陸上・駅伝

連載:NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

NGT48西村菜那子が見た伊那駅伝、優勝した佐久長聖のエース吉岡大翔の強さの秘密

西村さんも番組出演という形で伊那駅伝に“参戦”しました(撮影・齋藤大輔)

「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48西村菜那子さんのコラムです。今回のコラムは、3月20日に長野県伊那市で開催された春の高校伊那駅伝についてです。

女子は神村学園が初優勝!

みなさん、こんにちは! 少し前の話ですが、春の高校伊那駅伝が3月20日に開催されました。伊那駅伝の最大の特徴とも言えるのが、出場チーム数の多さ。新型コロナウイルスの影響で予定していた全チームの出場はかないませんでしたが、それでも今年も男子83チーム、女子37チームと、全国各地から強豪校が参加して伊那路を駆け抜けました。

午前中に行われた女子のレースでは、鹿児島の神村学園が優勝を果たしました(初出場で優勝!)。さらに全5区間中1、3、4、5区の4区間で区間賞を獲得する圧巻の走りは、歴史に名を刻む襷(たすき)リレーとなりました。

横打史雄監督新体制の長野東が2位に

2位に入ったのが、私が最も注目を寄せていた長野東。途中、先頭を走る神村学園と1秒差まで迫る接戦を繰り広げ、前回大会の4位から順位を上げました。長野東は2021年度より指導者が玉城良二監督から横打史雄監督に引き継がれるなど、体制が大きく変わった一年でした。その変化の中で、昨年末に行われた全国高校駅伝で3年ぶりにチーム目標であった7位入賞を果たすなど、強豪校としての存在感を放ってきました。

なかでもエースの村岡美玖選手(2年)の活躍は3区で区間2位、日本人トップの成績を残し、長野県内の最優秀選手男女各1名に贈呈される大会MVPの位置付けである「伊藤国光杯」にも選ばれました。

長野東のエース・村岡選手(4262番)は今年2月のクロスカントリー日本選手権U20で6位入賞をつかみました(撮影・松永早弥香)

2月26日に行われたクロスカントリー日本選手権では、U20部門で6位に入るなど、その名が着実に広がりつつある村岡選手。近年の長野東は下級生がチームの主体となることが多く、村岡選手は1年生から全国大会でエース区間を任されるなど、入学当初からチームを支えてきました。そんな村岡選手も今年度が高校ラストイヤー。村岡選手を中心に、さらなる進化を遂げた長野東の活躍に期待したいと思います!

男子では35人のごぼう抜きも!

午後に行われた男子のレースでは、佐久長聖(長野)が4年ぶり8度目の優勝を成し遂げました。前回大会の11位から大きくジャンプアップです。2区で首位に立って以降は先頭を譲らず2時間6分43秒でゴール。大会記録を更新し、2位の学法石川(福島)に3分21秒の大差をつける圧勝を果たしました。1区では山口竣平選手(1年)が大健闘。先頭集団を形成し、終始安定した走りで出遅れることなく、先頭とは9秒差の区間5位で襷をつなぎました。その後、2区の長屋匡起選手(2年)が区間新記録の走りで先頭に立ち、優勝を予感させるいい流れに持ち込むことができました。

2区と言えば、岡山の倉敷・南坂柚汰選手(2年)の41位から6位に浮上する走りは衝撃的でした……。35人のごぼう抜きは、すべての駅伝大会において、ごぼう抜き最多記録なのではないでしょうか。もし、さらに多いごぼう抜き記録がありましたら教えてください!

エース区間4区区間賞・吉岡大翔選手が歩んだ道

話を佐久長聖に戻します。今大会の6区間中、4名が地元・長野県出身、2名が県外から入学したランナーで構成されたのですが、その2名が1区を走った山口選手と2区の長屋選手でした。山口選手は石川県出身、長屋選手が富山県出身です。高校に入学するタイミングで地元を離れ、陸上のために佐久長聖へ入学してきた山口選手と長屋選手が、今回優勝に王手をかける懸命な走りを披露。長野県で活躍している姿に、信州出身の私としてはとても嬉(うれ)しく思いました。地元で走り続けるランナーはもちろんですが、地元を離れて陸上競技に励むランナーにも応援に熱が入ります。

昨年の全国高校駅伝で佐久長聖は5位。アンカーを務めたのが山口選手(右)でした(撮影・筋野健太)

そして今大会、1番の注目が集まっていたのが吉岡大翔選手(2年)。全国高校駅伝では、1年生の時に4区で区間賞。2年生ではスターターの1区を任され、区間2位。昨年の伊那駅伝では3区で区間3位になるなど、駅伝では必ず上位の成績を残しているエリートランナーです。レースでは常に完璧な姿を見せている吉岡選手ですが、実は1年生での全国高校駅伝の当日の朝は、緊張のあまり嘔吐(おうと)をしてしまったそうです。ストイックな性格ゆえに、自分を追い込みすぎてしまったのではないでしょうか……。しかしそんなハプニングがありながら、自分を立て直し、見事区間賞を獲得する姿に大人顔負けのプロ意識を感じます。

そんな吉岡選手は今年の伊那駅伝でもエース区間である4区を走り、区間賞に輝きました。伊那駅伝は1、2年生のみが出場する大会のため、吉岡選手は今年度がラストイヤー。最後の伊那駅伝で、昨年に引き続き「伊藤国光杯」を獲得する貢献ぶりはまさにチームの模範生です。吉岡選手含め、全員でつかみ取った伊那駅伝優勝をこの目で見届けられたことがとても幸せでした! 佐久長聖や長野東をいつか取材して、お話をうかがえる機会があれば嬉しいなと思っています。

吉岡選手は今年2月のクロスカントリー日本選手権U20でも優勝しています(撮影・松永早弥香)

ここから巣立っていく選手たちを応援しています!

高校駅伝を毎年見ていると、1、2年から活躍した選手がどこの大学に進学するのか、どこの実業団へ行くのか、その後の陸上人生を応援する楽しみも生まれていきます。高校駅伝、大学駅伝、実業団駅伝とそれぞれ異なる楽しみ方を味わえるのも魅力のひとつですね。

個人的には、NBS長野放送さんで放送された伊那駅伝の番組「春に駆ける~注目!春の高校伊那駅伝2022~」に出演させていただきましたので、例年に増して思い入れの強い大会となりました。来年の伊那駅伝を楽しみにしつつ、今月に開催される「長野県市町村対抗駅伝」も楽しみにしています!

NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

in Additionあわせて読みたい