バレー

連載:あなたにエール

特集:いざ、東京オリンピック・パラリンピック

早稲田・大塚達宣、五輪でも伸び伸びと 「僕らの代表」へ洛南仲間からのエール

大塚は早稲田大で1年生の時から主力で活躍し、3年生の今年、東京オリンピックに挑む(撮影・松永早弥香)

アスリートの成長を身近に感じてきた方が独自の目線でたどる連載「あなたにエール」、今回は早稲田大学男子バレーボール部でアウトサイドヒッターの大塚達宣(たつのり、3年、洛南)へ、洛南高校(京都)時代の同期・垂水優芽(筑波大3年、洛南)からのエールです。大塚は東京オリンピック日本代表に選ばれ、大塚と垂水は洛南時代に国体と春高を制した仲でもあります。

早稲田大・大塚達宣「世界で戦いたい」では足りない 現在地を見定め、更なる高みへ

自分たちで考えて戦い、達宣はエースとして牽引

達宣が東京オリンピックに出ると決まってすぐ、(山本)龍(東海大3年、洛南)が洛南のグループラインで「達宣決まったって!」と送ってきました。みんなで「すごいな」「おめでとう」って送り合う中、達宣も「ありがとう。頑張るよ」って。いつかオリンピックに出るような選手になるだろうとは思っていたけれど、思っていたよりずっと早かった。びっくりしました。

高校時代から達宣と僕が2人で打つ、オープンバレーが僕らの強さでした。でも普通に考えて、身長195cmのアウトサイドヒッターって、相手からしたら嫌ですよね(笑)。どうやっても上から打たれるし、何枚つこうと決められる。一緒に戦っていた僕にとっては、本当に心強い存在でした。

洛南時代、大塚(左)と垂水の2人が打つオープンバレーが強みだった(写真は本人提供)

洛南は普段の練習も選手同士で考え、細田(哲也)先生も僕らに任せてくれていました。なので、2年生の時はオープンバレーでとにかくしっかり打つことや時間差を入れること、1年生の時(2017年)に春高で優勝した駿台学園を真似して、ミドルブロッカーの瀧田(大輔、明大21年卒)さんがサーブを打った後にそのままリベロと代わらず、後衛でバックアタックを打つこととか、いろんなことを試してきました。3年生になってからは、前衛の攻撃力を高めたかったので、あえて試合ではバックアタック禁止にしたこともあります。

全国で勝つために絶対負けない武器をつくる。そう思って普段から練習していたので、三冠(インターハイ、国体、春高)を狙った3年生の夏、インターハイの決勝で市立尼崎に負けたのは本当に悔しかった。今思えば、僕らが3年生になった年はどの試合、どの大会、どんな相手に対しても絶対に「勝たなきゃいけない」と思っていたんです。だから近畿大会、インターハイと続けて行われる中で、他校はインターハイにかける分、近畿大会はそこまで力を入れてこないところもあるのに、僕らは常にどの大会も全力。その結果、疲労もたまった状態でインターハイに臨むことになって、しかも「勝たなきゃ」と変なプレッシャーもかけていたので、ガチガチやし、バレー自体も楽しくない。達宣も決まるのは決まるけれど、楽しいというよりは苦しそうでした。

その後、吹っ切るきっかけになったのは国体です。京都選抜は基本的に洛南のメンバー中心でしたが、1人だけ、西城陽高の選手が入った。その選手が練習中も試合でも、本当にめちゃくちゃ楽しそうで、1点決まったら喜ぶし、決まらなくても苦しい顔なんてしない。俺らもこんなふうに楽しくやった方がいいんじゃないか、とみんなで話し合って、それからはとにかく楽しむことを重視しました。

結果的に国体も、春高も楽しみながら勝つことができて、最後まで達宣もエースとしてプレーで引っ張ってくれた。いい仲間に恵まれて、とても楽しい高校時代でした。

早稲田でパワーもついて、オポジットにも挑戦

大学に入って、達宣は早稲田、僕は筑波。対戦するようになって初めて達宣を「ライバル」と思ったし、負けたくないと思うようになりましたね。そもそも早稲田は上級生もすごいメンバーがたくさんそろっているので、達宣はものすごく伸び伸びやっていて、楽しそうだった。

大塚は早稲田大で体作りにも意識を向けてきた(撮影・松永早弥香)

僕は大学1年生の頃は練習も洛南とは違う厳しさがあって、毎日必死だったので、龍と「めっちゃ大変や」とか「きつい」と愚痴を言い合っていたんですが(笑)、厳しい環境のおかげで自分も成長できた。でも達宣は大学に入ってからトレーニングの成果もあり、体も大きくなってパワーもついた。高校までは高さを生かして上から打つのが武器だったけど、大学では高さだけでなくパワーもついて、それまで以上にすごい選手になったな、と思うことが増えました。

去年から達宣は日本代表に選ばれて、今年の中国戦やネーションズリーグに出ている達宣を見る機会があったんですが、普通にプレーできているのがすごいなと思うし、サーブレシーブも普通にこなしています。代表でどんな練習をしているか、わざわざ聞いたことはないんですけど、試合を見ていたら達宣、またうまくなったなと感じました。

そもそも高校時代は同じアウトサイドヒッターの(宮野)陽悠河(同志社大3年、洛南)がほとんどサーブレシーブをしていたので、僕と達宣は自分の正面にきた1mぐらいの範囲を守るだけでした。達宣は中学時代にサーブレシーブもしていたので、サーブレシーブが元々うまいことは知っていましたが、海外の選手相手にもサーブレシーブしてるし、すごいなと思ったし、オポジットも高校時代はやったことがないのに、ああやって急に入れられてもできる。まだライトからハイセットを打つ時は打ちづらそうだなと感じることもありますが、ネーションズリーグの終盤は慣れてきてどんどん決まるようになっていたし、これからはもっと決まるんじゃないかと思います。

五輪で戦う達宣を見て自分も「負けないぞ」

洛南は進学校でもあるので誤解されがちなのですが(笑)、「海コース」と「空コース」があって、空は受験をして入ってくるからイメージ通り、みんな頭がいいです。でも僕たちスポーツ推薦で入った選手はたいてい海で、しかもその中の成績上位者からA、B、Cと分かれる。バレー部は基本的にBとC、僕はもちろんCですが(笑)、達宣と(中島)明良(早稲田大3年、洛南)はBだからやっぱり賢い(笑)。普段発言することも僕らとは違っていました。

大学でそれぞれ道は分かれても、洛南時代の同期との縁はつながっている(前列右から2人目が大塚、後列右から2人目が垂水、写真は本人提供)

でも基本的に同期はみんな仲が良くて、大学1年生の頃は今のように制限はなかったので、お互いに大学や練習が休みの日は関東にいる仲間と会ってご飯に行ったり、色々な話をする機会も多くありました。そういう時間がめっちゃ楽しかったので、今はコロナでなかなか会うことができないのはすごく残念ですね。

達宣だけじゃなく、1歳下の(高橋)藍(日体大2年、東山)も東京オリンピック日本代表に選ばれて、最初は「すごいな」と思いました。でも今は同じぐらい、「負けていられない」とも思います。これまでは日本代表やオリンピックはずっと遠い場所にあると思っていたけど、達宣や藍が出ることで自分も頑張れば手が届く場所なんじゃないかと思えるようになったので、もっと頑張ろうと気合いが入ります。

大塚(右)の活躍は垂水の刺激になっている(写真は本人提供)

達宣は元々、緊張するタイプではないし、どんな時も楽しんでバレーができる選手なので、オリンピックでもプレッシャーを感じたりせずに思いっきり、楽しく戦ってほしい。せっかくのオリンピックなんだから、とにかく伸び伸びやってくれればいいし、その試合を見て自分も「負けないぞ」と頑張ります。

僕らの代表、日本の代表として、テレビを見ながら応援します。達宣、頑張れよ!

あなたにエール

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