いよいよ全日本大学駅伝、期待している「駅伝男」とは……?
「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48の西村菜那子さんのコラムです。前回のコラムでも触れた全日本大学女子駅伝の振り返りと、2日後に迫った全日本大学駅伝の「西村菜那子的」みどころをお届けします!
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10月27日に行われた「全日本大学女子駅伝」。このコラムの初回にみどころを書かせていただきましたが、みなさまはレースをご覧になられたでしょうか?
私は撮影があったので、楽屋のテレビで観戦しました。面白いことに、私がメイクで席を外している間に、どうやらマネージャー陣も駅伝を見て盛り上がってたみたいです。私がこうして駅伝のお仕事をさせていただく機会が増えて、スタッフの間にも少しずつ駅伝が浸透してきているようで、とてもうれしいです。
では、本題です。
下級生の活躍が目立った杜の都
選手として印象に残ったのは、1区のスタートから飛び出していった中央大学のエース、五島(ごしま)莉乃選手(4年、星稜)です。攻めの走りで区間賞を獲得しました。五島選手といえば9月の日本インカレ5000mと10000mで準優勝。優勝まで一歩届かず悔しい思いをした選手のひとりです。その悔しさを晴らし、駅伝シーズン一発目の全日本で見事区間賞! エースとしての立派な姿を見せてくれました。ほかの区間の記録を見ると、1区の五島選手以外の区間賞は1、2年生の選手ばかりで、下級生の活躍が一際目立つ大会となりました。
レースとしては名城大学が優勝を果たしました。全6区間中、三つの区間で区間賞に輝く盤石の優勝でした。6区間とも3年生以下のメンバーで、来年以降の期待も高まる戦いを繰り広げてくれました。
2位は大東文化大学でした。3区でアクシデントはありましたが、崩れることなく、しっかりと後半区間の選手がカバー。手堅く3年連続準優勝。3位は立命館大学でした。この大会で最多優勝を誇る強さを見せてくれました。前半の出遅れがありましたが、5区のエース佐藤成葉(なるは)選手(4年、荏田)や6区の高安結衣選手(1年、長野東)の快走もあり、3位に食い込みました。
やっぱり気になる、女子ならではの楽しみ方
このコラムの初回に女子駅伝の楽しみ方を書かせていただきましたが、今大会も女子ならではの光景がありました。
選手が手縫いのお守りをつけていたり、同じデザインのヘアゴムで髪を整えて走っているチームもありました(東京農業大学は「シンボル」である大根のマスコット付きのヘアゴムを選手全員が揃えて出場したこともありました)。こんなふうに真剣勝負の中に垣間見られるおしゃれなど、女子ならではチームのルーティーンが見られることもあります。観戦中にそういったところを見つけるのも面白いかもしれませんね。
女子といえば、年末に開催される富士山女子駅伝も、いまからとても楽しみです。とはいえ、まだ少し先なので、11月3日に開催される男子の全日本大学駅伝についてお話ししていきましょう。
選手層の厚さが問われる全日本大学駅伝
これは「大学駅伝日本一」を決める大会です。全国各地の選考会を突破した男子たちの戦いが伊勢路で繰り広げられます。コースは比較的平坦です。最短区間は1区の9.5kmで、最長区間は8区の19.7kmと、距離の差がかなりあります。勝つためにはスピード自慢の選手、スタミナのある選手を併せ持つ必要があるので、選手層の厚さが問われる大会です。
そして高低差があまりないコースゆえ、トラックでのタイムが参考になりやすいとも言われています。トラックタイムから判断すると、やはり有力視されるのは「スピード軍団」東海大学。先日の出雲駅伝では4位でしたが、同じ日に開催された「もうひとつの出雲駅伝」とも呼ばれる出雲市陸協記録会では、4年生の小松陽平選手(東海大四)、郡司陽大選手(那須拓陽)がワンツーフィニッシュ。層の厚さを見せてくれました。(そういえば、小松くんは全日本前日の11月2日がお誕生日のようで……。全日本大学駅伝の結果が彼にとって1日遅い素敵なプレゼントになったらうれしいなと、密かに願ってます)
出雲駅伝で強烈なインパクトを残したのは、初優勝の國學院大學と2位の駒澤大学でした。完璧なメンバー、そして完璧な区間配置で、その強さを大学陸上界に強く印象づけたと思います。両校が全日本大学駅伝で、どう上位に食い込んでくるのかも気になります。
最も期待したいのは……
「5強」とも言われる今シーズンですが、全日本大学駅伝で私が最も期待したいのは東洋大学です。チームのエース、そして学生陸上界のエースでもある相澤晃選手(4年、学法石川)を筆頭に、箱根駅伝の1区で2年連続区間賞の西山選手(和弥、3年、東農大二)。さらに出雲駅伝で好成績を残した大澤駿選手(3年、山形中央)、宮下隼人選手(2年、富士河口湖)、定方駿選手(4年、川棚)と、頼もしい選手がそろっています。
毎年のように優勝まであと一歩のところで涙をのんできた東洋大学。「駅伝戦国時代」であるいま、安定して上位をキープすることはもちろんすごく難しいのですが、駅伝ファンのみなさんには、そのもどかしさも込みで応援したくなる方も多いのではないでしょうか。2015年、初めて全日本で優勝した際の酒井監督の涙を忘れられない人も多いと思います。
「駅伝男」に注目!
私が注目しているのは、4年生の今西駿介選手(小林)です。青山学院大の原晋監督は「駅伝男」というワードをよく使われるのですが、今西選手こそが、私が今シーズン一番注目している「駅伝男」です。(原監督の言う「駅伝男」というのは「練習以上の力を本番で出せる選手」のこと)
箱根駅伝の山下りで対決した青学の小野田勇次選手(現・トヨタ紡織)への賞賛の意味を込めての「人間じゃねぇ」という表現で、駅伝界にプチブームを巻き起こした(?)今西選手ですが、どの大会でも前の選手を積極的に追うエネルギッシュな走りが印象的です。私からすると彼も十分「人間じゃねぇ」ですが。褒めてます(笑)。出雲駅伝では5区の2年連続区間賞には届かなかったものの、積極的な走りで区間2位。駅伝男っぷりを見せてくれました。
4年生に大エースの相澤選手、駅伝男の今西選手の二本柱が揃い、上級生も下級生もそろって調子を上げてきているいま、よりいっそう東洋大学の悲願の優勝への期待が膨らみます。
女子に続き、次は男子が駅伝界を盛り上げる番です。全日本大学駅伝を制し、大学日本一の称号を手にするのは、どこのチームになるのでしょうか。
11月3日、すべての選手の皆さんにとってのちのち大切な一日になることを願って、私もしっかり応援していきたいと思います。