野球

東京大学の大音周平主将、「変革」を掲げて連敗ストップに挑む

新打線を引っ張る東京大学の大音周平主将(撮影・全て朝日新聞社)

東京六大学野球の春季リーグ戦が4月10日に開幕する。2引き分けを挟んで56連敗中の東京大学は開幕戦で連覇を狙う早稲田大学に挑む。勝利を経験した選手がいなくなった新チームを引っ張るのは大音周平主将(4年、湘南)だ。

ずっとキャプテン

東大の最後のリーグ戦白星は2017年秋の法政大学戦で、その後に入部した選手が主力となった。大音主将は「周りからは結構、(連敗のことは)言われますが、『これからだよ』という話をいつもしています」。大音は神奈川県藤沢市で育った。小学1年生から野球を始め、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシックで優勝した日本代表の城島健司(当時は大リーグ・マリナーズ)さんに憧れてずっとキャッチャーをやってきた。小、中、高校のチームでは全てキャプテンを務めてきたから、新チームでも主将を任せられるのは自然の流れだった。

打席でバットの先を見て構えるのがルーティン

昨年のチームから攻撃陣がごっそり抜けた。チームスローガンに「変革」を掲げる。「今年はいろんな部分で自分たちが変わっていかなければいけない。野球の戦術、体力面もどんどん変化できるのではないか、という思いを込めました」。勝負どころで攻めきれず、黒星を重ねてきたが、発想を少し変えた。「ここでの1本というよりは、そこまでの積み重ね。好機には相手投手もギアが上がる。そうではなく、点を取りやすい状況を作ろうと。1死三塁だったり、ランナー一塁からの長打だったり、得点パターンを増やしていく練習をしています」。捕手の成長で三塁に回る大音やパワーがある井上慶秀(4年、長野)に期待がかかる。

安定感増す投手陣

投手陣は経験があるエース井澤駿介(3年、札幌南)や左腕の小宗創(4年、私武蔵)らが順調に成長している。開幕前の社会人対抗戦(4月2日)では東芝と接戦を演じた。終盤まで2-0とリードしていたが、九回に3点を奪われ競り負けた。井手峻監督は「もう一つ、時々、制御不能になるのを何とかしたい」と話していた。コロナ禍で実戦経験が不足しており、特に打線は生きた球に慣れるのに時間がかかるかもしれない。それだけに投手陣を中心に粘り強く守って、新しい打線の奮起につなげたい。

「変革」を掲げ7季ぶりの白星を目指す(東大野球部提供)

大音は東大を目指して浪人中の2017年、高校の先輩でもある宮台康平(現ヤクルト)の活躍が励みになったという。15年ぶりの勝ち点に貢献するなどエースとして通算6勝を挙げた。「ニュースで見ていました。高校でかぶってはないんですけど、ずっと刺激になっていました」。大音は理学部地球惑星環境学科で地学を研究しており、大学院に進む予定。連敗を一つ止めることは、将来の野球部の活性化にもつながっていく。

東大の連敗

2017年秋 ●●○●●●●○○●●
2018年春 ●●●●●●●●●●
2018年秋 ●●●●●●●△●●●
2019年春 ●●●●●●●●●●
2019年秋 ●●●●●●●●●●
2020年春 ●●●●●
2020年秋 ●●●●●●△●●●

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