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特集:第73回全日本大学バスケ選手権

日体大が近畿大にリベンジ 井手拓実主将、速さもチームの雰囲気も「日本一のチーム」

井手(左)は主将としてチームを引っ張り、「日本一」だけを目指している(撮影・全て松永早弥香)

第73回 全日本大学選手権大会 2回戦

12月9日@大田区総合体育館(東京)
日本体育大学 70-54 近畿大学

日本体育大学と近畿大学は今年もインカレ2回戦で顔を合わせた。前回は67-71で近畿大が勝利。「去年、正直自分のせいで負けてしまったという思いが強かったので、めっちゃ気合が入っていました」。日体大の司令塔・井手拓実主将(4年、福岡第一)は、静かに闘志を燃やしていた。

トランジションの早いオフェンスで圧倒

攻防が続いた中、先に点を入れたのは近畿大。しかし日体大はすぐに取り返し、19-10と第1クオーター(Q)からリードをとった。日体大は井手と小川麻斗(2年、福岡第一)がゲームコントロールをして仲間を生かし、その一方で3ポイントシュートも狙う。インサイドでは身長206cmのムトンボ ジャンピエール(1年、東山)が攻守ともに活躍し、ムトンボのディフェンスリバウンドから日体大が得意とするトランジションの早いオフェンスで圧倒。57-35で第3Qを終えた。

近畿大も意地を見せる。粘り強いディフェンスで日体大はタフショットを打たされ続け、ディフェンスの時間が続く。日体大ベンチからは「この1本止めるよ!」「切り替えよう!」と声が飛ぶ。点差が次第に詰まっていく苦しい場面で、井手が3ポイントシュートを決め、すぐにまたディフェンスに集中。追い上げられる展開の中、最後は70-54で日体大が逃げ切った。

小川と井手はゲームコントロールしながら、小川は15点、井手は24点とともに得点力も発揮

日体大の選手たちは1年越しのリベンジに笑顔。しかし、藤田将弘監督の「もっとチームにいい影響を与えられるような声かけをしていこう」という言葉を受け、明日の準々決勝へとすぐに気持ちを切り替えた。

ベンチも応援席もみんなが1つになれるようなチームに

「声かけ」は井手が主将としてチームを引っ張っていく上で大切にしてきたことだ。「日体大の魅力はスピード、他の大学にも絶対負けてないくらいの速さだと思っています。部の雰囲気も、試合に出ている出ていないにかかわらず、全員が気持ちを作って声をかけ合って盛り上げられるところも、日本一のチームです」

井手が1年生だった時、日体大は関東2部にいた。「正直、チームの雰囲気はあまり好きじゃなくて、そこから自分が変えていきたいなと思っていました」と井手は振り返る。ミニバス時代から主将を務めてきた井手は、大学でも主将となり、部の雰囲気作りに心を砕いてきた。「上下関係なく言い合え、試合に出ている人だけじゃなくてベンチも応援席もみんなが1つになれるようなチームにしたくて、それを全員が意識できるように突き詰めてきました」。実際、近畿大戦でもベンチはワンプレーごとに湧き、選手たちの背中を押してくれた。

ディフェンスが続く苦しい場面、ベンチからは声かけがずっと続いていた

日体大の魅力でもあるスピードは、井手が福岡第一時代に養ってきた「走るバスケ」がベースになっている。福岡第一でもともに戦ってきた小川やバム ジョナサン(4年)、古橋正義(3年)たちも含め、「その長所をうまく生かして、全員がバスケットIQを大学で高めて、試合の流れを考えながらプレーができていると思う」と井手は言う。特に小川に対しては井手も一緒になって日体大に勧誘した選手だ。「下級生ながら頼れる存在で、自分と麻斗でうまくゲームコントロールできれば、日体大は日本一になれる」と井手は自信をもって答えた。

「めっちゃ気合が入っていました」と話していた近畿大戦を終え、井手は言う。「日本一しか考えてないんで。明日もめっちゃ気合入ってます!」

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