を言えば2位も狙えたけど、3位でもできすぎです」

結果的に最後の直線で猛烈にスパートした川瀬翔矢(皇学館大4年、近大高専)にかわされ3位、13分43秒07とわずかに自己ベストを更新。順位には満足していますか? 「2位も確実に狙えたと思うし、欲を言えばまだまだ狙えるところもあったと思います。でもここまでけっこう練習をしてきて、けがなく来られて、自己ベストを更新して、自分としてはうまくいきすぎてる部分もあるなと思います。3位でもいい結果だったと思います」。2つのレースを走って、自分の感覚を感じ取ってレース前の練習や生活を管理し、調子を合わせられたという収穫もあった。

駅伝で活躍したい、田澤のように強くなりたい

トラックでは自己ベストを更新しているが、鈴木には「駅伝で結果を出さないと意味がない」という思いがある。まずやってくる全日本大学駅伝では、前半区間でトップで襷(たすき)渡しをしたいという思いと、箱根駅伝に近い距離の長い区間を走り、その先につなげていきたいという両方の思いがあり「(希望の区間を)選べません」と笑う。「(前半後半)どっちになっても、しっかり目標をもって走りたいと思います」

同級生には強い選手が集まっており、大学を通しての目標は「上級生になったときに3大駅伝で優勝すること」だ。個人としては、田澤廉(2年、青森山田)のように大きい大会でも勝ちきれる強さを持った選手になりたい。

田澤とは強化練習の時に同部屋だったといい、ポイント練習を一緒にやるなどして先輩から刺激を受けた。「同じメニューをやるにしても、他の選手より余裕度が違うなと思いました。その余裕がさらに上を目指すところにつながっているなと。まだまだ自分が追いつけるようなところにはいないけど、そういう選手が身近にいるのは恵まれた環境だなと思います」

自分が今やるべきことをしっかり見極めて

学外に目を転じると、同学年の吉居、三浦龍司(順天堂大1年、洛南)の力が抜きん出ている。彼らを意識しますか? との質問には「本当に強くて、現時点では自分と差があると思ってます。いずれは勝ちたいですが、今意識しすぎてしまうとやることや自分を見失うことにつながると思うので。誰かを意識するより、実力を高めていきたいです」と冷静に自分を俯瞰しているところもある。

トラックではうまくいった。秋の駅伝で活躍することがまず第一の目標だ

ちなみに日本選手権の標準記録(5000m13分42秒)まであと少しですが……と話を向けると、「ホクレンのときも大八木監督から『あとちょっとだけ頑張ればいけただろ!』って言われたんですよね」と笑いながら、日本選手権のことはまったく頭になかったのだと教えてくれた。「その時に次走るときはいけたら切りたいと思ってましたが、全日本インカレも記録より勝負を意識したレースだったので。1年目は両方となるとどっちかは疎かになってしまうので、来年以降頑張って出られればいいかなと思います。今年は駅伝に集中したいです」

新鮮な感覚を持ちつつ、周りに流されず今やるべきことに集中できる意志の強さを持っている。鈴木のこれからのさらなる成長に期待だ。

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