西村菜那子、舞台「風が強く吹いている」に出演! 登場人物を選手に当てはめると?
「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48西村菜那子さんのコラムです。今回は、西村さんも出演する舞台「風が強く吹いている」の裏話、そして、西村さん的に登場人物を実際の選手に当てはめて考えてもらいました!
舞台「風が強く吹いている」に出演します
みなさん、こんにちは! 今回は、いつもと視点を変えてお届けするのですが、最後まで読んでくださると嬉しいです。
突然ですが、陸上ファンの皆さんなら、三浦しをんさん原作「風が強く吹いている」という小説、ご存じですよね? もし読んでいなくてもタイトルを耳にしたことがあるかと思います。箱根駅伝を題材にした物語でアニメ化や映画化もされ、陸上ファンだけにとどまらず多くの方に感動を与えた作品です。
この作品が舞台化され、ありがたいことに出演させていただくことになりました! 私は陸上部のマネージャー役、勝田葉菜子を演じます。本番に向けて稽古に明け暮れている日々なのですが、実はこの舞台、陸上界のある方にも携わっていただいています。
そのキッカケとなったのは、稽古が始まる2週間ほど前のプロデューサーの方の漏らした「実際に箱根駅伝を走った選手から役者たちに走り方の指導や襷(たすき)の渡し方、スタートの動きなど教わる機会が欲しいよね……」という言葉でした。
確かにその通りなのですが、今はトラックシーズン真っ只中。どのチームも多忙で、どう考えても難しい状況です。それでも、どなたか協力してくださらないかな……とダメ元でSGホールディングのコーチである西川雄一朗さんにお願いしてみたところ、なんと快く引き受けてくださったのです。
SGH鈴木塁人選手から役者への指導!
普段は稽古場で練習をしている私たちですが、先月末、初めて野外へ行き、走法指導をしてもらいました。メイン指導者としてお越しくださったのは、SGホールディングスの鈴木塁人選手です。
鈴木選手は大学時代、青山学院大学で箱根駅伝には3度出場、2度のチーム優勝メンバー、4年生ではキャプテンを務めたなど経験豊富な選手。箱根駅伝を知り尽くしたランナーが稽古にお力を貸してくださったこと、大変ありがたく思います。
西川コーチと鈴木選手に加えて、青山学院大学で昨年度まで主務を務めていた鶴貝彪雅さんもお手伝いに来てくださり、豪華な指導者3名からランニングの基礎を直々に伝授していただきました。1区から10区、それぞれの区間での走り方の特徴、正しいストレッチのやり方、襷の渡し方……と、細かなところまで、箱根駅伝に関することを一から教えてもらいました。
私も鶴貝さんから、ラップの取り方といったストップウォッチの使いこなし方をはじめ、記録会での立ち回り方などマネージャー業務のことを教わることができました。記録会で1人のマネージャーがいくつものストップウォッチを抱えている姿をよくみかけていましたが、あらためて、同時にタイムを測ることの大変さを痛感しました…。
練習では箱根駅伝でのランナーの実際のスピードをキャストに体感してもらうため、400mだけ鈴木選手と一緒に箱根駅伝と同じ速さで走るというメニューがあったのですが、自転車でも追いつかないくらい速さ。「こんなに速いの!?」とキャスト陣は大変驚きました。
この日行った貴重な経験を舞台上でリアルに表現できたらと思います! 舞台は6月16日〜20日、東京・六行会ホールにて上演いたします。ぜひ皆さん足を運んでくださると嬉しいです。
寛政大学のメンバーを実際の選手に当てはめると?
このように順調に準備が進んでいる舞台「風が強く吹いている」ですが、作品のあらすじを簡単に説明しますと、「駅伝では無名大学・寛政大学が長距離未経験の部員を10人集め、たった1年で箱根駅伝を目指していく」。作中には、全日本インカレや記録会、夏合宿、箱根駅伝予選会など、陸上部の年間スケジュールがリアルに描かれています。
寛政大学の選手10名は、いずれも個性的で魅力的なキャラクターばかりなのですが、最近、応援してくださる方から「風強のキャラクターを実際の陸上選手に当てはめてほしい!」という声を何度かいただきました。そこで、今回はリクエストにお答えして、登場人物10名の紹介を兼ねて、実際に箱根駅伝を走ったランナーで当てはめていきたいと思います!
まずは、主人公「清瀬灰二(ハイジ)」。寛政大で箱根駅伝に出たいと言い出した張本人が、この4年生のハイジ。食事や掃除など寮の管理はもちろん、部員の健康管理や練習メニューなども彼が指揮を取っています。優しくて、頼り甲斐のあるリーダーシップの持ち主です。ハイジは陸上選手で例えると……、土方英和選手(國學院大~HONDA)のイメージがあります! 土方選手も國學院大學時代、3、4年生でキャプテンを務め、チームを鼓舞していました。エネルギッシュで、頼もしい姿は土方選手にぴったりです。
続いては「蔵原走(カケル)」。1年生のカケルは高校時代に陸上部に所属しており、天才ランナーと言われていました。口下手ですが、誰よりも走ることが大好き。そんなカケルは大迫傑選手(早稲田大~NIKE)に近いような気がします。どんな状況でも結果を出し、誰よりも強く、何よりフォームが美しい姿はまさに大迫選手です。
3人目は「坂口洋平(キング)」。就活に手こずる4年生です。とても明るく人情味があり、分け隔てなくみんなと話せるお兄さん的存在。大のクイズ好きという博識な一面も。キングは……小椋裕介選手(青山学院大~ヤクルト)が合うような気がします! 小椋選手の性格は“探究心旺盛”とのこと。雑学を探求しているキング、そして明るくて気さくな姿も小椋選手と似ているような……。
4人目はキングと同じ4年生の「岩倉雪彦(ユキ)」。3年生の時に司法試験に一発合格した秀才。知的で冷静なキャラクターです。秀才という意味で、近藤秀一選手(東京大~GMO)が浮かびました。東京大学に通い、関東学生連合チームに選出され、箱根駅伝を経験。現在は実業団チームに所属しながら、大学院に通って運動生理学を勉強している二足の草鞋を履くランナーです。
続く5人目は、イメージする選手が真っ先に浮かんだ、部員唯一の留学生である「ムサ・カマラ(ムサ)」。争い事が苦手なとても優しい性格の2年生です。ムサは迷わず、ワークナー・デレセ・タソ選手(拓殖大~ひらまつ病院)! 拓殖大学時代にはキャプテンを務め、持ち前の優しい人柄で言語の壁を超え、チームをまとめていました。
そんなムサと仲良しなのが、3年生の「杉山高史(神童)」。おっとりした性格で、常に穏やかでニコニコしています。そんな神童は、湊谷春紀選手(東海大~NTT西日本)がピッタリなイメージです。東海大学時代、4年時に箱根駅伝優勝を果たし、朝の情報番組などにゲスト出演されていた際、湊谷選手の穏やかで優しい性格が垣間見れる場面が何度もありました。お話ししたことはないのですが、きっと心優しい方なんだろうなぁ……と想像しています。
双子ランナーでぱっと思い浮かんだのは?
陸上界は有名な双子ランナーが複数組いらっしゃいますが、風強にも双子のキャラクターがいます。1年生の城太郎(ジョータ)と城次郎(ジョージ)です。とにかく無邪気な性格で、楽しいことが大好き。
実際のランナーだと、畝拓夢選手(中央大~日立物流)と歩夢選手(中央学院大~埼玉医科大学グループ)がパッと思い浮かびました。昨年の箱根駅伝では同じ5区を走り、史上初5区での双子対決を実現した2人。区間8位に歩夢選手、9位に拓夢選手。その差わずか3秒だったのは、多くの方の記憶にも新しいことかと思います。
続いて9人目は「平田彰宏(ニコチャン)」。ニコチャンは3年生ですが、浪人と留年の経験があり今ではチーム最年長の25歳。一見話しかけづらい風貌ですが、実は面倒見が良く、心優しいキャラクターです。そんなニコチャンは、ずばり寺田夏生選手(國學院大~JR東日本)! 「テラダッシュ」「寺田交差点」「あぶねー」……今でも陸上界に語り継がれるワードをいくつも生み出した、まさに伝説的存在。ファンの方から愛されている姿は、どこか憎めないニコチャンに少し似ているような気がします。
そしてラストの10人目は「柏崎茜(王子)」。ゲームや漫画が大好きで、部屋は漫画で埋め尽くされているほどのオタクぶり。王子と呼ばれるのは、色白でまつ毛が長く端正な顔立ちから。王子は……塩尻和也選手(順天堂大~富士通)はいかがでしょうか。王子はかなり運動が苦手なので塩尻選手と正反対ではありますが……。ゲーム好きで超インドアであることも公言している塩尻選手は王子に少し通ずるところがあると思います。
以上が寛政大学陸上部の10名です。物語をご存じない陸上ファンの方も何となく一人ひとりの特徴を感じ取っていただければ嬉しいです。箱根駅伝をテーマにした作品が存在していることがとても嬉しいですし、これからも増えていって欲しいなぁなんて思っております。
今回は、自分の出演する舞台の話となってしまい恐縮ですが、この作品に出演を機に箱根駅伝のことをより深く勉強できました。これからも駅伝を楽しく学んでいきたいと思います!