ラグビー

13年ぶりの対抗戦全勝優勝目指す早大、1敗の明大は連覇狙う 第96回早明戦

96回目を迎える早明戦。昨年の全勝対決は明治大学が快勝した(撮影・全て朝日新聞社)

96回目を迎える関東大学ラグビー対抗戦の早明戦が12月6日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。6戦全勝の早稲田大学は引き分け以上で2年ぶりの優勝が決まり、13年ぶりの全勝優勝を見据える。1敗で追う明治大学は、ライバルを倒し逆転での対抗戦連覇を目指す。会場が秩父宮に戻った14年から早明早明早明と交互に勝っており、通算成績は早大の54勝39敗2分け。

早大4年時の権丈コーチ。優勝した大学選手権の準決勝で帝京大のツイにタックルを決める

13年前の2007年度、黄金期の早大を引っ張ったのは権丈太郎主将だった。34歳になった今、母校のコーチを務めている。「早慶戦、早明戦は身の引き締まる思いだった。両校とは1年生同士の試合もあり、入部したころから『負けてはダメ』とずっと言われてたので、自然と気持ちが入りました」

2007年は権丈主将の下、ブレークダウンで圧倒

2007年12月2日、国立競技場での早明戦は全勝の早大と1分けの明大の無敗対決だった。19年ワールドカップ日本代表の山中亮平(神戸製鋼)と田村優(キヤノン)が早明のルーキーSOで対決した。

この年の明大はスクラムが特に強力で、対抗戦7連覇を狙っていた早大にとって唯一の不安材料だった。「明治は何mも押してスクラムトライを奪うなど、大丈夫かとフロントロー周りは心配し、最悪、やられるかもしれないという話をしてました」と権丈コーチ。試合開始直後、早くもスクラムの機会が訪れた。「明治はスクラムが組みたくてしょうがないんじゃないか、いきなりかよ、と」。しかし、組んでみると、早大はうまく対応できた。「一番心配していたところが、問題解決というか大丈夫だな、と思ったことをすごく覚えています」

2007年の早明戦。前半20分、明大のパスをインターセプトした早大の田邊がそのままトライ

明大に先手を許したが、20分のセンター田邊秀樹(日野)のトライで流れをつかむと、計11トライを奪い71-7で快勝した。定期戦の史上最多得点と点差は開いたが、権丈コーチは「明治のモールとFW周辺でピックゴーしてくるところを早稲田が止める、これが早明戦だなと感じた」と言う。帝京大学の躍進もあり、この年を最後に早大は対抗戦を全勝で乗り切れていない。

07年の早明戦で後半無得点だった明大の上野隆太主将は「ブレークダウンでボールも触れない状態」と振り返っているが、今の早大のブレークダウンに心血を注いでいるのが権丈コーチだ。タックル後のボールを争奪する局面でどう働きかけるか。ラグビーで最も重要な要素でもある。

昨年の完敗がターニングポイント

権丈コーチはNECで活躍して現役を引退、19年から母校に戻った。就任1年目、「練習を100%こだわってやる。どんな練習でも完璧を求めて取り組む。ミスするなということではなく、高いレベルで100%出し切ることを毎回、話していた」がなかなかチームに浸透しなかった。全勝対決だった対抗戦の早明戦は7-36で完敗した。「明治にたたきのめされ、学生たちは、ちゃんと自分たちの立ち位置と弱いところに目を向けることができた」。ライバルに教えられ成長をとげ、全国大学選手権では逆に明治を破って11季ぶりの頂点に立った。

就任2年目の権丈コーチ。早大主将の時の副将は畠山健介と五郎丸歩だった

新型コロナウイルスの影響でどのチームも調整に苦労する。「今季は色々ありましたけど、最初から高いレベルで取り組めている。今までの取り組みについては自信を持って明治に臨める心境です。すごく楽しみ」。伝統の一戦が無事に開かれることを願う。

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