陸上・駅伝

連載:NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

西村菜那子がいま改めて考える、全日本大学駅伝の魅力と思い出のエピソードとは?

この時期だからこそ、全日本大学駅伝の魅力を語っちゃいます!(撮影・齋藤大輔)

「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48西村菜那子さんのコラムです。今回は、6月から地区選考会が始まった全日本大学駅伝の魅力と、西村さんが印象に残っているエピソードについて語ってくれました!

駅伝シーズン開幕への動きにワクワク!

みなさん、こんにちは!

東京五輪を目前に控えた陸上界は、トラック競技が大いに盛り上がりを見せています。6月6日(日)には新潟県で「Denka Athletics Challenge Cup 2021」が開催されました。また、6月24日(木)〜27日(日)の4日間、大阪府では日本選手権が行われ、日本を代表するランナーたちがこぞって集結したレースに私も胸が熱くなりました。

そして! 大学陸上界でも、徐々に、私が楽しみにしている「駅伝シーズン開幕」への動きが見えてきました。11月7日(日)に開催される全日本大学駅伝への出場をかけた選考会が各地域で行われている真っ最中です! 関東地区選考会には以前、私も伺ったことがあるのですが、選手の方々が本戦出場をかけてチーム一丸となって走り続ける勇姿は、今でも脳裏に焼き付いています。

6月19日には関東地区選考会が開催。目まぐるしく暫定順位が入れ替わりました(撮影・藤井みさ)

みなさんは全日本大学駅伝について、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 日本には多くの駅伝大会が存在していますが、中でも全日本大学駅伝は私が特に楽しみにしている大会の一つです。出雲駅伝、箱根駅伝とはまた違った「真の大学日本一」の座をかけた戦いであり、応援する側にも胸に込み上げてくるものがあります。

今のうちにおさらいしたい、全日本大学駅伝の魅力!

今回のコラムは、そんな魅力溢れる全日本大学駅伝についてお話ししていきたいと思います。11月開催なのでまだ少し先の話ですが、今のうちに全日本大学駅伝の魅力をおさらいしておきましょう!

まず、この大会の正式名称は「秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会 」です。余談ですが、実は私、過去に駅伝大会の正式名称を覚えるということにハマっていた時期がありました。

箱根駅伝→「東京箱根間往復大学駅伝競走」
出雲駅伝→「出雲全日本大学選抜駅伝競走」
都道府県駅伝(全国男子駅伝)→「天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会」

はい……長いですよね(笑)。いつも略して呼ぶことの多い駅伝大会ですが、正式名称を見ると、その大会の意味合いも想像できるので面白いんですよね。変わった趣味だと思われそうなのでこの辺で話を止めておきます(笑)。

話を戻しまして、全日本大学駅伝の最大の魅力は、本戦出場への選考方法だと思っています。箱根駅伝は参加資格が関東学生陸上競技連盟に所属している大学のみ。出雲駅伝は全国の大学に出場チャンスはありますが、予選会等があるわけではなく、日本学生陸上競技連合の推薦で選出されることが出場の条件となっています。

一方、全日本大学駅伝は、全国の大学に出場資格がある上に、各地域で行われる選考会を通過すれば出場ができます。特に関東以外の地区に所属する大学は、「打倒関東」を掲げているほどで、勝負に挑む姿は言葉では表せないくらい格別な熱量を感じます。

昨年の関東勢以外のトップは立命館大学の15位。今年はどんな戦いが見られるでしょうか(撮影・朝日新聞社)

そう、各地域の熱戦を戦い抜いた精鋭たちのみが出場できるのが全日本大学駅伝なのです。それゆえ、「真の大学日本一」を決める大会として、これまで数々のドラマを繰り広げてきました。

特に印象に残った2015年

今年で53回目を迎える伊勢路の戦いですが、中でも私が特に印象に残っているのは、遡ること6年前の2015年大会。東洋大学が初優勝を飾った年です。

もちろん、レース自体も選手全員がチームスローガンである「その1秒をけずり出せ」を体現する走りで、大学駅伝界の歴史に強く刻まれた大会でした。しかし、レース以上に印象に残っているのは、優勝インタビューで指揮官の酒井俊之監督が流した涙です。

大学駅伝界で安定した強さを見せてきた東洋大学。2代目山の神と言われた柏原竜二選手、最強の双子と呼び声も高かった設楽啓太選手(日立物流)、設楽悠太選手(HONDA)など、圧倒的な強さとカリスマ性を持つランナーがチームに在籍し、陸上界を牽引してきました。そんなエース級の選手たちがチームを率いていながらも唯一優勝に届かなかった大会が、この全日本大学駅伝でした。

2015年は設楽選手などが卒業し、選手層は薄くなったと評されることもあり、チームとしては葛藤があった年かと思われます。当時、頭一つ抜けていたのは青山学院大学。そのため多くの方が青山学院大学の優勝を予想していました。しかし、鉄紺魂はエースたちが卒業しても途絶えることはなく、大方の予想を覆し、東洋大学が初優勝を飾ったのです。ゴール後の優勝インタビューでは、柏原選手、設楽選手などの世代が掴めなかった全日本大学駅伝の優勝に、普段は冷静でクールな酒井監督が嬉し涙を流していました。酒井監督の嗚咽をこらえながらインタビューに応える姿が衝撃で、当時もかなり話題になっていましたよね……? 

笑顔で胴上げされる酒井監督。この大会に込める思いが伝わってきました!(撮影・朝日新聞社)

真の大学日本一を決める大会を獲ってこそ大学駅伝界の王者であること、そこに向けて選手や監督の方が並々ならぬ思いで挑んでいることを、酒井監督の涙から感じ取ることができました。この2015年大会を見てから、レースをただ見て楽しむだけではなく、各大会が持つ意義を考えるようになり、見方がかなり変わったような気がします。

駅伝シーズンが待ち遠しくなりますね……!

最後に、皆さんの中では既にご存知の方もいらっしゃるのかもしれませんが、全日本大学駅伝は開催当初の1970年、なんと3月に実施されていたそうです。続く翌年は1月中旬に変更されて、1988年から今と同じ11月開催になったとのこと。1月中旬に開催ということは箱根駅伝の直後に全日本大学駅伝が行われていたということ。今思うと想像もつかない状況ですよね……。これからも私が知らない全日本大学駅伝の歴史をどんどん調べていきたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

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