駒澤大のエース・田澤廉が目指す高み「区間賞区間新を狙い、自分の走りで貢献したい」

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駒澤大学のエース・田澤廉（青森山田）は、2年生ながらすでに学生トップを走るランナーだ。10000mの持ちタイム27分46秒09は現役学生最速。2度目の箱根駅伝に向けてどう臨むのか、12月15日のオンライン会見で話を聞いた。

日本選手権で27分台も「嬉しさはない」

田澤は今年度初戦となった7月のホクレンディスタンスチャレンジで5000mの自己ベストを更新、9月の日本インカレ10000mでは唯一留学生についていき、日本人トップの4位。11月の全日本大学駅伝ではアンカー8区で東海大学の名取燎太（4年、佐久長聖）と並走し続け、ラスト1kmのスパートで置き去りにし、優勝のゴールテープを切った。

12月4日には日本選手権10000mにも出場した。田澤は資格記録の速い選手からエントリーされた最終2組目で走り、27分46秒09の自己ベストで自信初の27分台に突入、8位に入賞。それまで村山謙太（現・旭化成）が持っていた駒澤大学記録（27分49秒94）も塗り替えた。

しかし田澤は「正直言って去年から（27分台を）出す力はあったと思っている」と冷静だ。「驚くようなタイムではないです。監督と『最低でも駒大記録を抜く』というのは話していましたが、合わせれば（27分）40秒切りはいけると思うので、嬉しさとかはないです」

はっきりと感じたトップ選手との力の差

自身初の日本選手権では、優勝を目標にしていた。はじめから先頭集団についていった田澤だが、後半から次第に苦しい表情になり、8000m手前から前に出た相澤晃（旭化成）、伊藤達彦（ホンダ）についていけなかった。田澤の前でゴールしたのはこの2人と、田村和希（住友電工）、河合代二（トーエネック）、鎧坂哲哉（旭化成）、大迫傑（ナイキ）、佐藤悠基（SGホールディングス）といずれも日本トップレベルを争うランナーたちだ。「タイムとかよりも、日本トップのランナーと走る、ということが大前提としてあって。走りながらレースの運び方とかを見ていました。田村選手はレース中に少し休んだ部分もあったように見受けられたりして、勉強になりました」

日本選手権で得た経験やレース運びは、箱根駅伝でも生かしていければという田澤。高いレベルの中で走れたことは自信となったが、それと同時にトップ選手との差を実感した場にもなった。「日本選手権に出る前は（東京）オリンピックに出たいという思いもあったけど、実際走ってみたら甘くないなと感じました。現実をしっかり叩きつけられた感じです」と今の立ち位置をしっかりと理解している。

大八木弘明監督からは常に、世界を見すえ、オリンピックに出る選手になってほしい、実業団選手を倒してほしい、と声をかけられているという。しかし日本選手権では勝てず、課題として残った。「いま2年生で8位だったら、それこそ4年生になったときは優勝を狙っていきたいです。監督からはオリンピック選手に育て上げたいという熱意が感じられるので、それに応えるような走りをしたいです」

3区を走り、前回のリベンジを

箱根駅伝では3区を希望している。他校のエースが集まる2区ではなく、なぜあえて3区？　と聞くと「前回走って悔しい思いをしたので、経験値もあるし、悔しい思いを晴らしたいのもあります」。前回は同じ区間に東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント（2年、チェビルべレク）がおり、59分25秒という異次元の区間新記録で走った。田澤は1時間01分25秒で従来の区間記録を上回っていたが、日本人トップは2秒差で帝京大学の遠藤大地（3年、古川工）に譲った。

走るからには区間賞・区間新、自分が流れを作る、流れを変える走りをしたいという田澤。区間新を出すには去年の自分を2分以上上回らなければならないが、田澤ならもしかしたら……と思わせるのがこの男のすごいところでもある。

「レースで外すことはないんだけど、いつも通り力を発揮して、自分の走りでチームに貢献したい」。そうサラッと言えて、それを納得させるだけの実力を充分に持っている田澤。大八木監督は「田澤はレースの流れを変えられる選手。周りの準エースの体調も考えながら、田澤の区間は考えたい」といった。はたして当日、田澤の姿はどこにあるだろうか。そして2度目の箱根でどんなインパクトを与えてくれるだろうか。