陸上・駅伝

連載:NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

伝説になった名選手も! 勝負のゆくえを左右する留学生ランナー、西村菜那子的考察

いよいよ駅伝シーズンが近づいてきて、ワクワクしてきましたね!(撮影・斎藤大輔)

「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48西村菜那子さんのコラムです。10月10日の出雲駅伝まで1カ月、いよいよ駅伝シーズンが近づいてきましたね。今回は、勝負のゆくえを左右する留学生ランナーについて語ってくれました!

留学生選手の走りに注目!

みなさん、こんにちは!  暑かった8月も終わり、季節はいよいよ秋を迎えようとしています。夏の疲れが出てくる頃ですが、皆さん変わらず元気でお過ごしでしょうか??

私にとっての秋は、「駅伝シーズンの開幕」であり心踊る最も大好きな季節です。今年はどの大学が優勝するのかな……なんて予想するのが楽しい時期ですよね。ファンの方にも「今年の注目はどこ?」と聞かれることが最近は増えてきました。駅伝シーズンの初戦である出雲駅伝まで残り1カ月ですが、皆さんは注目の選手をすでにリサーチ済みでしょうか? 私は先月開催された東京オリンピック・パラリンピックでの海外選手の活躍を目の当たりにした影響か、今年は例年以上に留学生選手の走りに注目したいなと思っています。

「現役学生最強」のヴィンセント選手

今季もっとも注目が集まっている留学生は東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手(3年、チェビルベルク)でしょうか。今年の箱根駅伝では2区区間新記録をたたき出し、さらに今年5月には5000mで学生記録を更新した最速ランナーです。そのスピードに注目しがちですが、実はフォームを見ると、ゆったりとジョギングをしているかのような落ち着いた走りをされているんですよね……。ゆったり走っているように見えて、「え!? もうこんな前に来ているの!?」と毎回驚かされています(笑)。

ヴィンセント選手は5月の関東インカレでも圧倒的な強さを見せました(撮影・藤井みさ)

圧倒的な速さと187cmの一際目立つ長身のため、少しだけ近寄り難いような印象があったのですが、大学駅伝の区間賞インタビューで話している姿や、雑誌などの取材記事を読むと、優しい穏やかな人柄が伺えます。好きな日本の食べ物は「牛丼」で、好きな日本語は「ありがとう」とのこと。おすすめの牛丼屋さんが、気になります……!

そんなヴィンセント選手のチームメイトであり、同学年のルカ・ムセンビ選手(3年、仙台育英)も注目している留学生の1人です。一昨年の全日本大学駅伝ではアンカーを務め区間賞を獲得し、初出場成績ながらチームを4位に導き、シード権の獲得に大きく貢献しました。今年の箱根駅伝で、ヴィンセント選手が2区区間賞を獲得した際のインタビューでは、ムセンビ選手が一生懸命通訳をされている姿が話題にもなりましたね。東京国際大学の留学生コンビが駅伝シーズンにどんな結果を出していくのか、注目しています!

「伝説」を作った留学生たち

過去これまで数多くの留学生選手が日本の駅伝大会に出場してきましたが、その多くがケニア出身。先程お話をしたヴィンセント選手もムセンビ選手も共にケニア出身です。大学駅伝のテレビ中継には、必ず選手紹介の際に出身高校も表示されているため、駅伝好きの方はケニアの高校名をいくつか言えるというのは、「駅伝好きあるある」と言えるのではないでしょうか(笑)。留学生を見るたびについつい高校名もチェックしてしまいます。名門のガル高、メサビサビ高出身の選手を最近見ることがなく寂しいと思ったり……。

留学生ランナーのみなさんは、大学陸上界に残る「伝説」も作ってきてくれました。例えば、日本大学に在籍していたギダウ・ダニエル選手。2009年に行われた箱根駅伝では2区を走り、22位でスタートすると、なんと20人の選手をごぼう抜き。チームを2位に押し上げました。箱根駅伝2区は各チームのエース選手が集うため、毎年留学生ランナーと日本学生界トップクラスの成績を持つランナーたちの熱戦が繰り広げられます。そのため、オリンピックのような世界大会を見ているような感覚になるんですよね。

ダニエル選手は全日本大学駅伝優勝のゴールテープを切ったことも(撮影・朝日新聞社)

また、エチオピア出身のワークナー・デレセ・タソ選手(ひらまつ病院)は記録だけでなく、その人柄でも名を残しています。拓殖大学に在籍し、走りだけではなく真面目で誠実な性格が買われ、4年生の時にはチームのキャプテンに就任(留学生キャプテンは大学駅伝史上初でした)。誰よりも律儀で人付き合いを大切にしている姿を、当時の指揮官であった岡田正裕監督は「日本人より日本人らしい」と評価していたほど。言葉の壁がありながらも、チームを引っ張っていくデレセ選手の姿はとても勇敢で胸が熱くなりました。

あの名ランナーは日本で監督に

大学を卒業したら母国へ帰国する選手もいますが、実業団へ進んだりするなど日本で競技を続けていくランナーも多くいます。1993年〜1996年に山梨学院大学で箱根駅伝出場を果たしたケニア人留学生のステファン・マヤカ選手は、大学卒業後に日本の実業団へ進み、その後は群馬県にある創造学園大学の陸上部コーチに就任。現在は桜美林大学陸上部の監督をされています。2005年に日本国籍を取得。お名前も真也加ステファンとなりました。

真也加監督は箱根駅伝出場を目標に、一からチームを作っています(撮影・朝日新聞社)

現在も大学だけではなく、実業団、さらには高校にも数多くの留学生ランナーがいらっしゃいます。言語や環境も違う異国の地で競技に励み続ける選手の皆さんの苦悩は計り知れないものかと思います。そういった影の苦労の中で、雑誌やインタビュー等で明かされる、「日本のこういうところが好き」、「日本食だとこれがお気に入り」といった留学生の声が聞けるととても嬉しい気持ちになり、ますます応援に力が入ります。

いよいよ、これから始まる駅伝シーズン。まずは10月10日に開催されるシーズンの幕開けを飾る出雲駅伝が2年ぶりに開催されますが、日本で輝きを放つ留学生ランナーの力強い走りを見れるのが今から楽しみです!

次回は、今シーズンの注目チームのお話をしていきたいなと思っています。

NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

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