バレー

特集:全日本バレー大学選手権2020

専修大主将・東拓巳、打倒東海で挑んだ最後のインカレ 新井雄大へ「ありがとう」

東は3年生の時から主将を任され、試合中止が相次いだ今年もチームを支えてきた(撮影・全て松永早弥香)

第73回 全日本大学男子選手権 2回戦

12月1日
専修大学1(18-25.25-21.16-25.26-28)3東海大学

2回戦から関東1部リーグ同士の好カード。専修大学と東海大学の1戦は、ジュースの末に26-28で専修大が第4セットを落とし、セットカウント1-3で東海大が勝利した。サイドアウトの応酬が繰り返され、最後は東海大のブロックポイント。攻守の要として活躍した専修大の主将、東拓巳(4年、開智)は悔しさをにじませた。「勝てるチャンスはあったし、今年一番のいい試合ができた。でもだからこそ、惜しかった分、余計に悔しいです」

相次いだ大会中止、それでもインカレだけは

3年生だった去年から主将を任された。「上級生もいる中で自分にキャプテンなどできないと思ったし、何より嫌だった」と最初は拒んだが、責任感とリーダーシップを買われ、2年間主将を務めた。

リーグ戦やインカレでは上位チームになかなか勝てず、悔しい思いをさせられた。ただそれ以上に、最上級生になった今年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で春季リーグ、東日本インカレ、秋季リーグとほとんどの公式戦が全て中止になってしまったことが何より悔しかった。

「チーム状況もぐちゃぐちゃで、自分を含めた4年生たちも『試合がないならこのままやめようか』『やっていても意味がないんじゃないか』と思ったこともありました」

秋季リーグの代替試合も最後まで戦い切ることはできなかったが、最後の最後で全日本インカレの開催が決まり、「やるからにはセンターコートに立ちたい」と心を入れ替えた。抽選の結果、初戦を勝ち上がればシード校の東海大と当たる。秋季リーグの代替試合で対戦した時は0-3と何もできないままに負けた相手だ。何とか一矢報いたい。勝つためのチャンスを探すべく、東海大にターゲットを絞って徹底的に分析・対策し、試合に臨んだ。

東海大の新井をいかに封じるか

その効果は試合の中でも随所に発揮。東海大のポイントゲッターである主将の新井雄大(4年、上越総合技術)をいかに封じるか。強烈なジャンプサーブも無理に返そうとするのではなく、失点しないよう上に上げ、つないだボールはアウトサイドヒッターの東や中村啓人(3年、習志野)が決める。第1セットは先取されたが、第2セットになると準備を重ねた東海大対策がハマり、新井の強打もブロックやレシーブで切り返して主導権を握り、25-21で専修大が奪取した。

専修大は東海大を徹底的に分析し、この一戦に臨んだ

第3セットは再び盛り返した東海大が16-25で取り、第4セットの序盤も新井の連続サービスエースなどで東海大が先行したが、リードされてからも諦めず、専修大も最後まで粘りを見せる。20-21と僅差で迎えた終盤も、新井のレフトからのスパイクを東が体を投げ打ったレシーブで懸命につなぎ、中村が決めて21-21の同点にし、離されても再び取り返す。自粛期間で練習もままならない今シーズンではあったが、それでも日々重ねて来た練習の成果を、最後の試合でいかんなく発揮した。

ジュースになってからも、何度も東海大のマッチポイントをはね返し、再び同点としてチャンスをつないだが、最後はほんのわずか、力が及ばず。敗れた瞬間は悔しそうに天を仰いだが、それと同じかそれ以上、大きな満足感もあったと東は言う。

「秋に対戦した時は全く歯が立たなかったし、自分たちがやるべきこと、やりたいことが全くできなかった。あれからほんの数カ月しか経っていないのに、上位チームとここまでやりあえた。それはすごくよかったと思うし、2年間キャプテンをやってきて、この大会で何かを次のチームにつなげたかった。今日の試合で少しはそれができたかな、と思います」

ジュースの末の敗北。悔しさはあったが、やっとやり切れたという思いもあった

「最後は本当に楽しかった」

そしてもうひとつ。最後の相手が東海大であったこと、しかもそのチームの主将が新井で、お互い最終学年に主将としてネットを挟み、試合ができたことも東にとっては大きな喜びだった

「新井とは中学選抜から一緒でした。試合が終わった後に『ありがとう』と言ったら『危なかった』と言っていて(笑)。これまでもリーグで対戦したことはあったけれど、インカレで最後に戦うことができてうれしかった。最後は本当に楽しかったです」

試合後、東(右)は新井と握手を交わし、感謝の気持ちを伝えた

振り返れば、あれほど嫌だった2年間の主将生活もあっという間だった。敗れた悔しさも全て、試合ができたからこそ味わえたもの。苦しいこともたくさんあったけれど、あの時やめずによかった。最後に最高の試合ができたのは、諦めずに頑張った4年間で積み上げた、紛れもない成果だ。

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