アメフト

関西大学のWR桑田理介、Xリーグで阪神ドラ1の佐藤輝明に負けぬ飛躍誓う

立命館大学戦で先制タッチダウンパスを捕る関西大学のWR桑田理介(撮影・廣田光昭)

アメリカンフットボールの古豪、関西大学は11年ぶりの甲子園ボウルに届かなかった。トーナメントで行われてる関西学生1部準決勝(8日)で立命館大学に14-24で敗れた。Xリーグ強豪のパナソニック入りするエースWR(ワイドレシーバー)の桑田理介(りすけ、4年、仁川学院)は11回のキャッチで84ydを稼ぎ、二つのタッチダウン(TD)を挙げた。それでも聖地は遠かった。

けがから復帰、立命戦にかけた思い

桑田はこの春からけがが重なり、トーナメント1回戦の京大戦も欠場。「背中で見せてオフェンスを引っ張る気持ちでした」と、この立命戦にかけていた。序盤からQB渡邊貴信(4年、虎姫)のパスが18番に集まる。この日2度目のオフェンスシリーズは自陣9ydから。関大は桑田やWR渡邉大介(4年、阪南大高)へのパス、RB柳井竜太朗(2年、関大一)のランなどで敵陣へ。パント体形からのギャンブルも成功し、ゴール前17ydからの第3ダウン残り3yd。「このプレーで1本とる」。QB渡邊と練習してきた、TDをとるためのプレーで臨んだ。

スピードを生かして2年生から活躍してきた(撮影・篠原大輔)

左サイドのWRに入った桑田が内に切り込むと見せて、外へ。エンドゾーンの左隅へ走り込む桑田の先に渡邊のパスが飛ぶ。桑田は必死に両腕を伸ばしてキャッチ。第2クオーター(Q)4分56秒、関大が先制TD。7分56秒かけて91ydを攻めきった。ただ、TD後のキックは失敗。6-0となった。

その後はアジャストしてきた立命ディフェンスを崩せず、6-24とリードを許して第4Qも終盤になった。桑田にボールが集まる。試合残り56秒、渡邊から桑田へ5ydのTDパスが決まった。2点コンバージョンも桑田へのパスで成功。14-24と追い上げたが、遅かった。高校時代よりは実現性の高くなった甲子園出場という夢を追ったが、チームを甲子園ボウルには導けなかった。

チームがディフェンスの間、早く出たそうにベンチから戦況を見つめた(撮影・篠原大輔)

仁川学院高では佐藤とバッテリーも

野球少年だった。仁川学院高(兵庫)では今年10月のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースからドラフト1位で指名された佐藤輝明(近畿大)と同級生。2年生の夏が終わると桑田はエースで主将になった。2年生の秋と3年生の春は佐藤とバッテリーを組んだ。その後、佐藤がサードに転向した。

最後の夏の兵庫県大会前、朝日新聞のチーム紹介にこんな文章が載っている。「エース桑田は直球主体で強気の投球が持ち味。飛距離130mを超える本塁打を放つ左打ちの佐藤とともに、中軸として打線を引っ張る。2人の前の出塁が鍵」。しかし、明石清水高との1回戦は雨で試合開始が遅れたり、中断したりした末にコールド負け。当時の紙面に桑田主将のコメントがある。「あっという間に負けていた。まだ本当のこととは思えない。一緒に戦った仲間には、ありがとうと言いたい」

高2のころからプロを意識した阪神ドラフト1位の佐藤輝明

桑田は一般入試で入った関大で、父と兄がやっていたアメフトを始めた。スポーツ推薦で近大へ進んだ佐藤は1回生から活躍。桑田もスピードを生かして2回生から頭角を現す。昨年のリーグ戦では通算24キャッチでリーグ2位。ベストイレブンに選ばれ、関西を代表するレシーバーになった。

ドラフト交渉権の当たりくじを持つ近大・佐藤(左)と阪神・矢野監督(撮影・朝日新聞社)

先月のドラフト会議の1巡目で、4球団が競合の末に阪神が佐藤との交渉権を得た。桑田はこの様子を仲間たちと見守った。「阪神のドラ1って、ほんまにすごい」。仁川学院野球部の同級生14人のグループLINEに、祝福のメッセージを書き込んだ。

パナソニックで「佐藤に負けずに」

来春からは社会人Xリーグの強豪、パナソニックでアメフトを続ける。「この4年間は人生の糧になりました。何かやってくれる、と思われる選手になりたい。佐藤に負けずに活躍したいです」。12月5日の神戸大との3位決定戦が、カイザースのエースレシーバーとして最後の戦いになる。

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