バレー

特集:全日本バレー大学選手権2021

法政大・緒方悠大 積み重ね、後輩に見せた姿勢 4年間を糧に次のステージへ

チームの中心としてプレーした緒方。主将としての1年間にはさまざまなことがあった

第74回 秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会

2021年11月29日(月)~12月5日(日)

法政大 2回戦敗退

法政大学バレーボール部のエース・緒方悠大(4年、日川)は、大学の集大成である全日本インカレに臨んだ。キャプテンマークを背負って歩んだこの1年は、決して平坦ではなかった。

「1部昇格」へ意気込むも春リーグが中止に

1年次から試合に出場し、攻撃の主力を担ってきた緒方。チームで掲げていた「1部昇格」に向け、勝ちへの意識を強く持ちながら鍛錬を積んできた。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、試合が相次いで中止に。チャンスが奪われてしまった中でも、試合で培った自らの経験をチームに還元してきた。

キャプテンに就任し、迎えた大学ラストイヤー。チームを引っ張る立場として、部員たちとのコミュニケーションに注力した。「とにかく自分たちが頑張っていかなければ」という意識を持ち、日々の練習に取り組んだ。徐々に練習環境の制限も緩和されつつあった今春。気持ちは春のリーグ戦へと向いていた。悲願である「1部リーグ昇格」、そして「1部リーグでの活躍」へ向け、キャプテンとしてチームを鼓舞していた。

そんな中届いたのが「春季リーグ中止」の知らせだった。

「仕方ない、と思いました」

春季リーグの中止が決まってからは、秋季リーグに気持ちを向けなおした。夏にかけては、チームの課題であったレシーブ力を強化。サーブカットを中心に、要所でブレイクすることができるよう、チームの土台を固めた。

快進撃も手のけがで悔しい離脱

満を持して臨んだ秋季リーグ。法大は見事な勝利を収めていった。1年次から積んできた試合の経験を周りに伝えていきたい、と考えていた緒方は、「プレーでチームを引っ張る」ことを意識。試合経験が少ない部員たちにも、緒方の思いは伝わった。試合を重ねるごとに緊張が

春リーグ中止にもめげず、土台を固めようとチームを鼓舞した

和らぎ、法大の持ち味である攻撃力を発揮できるようになってきた。

しかし、流れに乗っていた法大に暗雲が立ち込める。慶大戦の試合の途中、緒方は手にけがを負ってしまう。出血と骨折により、それ以降の試合への出場が難しい状況となった。

秋季リーグの後半、コートに緒方の姿はなかった。練習時や試合時には、出場する選手がベストを尽くせるように声掛けを率先して行った。「チームの皆が声を出して、頑張ってくれていて、僕がいなくても大丈夫だなと思いました」。最初はそう思っていたものの、徐々に強くなるのは「自分が出たかった」という悔しさだった。

大きな財産を残し、次のステージへ

完全ではないものの、けがから復活した緒方は、大学バレー最後の公式戦・全日本インカレに臨んだ。1回戦では九州共立大と対戦し、3-1で勝利。次の天理大戦では、1セット目を取って流れをつかむも、その後は立て続けにセットを奪われてしまい、1-3で負けを喫した。

「早かったな」。大学バレー最後の試合を終えた緒方は4年間をこう振り返る。高みを目指していたからこそ、その悔しさは人一倍だ。「キャプテンとして、チームを1部にあげることもできなかった。インカレでもいい成績を残すことができなかった。本当にチームに貢献できていたのかな、と思います」

実業団に進む緒方。4年間を糧にさらなる活躍を誓う

緒方の存在は、チームにとって大きかった。「プレーでチームを引っ張りたい」という緒方の背中を見てきた下級生の台頭は著しい。今季の法大は、3年生以下の選手が中心となって試合に出場。「1部昇格」を次こそ達成するために、すでに準備は進んでいる。「チーム一丸となって、みんなでフォローしつつ、切磋琢磨して頑張ってほしい」という緒方の思いは、法大の後輩たちに確実に届いているだろう。

来年度からは富士通川崎レッドスピリッツに場所を移し、実業団選手としてバレーボールを続けていく緒方。自身の武器である高い打点からのスパイクに加え、ブロックやサーブにも力を入れていきたいという。「応援してくれる全ての人への感謝を忘れず、バレーを頑張っていきたいです」。法大で積み重ねた4年間を糧とし、新たなステージで飛躍する姿を心待ちにしたい。

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